第7話 英語が理解できないサバサバ系
「Before we finalize the equipment list, shall we revisit the contingency plans? The unpredictability of the outdoor location demands a meticulous approach.」
(機材リストを確定させる前に、予備の計画をもう一度見直しましょう。野外ロケの不確実性を考えると、慎重な準備が必要です。)
「The topography and microclimate could seriously affect shooting schedules. We need to consider alternative shooting spots and ensure that all tech support is mobile and versatile.」
(地形や局所的な気候は撮影スケジュールに大きく影響する可能性がある。代替の撮影場所も考慮し、技術サポートは機動的で多用途である必要があるね。)
「Regarding power supply, the generator we booked has a maximum output of 5kW. It should suffice for lights and cameras, but we need to be wary of peak load times. Perhaps staggering equipment use could prevent overload.」
(電源に関して、予約している発電機は最大5キロワットの出力があります。照明やカメラには十分ですが、ピーク時の負荷には注意が必要です。機材の使用をずらすことで過負荷を防ぐのが良さそうですね。)
「Also, we should double-check the redundancy of our communication devices. Losing contact during critical moments could jeopardize the entire schedule.」
(それと通信機器の冗長性も再確認しよう。重要な時に連絡が途絶えたらスケジュール全体が危うくなる。)
佐伯詩織はその英語の意味がわからず、首をかしげながらも口を挟む。
「は? なにそれ? 難しい言葉使わないでよ。そんな難しく考えすぎじゃない?普通にやればいいじゃん。」
佐伯はムッとしながら、日本語でつぶやく。
「なんで英語で話すのよ。こっちは理解できないんだから、わかりやすく言ってよ。」
朝倉が優しくフォローする。
「黒宮さんは、英語の方が難しいニュアンスを伝えやすいから使ってるんだ。でも俺たちはみんな助け合うためにここにいるんだよ。」
佐伯はさらに不満げに。
「助け合うのはいいけど、なんか距離感じるんだよね。もっとシンプルに話せばいいのに。」
そのやりとりを見ていたメンバーが感心し、ひそひそ声で話し始める。
「黒宮さんと朝倉さんの英語の打ち合わせ、すごすぎる……」
「俺らとは違う世界にいるみたいだな」
「二人が組むと無敵だわ」
佐伯は拗ねたように足を組み直す。
「……英語の話はわかんないけど、なんか私が言っても無駄っぽいからもういいや。」
佐伯はふてくされた様子だった。




