表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
塩マネージャー vs サバサバ系女子、私が選んだ対抗策は ‘ぶりっ子’ でした  作者: 雨宮 叶月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/46

第25話 明るい?

「颯真くんってさ、誰にでも優しくて、場を明るくできるタイプじゃん? 私、そういうタイプと波長合うんだよね〜」


控室に入るなり、佐伯詩織がさっそく言った。


その向かいで望月颯真は、ニコニコといつもの笑顔で「え〜、ほんとっすか? 嬉しいな〜」と返していたが、目だけは死んでいた。

――またですか、みたいな目だった。


「じゃあ今日は望月さん中心に、今後のSNS対応方針のすり合わせと、取材の受け答え確認をお願いします」


「はい!」


「っていうか、私そういう“コメント作る系”得意なんですよね! メンバーの代わりに答えてあげたり、けっこう適役だと思うんです!」


……誰が頼んだ。


「でも私、そういうのって“素”が大事だと思ってて。だから無理に台本通り答えると、逆に不自然に見えるっていうか?」


「じゃあ佐伯さん、例として答えてみてくださいます?」


「えっ?」


「“最近よく聴く音楽は?”って質問がきた場合、望月さんに代わってなんて答えますか?」


「えーっと、そうですね〜、颯真くんって明るいし、ポップ系? なんかアイドルっぽいやつ? あ、でも意外とギャップで洋楽とか?」


「ふわっとしてますね♡」


「じゃ、なんて答えるのが正解なんですか?」


望月が笑いながら言った。


「最近は落語聴いてます。“間”の勉強に」


佐伯、目をまんまるにして絶句。


「……え、なんで」


「いやいや、笑わせる“間”って、勉強になるんすよ」


「マジで……? え、ちょっと、ギャップ……すご……」


「佐伯さん、息してくださ〜い♡」


その後も、佐伯の“自分アゲ”は続いた。


「私、メンバーの笑いどころってけっこう見抜けるんですよ? 颯真くんってツッコミ側だし!」


「……僕、だいたいスベるの見て笑ってる側っすけどね」


「え? そうだったの?」


「“ツッコミ”ってより、“静観”って感じっすね」


「あっ……でも私、“静観してる人を笑わせる自信”あるんで!」


颯真がにこにこと笑いながら私に言った。


「黒宮さんって……こういう時どうやって耐えてるんすか?」


「お薬の時間ですぅ♡」


「その返し、好きです」


休憩中、佐伯が他のスタッフに軽く吹聴していた。


「颯真くんって、なんか最近“私といる時が一番楽しそう”に見えません? やっぱ私、ムードメーカーなんですよ〜」


それを聞いていた霧島がぽつりと一言。


「……そもそも“楽しそう”って言われる時点で、本人は楽しくない可能性ある」


「深いな」


天城が感心していた。





会議が終わり、私と望月が隅で少し確認していたとき。


「そういや、黒宮さん。あの“逆ハイテンション”処理、いつもどうしてるんですか?」



「企業秘密です。でも望月さん、どんな相手にも崩さないの、すごいですね」


「いやいや、僕も人間なんで。実は、無になってる時間あります」


「……じゃあ、あの笑顔は?」


「防御です。ある意味、僕も塩です」


「へ〜♡ 仲間ですねぇ♡」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ