23話 漁夫の利
作戦は簡単だ。
今、この場には盗賊の他にゴブリンの集団がいる。
恐らく、盗賊に殺された商人や護衛の血の匂いに誘われてきたのだろう。
そして、もうすぐ盗賊とゴブリンは接触する。
そして戦闘になった時に、隙をついて奴隷の女を連れ出し、あとはゴブリンごと範囲魔法で盗賊を殺す。
まぁ簡単に言えば漁夫の利を狙おうというものだ。
最初から魔法で殺してもいいけど、馬車の荷物をさぐっている状況だと奴隷の女も巻き込みそうだからね。
この作戦でも失敗したら巻き込む可能性はあるけどそれは仕方がないね。
お、ゴブリンたちが来た。
早速始めようか。
--------------------------------------------------------------------------------
「お頭ぁ、今日は大量ですぜぇ!!」
「酒も食いもんも女もある!!」
今日は運が良かった。
普段は、数人くらい犠牲にしてやっと食料を手に入れる程度だ。
しかし、今日襲った商人は、なかなか金持ちそうだったが今日は護衛をケチったらしい。
馬鹿なのかと言いてぇが、俺らにとっちゃあその方が都合がいい。
少ねぇ労力で沢山の物が手に入る。
今回はいい狩りだった。
「おーい、ゴブリンだ!!ゴブリンが出たぞぉ」
ちっ。
折角気分が良かったっつうのにまたゴブリンかよ。
ゴブリンは、衛兵やらについで厄介な奴らだ。
別に、そこまで強ぇことはねぇが、殺しても殺しても出てきやがる。
普通の奴らなら、町や村に帰りゃあ衛兵らに守ってもらえるが盗賊の俺らには出来ねぇ。
だから、いつも警戒しっぱなしだ。
しかも、最近はゴブリンによく会う。
大きな巣でも作ったか?
まぁ、今はそんなことはどうでもいい。
今はこいつらを殺すだけだ。
⋯⋯。
⋯⋯。
⋯⋯。
ゴブリンはほとんど残滅した。
逃げた奴がいるが、別に追いかける必要もねぇ。
幸い、死者はなし。
戦力は大丈夫だ。
さて、じゃあ今から宴会と行くか!!
ゴブリンを残滅し、油断していたのだろう。
まともに戦闘準備をすることもなく、ソレはきた。
「腐蝕霧」




