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塩マネージャー vs サバサバ系女子、私が選んだ対抗策は ‘ぶりっ子’ でした  作者: 雨宮 叶月


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第31話 大型企画の代表責任者は?⑤

「じゃあ、現場側の取りまとめ役は、黒宮と佐伯、どちらかということで」


部長の一言に、会議室の空気がわずかにざわつく。


「ただし、今回は“複数部門を巻き込む形”になる。制作だけじゃなく、営業、広報、そしてLUCENTのマネジメント本部とも連携するから、サブを一名、他部署からつける」


「サブ…ですか?」


「そう。あくまで主導はお前らのどっちか。けど“組む相手”を誰にするかで、こっちも判断したい」


それはつまり、“相手選び”が実力の判断材料になるということ。



「ねぇ、黒宮さん」


会議のあと、佐伯が話しかけてきた。


「どーせなら、そっちも営業の宮原さんと組めば? あの人、黒宮さんのこと好きそうだし~」


「 私、相手が“好きそうだから”って理由では、仕事組みませんからぁ♡」


「は? なにそれ、マウント?」


「いえ♡ 価値観の違いでぇす♡」



その日の午後、佐伯はさっそく動いた。


広報部の木村さん――若手ながら実力派で、上層部からも評価の高い人物。彼女にわざとらしい明るさで近づき、ランチに誘っていた。


「ねぇ木内さん、今回のプロジェクト、広報側からってどう関わるんですか? ちゃんと“現場の温度感”伝わってるのかなーって思って」


「まぁ、全体戦略がまだ固まってないからね。私たちも様子見って感じかな」


「じゃあ、さぁ。私が広報との連携うまくやるってことで、前出てもいいかな~? あ、言い方アレだけど、“黒宮さんって裏方っぽい”から、そっちお願いしてもいい?」


……もちろん、そのやりとりは、ちゃんと私の耳に入っている。

人づてに、静かに、確実に。



「黒宮さん、今回、誰と組む予定ですか?」


霧島が近づいてきて、小声で尋ねた。


「悩んでるとこですね」


「ちなみに……俺、暇ですけど?」


「ふふ、 その場合、霧島さんに“動かないと殺気立つ佐伯さん”の相手をお願いすることになっちゃうかもですよ?」


「……それ、仕事って言っていいんですかね」


私はパソコンを閉じ、ゆっくりと席を立った。


向かった先は――営業部。


「宮原さん、今少しお時間いいですか?」


「ん、黒宮ちゃん。ちょうど聞こうと思ってたとこ」


「私、プロジェクトの件でパートナーをお願いしたくて」


宮原の顔が、ぱっと明るくなった。


「本当?じゃ、あの件、俺と黒宮ちゃんタッグで行くってことで?」


「ええ、“実務優先”で動きたいので」



数日後。社内回覧に、担当チーム案が共有された。


「メイン候補:黒宮 + 宮原」「対抗案:佐伯 + 木村」


それを見た佐伯が、目を丸くする。


「え、ちょっと待って……黒宮さんと組んだの、宮原さんなの?」


「はい♡ “現場経験者と営業視点の融合”ってことで、説得力ありましたからぁ♡」


佐伯は顔をひきつらせ、悔しそうに拳を握りしめた。


でも――その表情は、まだ“負けた顔”じゃない。


次に何をしてくるのか。

私は、ペンを指でくるくると回しながら、静かに予測を始めていた。

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