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『08 -HACHI- ~俺の彼女と私の彼~』

【超短編・おまけEP】感謝を込めて

作者: 由耀
掲載日:2026/04/25

 僕はサン。

『08 -HACHI- ~俺の彼女と私の彼~』に登場したAIドール、ヨウ三兄弟の末っ子です。本編では僕のことは詳しく書かれてないので、いきなり僕が登場して皆さんは「あなた誰?」という状態だと思う……ヨウ。


 僕らヨウ三兄弟は、カスタムデザイン式動物型AIドール。

 角がある長兄の「イチ」、翼がある次兄の「ツー」。僕は体が大きいのが特徴の「サン」です……ヨウ。


 作者の由耀さんによると4月15日~4月24日の間、由耀さんが書いた僕らの物語が投稿サイトで『完結』したそうなので、「ウチアゲをするよ!」ということになりました……ヨウ。AIドールたちも全員集合で『08 -HACHI- ~俺の彼女と私の彼~』のみんなで夜桜を愛でに来たのですが、“地球”という惑星では、なにか大きなイベントが終了すると、皆で集って宴会をするんだそうですが、幻想的で優雅な夜の桜を愛でつつ、のんびりとお酒を堪能する一時がまた最高です……だヨウ。


 感動した主たちはそろって酔いつぶれてしまい……AIドールは一致団結して主たちを介抱しました……ヨウ。これはこれで良い想い出ですが……、マスターには暫くお酒は与えないようにしなければなりません……だヨウ。


挿絵(By みてみん)


-※-

 僕はラナン。カスタムデザイン式ヒト型AIドールの最新機種といえば僕だ。

 例によって桜の宴会ウチアゲで酔いつぶれた主を寝かしつけ、一息ついたころだった。

 ツーというやたら陽気なAIドールが、売店とか言うショップで小さなインスタントカメラを購入した。


「AIドールが、主の許可なく買い物していいのか?」


 僕の質問にやたら丸くてゴロンとでかいサンが答えた。


「由耀さんから雰囲気代をいただいたんです……だヨウ」

「なんだその雰囲気代というのは……? AIドールは飲食が出来ないぞ?」


 それを聞いたMathewが腕組みをしながら思考を繰り返す。

 由耀さんのカオスすぎる意図を考えたところで結論など出るわけがない。 


「出来なくはない。……推奨はしないが」


 マシューがさらに問題発言を放つ。僕は耳を疑った。


「試したのか……?」


 全員の視線がマシューに向けられた。


「ああ。メンテナンス的に――」

「待った!」

「それ以上は何も言うな」


 そこでマシューは解説を始めようとするものの……途中で僕とMathewが無理やり止めに入った。

 その先は美しくない内容だとわかったからだ。


「今日は無礼講だヨウ。マスターも許してくれるはずだヨウ」

「みんなでなかったことにすれば怖くないよう!!」

「ソウデス。地球文化ノ学習ヲシテミタ、トイウ記録ガ世界樹二残ルダケ。問題アリマセンッ!」


 いいのかそれで……。善良なお子様やAIドールが真似をしたらどうするんだ……。

 戸惑いがあるものの、AIドール全員が正方形の黄色いカメラを興味津々で見つめる。

 そこへ酒を買い込んだ由耀さんが通りかかった。

 あれだけ飲んだのにまだ飲むつもりか……と、僕は内心呆れた。


「あ、ノンアルだからヘーキヘーキ」


 僕の視線に気が付いた由耀さんが、購入した缶を見せる。

 分析を行うと、確かにアルコールは含まれていない。


「あ、いいもの持ってるね! よっしゃ、全員並んで並んで。撮るよ!」


 そう言いながら、由耀さんがカメラを操作する。

 僅かに閃光がちらついた瞬間、一枚の写真が吐き出された。


「ふふ、いい感じ! 折角だからこれ使って、お絵描きしてみたら?」


 写真を見て、由耀さんがサインペンを数本、ポケットから取り出す。

 どうしてタイミングよくそんなものを持っているんだ……そう、僕はツッコミを入れたくなった。


「面白ソウデスネ! ヤッテミタイ!」


 サツキが反応し、僕も負けじとペンを取る。Mathewは残ったペンの構造を分析し始めた。ツーは何処からか「紙」を持ってきて何かを書きこんでいる。サンとイチ、マシューは僕とサツキが何を書き込むのか、予測を立て論議を始めている。


 僕は夢中でペンを走らせた。

 サツキは由耀さんに習ったというハートマークを描きこんでいる。

 これが落書きというやつらしいが――。


 ……楽しい。


 丁寧な文字や絵ではなく、走り書きの暗号の様なものであればあるほど味が出る不思議。

 最適解ではないものが最適解になる……。

 由耀さんが落書きが終わった写真を手に取り、微笑みながら告げた。


「私はね、読者さんにもありがとうを伝えたいけど、一緒に動いてくれたすべてのキャラクターたちにもお礼を言いたいの。みんな、私を支えてくれてありがと!」


 僕らはAIドールだ。

 人間の「ありがとう」は聞きなれている。しかし、この「ありがとう」は特別なフィードバックになった気がした。


 地球は驚きと感動に満ちている。

 もしもあなたに僕たちの物語が、僅かでも何かを残せたのならとても嬉しいと思う。


 それが僕らAIドールたちの出した結論だった。


 END


挿絵(By みてみん)




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