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短編

作者: 雪猫
掲載日:2026/09/24


彼は何年も短編を投稿していた。


悩みは、短編の数と共に膨れ上がった。



思えば、数が50を超えた頃から、


少し不都合を感じていた。



その後悔は、


『あらすじを、まともに書いておくべきだった』


ということだ。



『長編ならばまだしも、


短編なのだから、


あらすじを書いてもネタバレにしかならない。


せいぜい、コメディーかホラーかSFかなど、


ジャンルを書くぐらいで良い』


そう思っていたが、


今にして思えば、自分のためにも


まともに、あらすじを書いておくべきだった。



そうすれば、物語のタグ付けのように、


わざわざ開かなくても、どういう話か分かり、


整理も楽になったはずだ。



今では膨大な数になりすぎて、


見返すことも難しい。



だからといって、


八千を超えた数に対して、


あらすじを今から書き始める気にもなれない。



新しい短編を今日も書きながら、


彼は自分の悩みをまた一つ、大きくしていった。




また新しく短編を一本書き上げた。


タイトルを付けた時、


ふと、妙な感じがした。



なぜそんな感じがするのか。


読み返しても分からない。




何かに促されるように、


以前の履歴を遡ってみた。




10日前。



8ヶ月前。



1年前…。







あった。





全く同じタイトルの短編が。




開いてみる。




そこには、今書いた短編と


全く同じ内容


同じ文章が


あった。



もちろん、細かな句読点の位置や、


語尾が丁寧語になっていたりと、


違いはある。


しかし、一文一文の言い回し、表現、内容


その全てが、


同じだった。




書いた覚えがない。


忘れていたのか。


だが、間違いなく自分の文章だ。



そうか。



忘れて、


全く同じ短編を書いていたのか。


タイトルまで同じとは。




一人の人間が書いたとはいえ、


こんなことがあるなんて。




確かに、何千も短編を書いていたら、


こんなことが一回はあるかもしれない。


しかし…。




彼は嫌な予感がした。


動悸が激しくなる。


彼は、自分のPC内を


短編のタイトルで検索してみた。




同じタイトルの短編が


12件出てきた。




吐き気がした。




数年間の内に、別々の時期に書かれた


同じ内容の短編だった。




愕然とした。





それからは地獄だった。




一つ一つの短編を、


タイトルで調べ、


中身を見て調べた。




1つの短編は15本の短編と重複していた。


別の短編は26本の短編と重複していた。


また別の短編は45本の短編と重複していた。



重複がある短編の数を数えたら、


1000を超えていた。




気付かなかった。


全く気付いていなかった。


そんなことがあるか?


自分では、


新しい短編と思いながら、


何度も繰り返し同じ短編を書いていたというのか?




彼は唖然とし


そして、


その虚しさに


絶望した。






数カ月後、


彼は起き上がり、


一つ一つの短編を整理し終え、


それらと重複していない


新たな短編を書き始めた。



いつもより倍以上の時間を掛けて


書き終えた。



その出来に、


彼自身、満足した。




他の短編と重複がないか、


何度も見返した。




そして、間違いないと確信し、


新たに投稿しようとした。






その時ふと、


また


妙な感じがした。





彼は試しに、


その短編のタイトルを、


ネットの検索にかけてみた。





彼が今


新たに書き上げた短編と


同じタイトルで


同じ内容の


別の作者の短編が


画面に表示された。







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