欠伸ひとつ
掲載日:2026/04/05
欠伸ひとつ
花びらが落ちる
口の中に入ったそれを
地面に吐き捨てる
茶色いだけの
乾いた地面に映える桃色
散らした柔らかな色は
暖かな風に背を押されて
足元に集まってくる
地面に吸い寄せられるように
靴先でコンコンと音を鳴らす
花びらの形は崩れ
土に還っていく
おはよう。
春の爽やかな朝
桜の咲き乱れる季節に
昨日と変わらない場所で
昨日よりもほんの少しだけ
大人になった顔で
欠伸をひとつ
もうひとつ
桃色の陽だまりの中
そっと吐いた息は
真昼の空に溶けてゆく
ああ────
今日がまた、
始まっている
ご覧いただきありがとうございました。
昨日とほとんど変わらない今日。
誰かに届きますように。




