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36話 マリョクソウサ⋯⋯?

 さて、武器も選んだしちょっと一息⋯⋯とはならない。


 ボク一人だったらいいんだけど今のミーシャではこの森で安全に暮らすことは出来ない。


 ミーシャにはまだ力が足りない。


 ボクも力があるとは言えないけどミーシャはもっと足りない。


 それは経験的なものもあるし、単純にレベル不足というのもあるし⋯⋯なにより彼女には体の栄養状態的にも難しい。


 本当は、ボクにも多少は良心もあるし休ませてあげたいところだけど残念ながらそれは無理。


 今までは弱い敵が多かったが強い敵が来ないとは限らないのだ。


 だからこそ、人のいるところに行く必要がある。



 ついでにミーシャに短剣術とか教えてもらえるかもしれない。



 それにはある程度自衛してもらうしかない。


 でも、ボクは短剣の扱いなんて分からない。



 だから⋯⋯



 「とにかく、村かなんかに行って短剣を教わってもらおうと思うけど⋯⋯ボクには君を守りながら戦いきれる自信がないからね。だから少しは自衛できるようにしてもらいたい。でも、ボクは君に短剣を教えることが出来ない。だから⋯⋯君には魔法を教えようと思う」


 そう、それくらいしか今のボクには出来ない。パワーレベリングするにも⋯⋯もうちょっと強くなってもらわないと。


 「え⋯⋯でも私、魔法の詠唱が苦手で⋯⋯」


 まぁ、そうかもしれないけど⋯⋯君は詠唱・・が苦手なだけだよね。


 別に魔力がないとかそういうわけじゃない。


 「そう。だから君には⋯⋯魔力操作を憶えてもらうよ」


 そういうとミーシャははてな顔。なんか、怯えた顔ではてな顔って言うのも精神的に来るね⋯⋯。


 「⋯⋯えっと、マリョクソウサって何ですか?」


 やはり、知らないか。


 「魔力操作っていうのはね⋯⋯まぁ簡単に言えば魔力を操作する、詠唱なしで魔法を使うのに必要なスキルだよ」


 今度は尻尾をピーンとさせる。


 「⋯⋯え、そんなものがあるんですか?」


 驚きと懐疑、ってかんじか。


 「うん、あるよ。まぁその前にまた別のスキルも必要だけど」


 「それでね⋯⋯って、気絶してる!?」


 そ、そんなに驚くことなの!?


 「ちょ、ちょっと起きて!!」


 別に慌てる必要なんてないが、少し動揺?した。


 肩を揺らして起こすと、最初は目をぱちくりさせていたが何となくさっきのことを思い出してきたのか驚き⋯⋯ではなく、顔を青くする。


 「も、申し訳ありません!!ど、どうかお許しを!!」


 ⋯⋯そこまで怖がらなくてもいいのに。


 別に驚いて気絶したからってそこまで怒らないって。


 逆にそこまではっきり怯えられる方が傷つくよ⋯⋯。


 「別に全然問題ないよ。ちょっと疲れているんだろうし」



 「あ、ありがとうございます」


 なんか、やりにくいなぁ。




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 「じゃあ、やり方を教えるよ」


 出来るかは分からないけど。この世界の常識じゃないみたいだし。


 「まず、目を閉じて⋯⋯何か、温かいものがないか探してみて」


 そうボクが言うと彼女は目を閉じる。


 奴隷だから従っているっていうのもあるけど、今回に限ってはそれ以外もあるみたいだ。


 若干、期待の色も見える。


 もともと、魔法がちゃんと使えないことにコンプレックスを抱いていたらしい。



 それから、しばらく経ったころ目を閉じてじっと集中していたミーシャが目を開けた。


 「どう?何か見つかった?」


 「えっと⋯⋯何かあったような気はしたんですが⋯⋯結局わかりませんでした⋯⋯」


 そう聞いてみると、耳をぺこんと折りたたみ、尻尾もふにゃりと下に曲げながら落ち込んだ声で答える。


 まぁ、そりゃそうだろうね。


 「⋯⋯まぁ、そうだろうね。ボクだってそんなにすぐには分からなかったし。今出来ないから才能がないっていうわけじゃないさ」


 そう、ボクが全く休憩をいれず、ぶっ続けでやっても二、三日掛かったのだ。


 それを、三十分程度で出来たらそれこそ天才だ。


 そう伝えると若干立ち直った。


 「⋯⋯そうですよね。スキルなんて一朝一夕どころか一週間でも習得できることは少ないですし」


 もともと、そんなことは分かってはいたけど、もしかしたら?と思ったらしい。


 それにしても、普通スキルって一週間で習得出来るのは少ないのか。


 ボクが短い期間でどんどんスキルを習得していってるのに、なんで明らかにボクより長く生きているはずの盗賊とかミーシャとかのスキルが少ないのはなんでだろうと思ってたけどそのせいか。


 そんなことを考えながらも、変に思われない程度に落ち込んだ彼女を慰めながら、夜を明かしたのだった。

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