29話 擬人化
さて、早速擬人化をやってみようか。
どんな原理でやるのか分からないけどスキルがあれば大丈夫な気がするし。
「擬人化」
そう呟くと、ボクの全身を黒ではなく白い霧が覆う。
なんとなく、体が形を変えていくのがわかる。
そして霧が晴れるとそこには一人の人間の姿があった⋯⋯裸で。
ちょっ、ボク野外で裸になる趣味はないんだけどなぁ。
服は⋯⋯さっきの馬車に少しあったっけ。
サイズが合うといいんだけど。
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あれから服を着て、同じく馬車にあった鏡で確認すると、見た目はどこから見ても少年だった。
⋯⋯いや、少し嘘をついた。
なんというか、少年なのか少女なのか迷う感じ。
どちらかというと少年よりだけどぱっと見じゃ分からないかも。
まぁ、少なくとも外見は一応下も確認したけど男だった。
やっぱり、ボクの材料になった魂は男の方が多いのかもね。
ただ、「外見は」少年なんだけど、内面は違う。
なんか、外からだと触られたりしてもわかんないけど体内に臓器がないんだよね⋯⋯。
喉とか見えるところはあるんだけど⋯⋯
なんか黒い霧を皮膚が覆った感じ。
一応皮膚にも血は流れているけど、外見を似せるためにあるって感じでたぶん僕自身の生命活動には意味がない。
一回、ちょっと思い切って指切ったけど痛みはあるものの、血は普通の人間よりは流れず、HPも減らなかった。
指は新しく生えてはこなかったけど、一度擬人化を解いてもう一度やったら指はちゃんとついてた。
たぶん、この擬人化のスキルは表面に皮を魔力かなんかで作り出してそれで覆うんだと思う。
何を使ってるかは分かんないけど何というか感覚的にだけど外から補充してるっぽかった。
別にHPもMPも減っていないし。
だから、安心して使えるね。
⋯⋯出所は安心できないけどね。
とにかく、これでさっきよりは怖がらせなくて済みそうだし一応今やるべきことはやったしステータスの確認をしておこうかな。




