プロローグ
私の名前は、レオナルド・ヘルクライム。今はただのレオナルドだが…私という人を簡潔にいえば、救いようもないクズ野郎である。
自分が誰よりも優れていると思い、沢山の人を傷つけた……家族も友人も大切な人でさえも…
結果今私が居るのは、いわゆる下級市民が住む町の酒場だ。月一回はこの酒場のバーカウンターでと飲んでは酔いつぶれ、といったここ数年続いている。
……なぜ、未だ生きているんだ?
…のうのうと生きている自分に対して、自問自答をする。
生活が苦しいながらもほんの少しの余裕を持てるようになってからは、暇さえあればこんなことを考えるようになっていた。
「何か考え事かね?」
後ろからそんな声が聞こえてきた…振り替えると、見慣れた姿があった。丸眼鏡に白髪、薄汚れた服を着た老人。
「……コルダさん…」
この数年間、こんなどうしようもない私に色々と世話をやいてくれているじいさんだ。私が、自分自身が、なぜこのような状態になったのか、少しでも反省ができるようになったのは、ほとんどと言っていいほど、コルダさんのおかげだ。
「悩みは一種の不治の病という …しかしのぉ、それを打ち明けることで少しは楽になると思わんかね?」
コルダさんはどんな人にだって、そんな決まり文句で相談事に受け答えてくれる。曰く、それが自分の多くの使命の中の一つなんだとか。
「大丈夫です…」
「ほっほっほ、ならいいんじゃがの…」
そう言ってコルダさんは、数巡か思案するような仕草を見せ、こちらに体を向けた。
「…のぉ、レオ坊や、人生をやり直そうと思わんかね?」
唐突にコルダさん周辺の空気が変わり、そんなことを聞いてきた。時々おかしなことを言って場を和ませることもあるコルダさんだが、今回ばかりは何かが違った…
「……?………どういういm」
「———まぁ答えは聞かんがのぉ」
どういう意味か問おうとした言葉は地面から突如現れた光に対する驚きで掻き消され、最後にコルダさんは何か言っていたが、聞き取るまもなく私は地面に呑み込まれていった。
続くかな…?