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44話 安い挑発



 あの後、ボクがタル―シャさんに提示した計画とボクなりの慈悲?はこうだ。



 タル―シャさんに窓に施したのと同じ結界⋯⋯魔道具を使用したものを利用してボクに攻撃を与えようとした時とボクが発動させようとした時に結界を張るようにした。


 そして、ボクが寝室で囮になり、相手がボクを殺そうとした時それを張り反撃する、というものだ。



 これなら、『正当防衛』と言っても殺しても問題ないだろう。



 まぁ、被害妄想や差別意識で脳が固まった今襲ってきている村人やそのほかの村人⋯⋯いや、タル―シャさんを除く村人達にそれが理解できるかは分からないけど。


 そして慈悲とはその時に、もし直接的に攻撃せず撤退などをしようとしたなら、取り敢えずすぐに殺すのはやめる、というものだ。


 まぁ、その後、想像以上にボクにとって害になると思ったらその限りではないけど。



 今のボクに出来るのはこれくらいだろう。


 

 流石に、タル―シャさんに恩?を売るといっても直接攻撃されて黙っているわけにはいかない。


 舐められるし、何よりそこまでされたらボクだって怒る。


 いや、今までも利益がないなら躊躇なく殺すくらいには怒り⋯⋯というかうっとおしさは感じているけど。


 攻撃を受けたらやり返す、それが復讐者というものだ。


 

 それはともかく、結局ボクなりの慈悲が届くことはなかった。



 まぁ予想通り。


 

 モルバールは何の迷いもなく殺すように指示したし、実際に殺そうとした奴も少しは躊躇したようだがそれだけ。特にやめるとかそういうことはしなかった。そして、止めなかった奴も同罪⋯⋯というか連帯責任っていうことで。














 死んでもらおうか。







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 静寂に包まれていた⋯⋯いや、暗殺しようっていうのに村人、こいつらは普通にしゃべっていたらそれは違うか。


 ともかくそんな中で結界がキーンという音を出して攻撃を弾いた。



 「さて、モルバールさん?だっけ。これは一体どういうことだい?」



 呆然としていたこいつらに問う。


 まぁ、普通に考えたらもうこの状況で言い逃れは出来ないだろうけど一応聞く。


 やはり、というべきか。最初に立ち直ったのはモルバールだった。


 「⋯⋯ふん、分からんのか?お前が災いをもたらす穢れた獣人などをこの村に入れたからに決まってるだろう」


 うわ、開き直った。



「おい、お前獣人をどこに隠した?今なら命は取らないでおいてやるぞ?」



 モルバール⋯⋯だけではなく周りを囲む村人たちも見下すような?嘲笑するような?それとも下卑た?何というべきかわからないけどそんな表情でボクを見てくる。


 いや、さっき結界で攻撃が弾かれたの忘れたの?


 もしや、この村ってゴブリンの村!?⋯⋯ってそんなわけないか。鑑定でもちゃんと人族って表記されているし何より姿を見たら一目瞭然だし。


 なのに、学習能力がなさ過ぎて一瞬本気で考えちゃったよ。


 それともあれか?数で押せば何とかなるとか思ってるの?


 確かに、この魔道具について簡単に説明してもらった時に、この結界は魔力で発生させたもので維持の他にも攻撃を受けたりすると魔力を消費していくっていってたから攻撃すれば理論上は早く結界を消せる。


 でも、戦闘経験もなさそうな人には無理だと思うけど、現実的には。


 

 少なくともさっきみたいな攻撃だったらこいつらの体力とかも考えたら全員でやっても一時間くらいは余裕で掛かるんじゃないかな。


 あ、ちなみに魔力切れなんて狙わなくても一定以上の攻撃なら破壊できるらしいけど⋯⋯こちらの方法も無理だろう。

 


 「おいっ、早く教えろと言っているだろう!?」



 おっと、そんなこと考えていたら相手方は痺れを切らしたようだ。



 答えは、勿論



 「嫌だね。何で君みたいな馬鹿にそんなこと教えなきゃいけないのさ?」



 相手方は唖然とする。



 ふぅ、言ってやった。


 言ってやれたよ!!ちょっとむしゃくしゃしてたからストレスたまってたんだよね。



 やろうと思えば自心制御でそれも消せるけど反動があるからレベル上げや実践以外では使いたくない。


 それに自心制御で溜めていた怒りが反動で一気に来たらそれこそ瘴気を保てるか分からない。


 あ、称号ではもう狂気とか取得してたっけ。



 「な、なんだと!?この村の中で権力者の一人である私に逆らうというのか!?」


 いや、村の中でって⋯⋯小物だな。


 

 「そうだけど?そんなことも分からないの?君って本当に人族なの?ゴブリンじゃなくて」


 

 ボクは戦闘に巻き込まないように外に出ながら挑発する。


 ないと思うけど他に策がある可能性もあるし相手を冷静にさせるべきではない。


 まぁ、本音でもあるけどね。


 あからさまなものだったけど、この馬鹿達に対しては成功したようだ。


 囲っている奴らは皆それぞれ武器といっていいのかは分からないがそれぞれの得物をこちらに向けている。その顔は怒り心頭といったところだ。


 


 それはモルバールも同じだった。





 「貴様⋯⋯っ!!」




 そうして、モルバールたちは動き事態は動いた。

 



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