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塩マネージャー vs サバサバ系女子、私が選んだ対抗策は ‘ぶりっ子’ でした  作者: 雨宮 叶月


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第20話 打ち合せ

都内某スタジオの小会議室。

今日は新規案件のビジュアル撮影について、クライアント側とマネージャー陣で打ち合わせ。

LUCENTのスケジュール調整、衣装、演出案……調整すべき事項は山積み。


私はいつも通り淡々とノートパソコンを開き、資料を一枚ずつ確認していた。

それを横目に、隣の佐伯詩織が開口一番に放ったのは──


「えっ、こんなに細かく詰めるんですか? てか、ぶっちゃけ現場でやりながら調整すればよくないです?」


会議室の空気がわずかに揺れた。

クライアントの担当者が、にっこりと笑ったままフリーズしている。

霧島が目を伏せ、望月は無言でアイスコーヒーをかき混ぜた。


「佐伯さん、“やりながら”で済む現場もありますけど、今回は大型広告ですよ♡ミスが起きた時の損失、想像できますかぁ?」


「んー、まあ確かに。それなら…やりながらじゃなくて、現場に強いチームでやるとか?」


「詩織さん、“強い”って、何ですか? スキル? 運? 場数? ……“空気”?♡」


「そっちの返しのが怖いわ!」


私は笑顔のまま、資料をめくった。


「朝倉さんはこのビジュアル、どのポジションがしっくりきますか?」

「中央に蓮を据えて、俺は斜め右。光の入り方に合わせれば、自然に目が行く配置になると思います」


「天城さんは?」

「朝倉さんの意見、僕も賛成です。正面は僕より彼の方が存在感があるので」


佐伯が眉をひそめてぼそり。

「ていうかさ、天城って最年少なのにいつも冷静でしっかりしてるよね。逆に裏がありそう」



成瀬がタイミングよくフォローを入れる。

「蓮は、蓮だから。疑っても意味ないし」


「いや、普通に思っただけだけど?」


「それ褒めてるのか、警戒してるのか、どっちですかぁ?」



「……黒宮さん、それ煽ってますよね?」


もちろん。私はぶりっ子で真顔を貫くプロフェッショナルだ。


打ち合わせが終盤に差しかかる頃。

佐伯が急にメモを放り出した。


「つか、こういうの、考えすぎると逆にやりにくくないですか? もっとさ、現場のフィーリングとか直感とか──」


「直感の精度が高いなら、最初に出した3案のうち、どれが通ったか覚えてます?」


「…………いや、うん、まあ、たぶん2番目?」


「外れですぅ♡」


クライアント担当が小さく噴き出した。


「黒宮さん、ちょっとだけ意地悪ですね」


「“ちょっとだけ”で済んでいれば、まだ優しいほうです♡」


会議室の空気がやっと軽くなる。


朝倉がふとつぶやいた。

「こういう温度差が、逆にバランスかもしれませんね」


霧島は無言でうなずき、望月は「まあ、チームってそんなもん」と一言。


私はスケジュール表にさらっと書き込んだ。

――次回調整会議、佐伯の発言回数:制限あり。




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