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塩マネージャー vs サバサバ系女子、私が選んだ対抗策は ‘ぶりっ子’ でした  作者: 雨宮 叶月


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第18話 メンバー④ 最年少の気持ち

控室で資料を整理していると、天城蓮が静かに近づいてきた。

「黒宮さん、今の次のスケジュール、確認してもいいですか?」


最年少ながら、メンバー内でも群を抜いて落ち着いた物腰の蓮。

けれどどこか、素直に甘えられない最年少らしい距離感がある。


そして、彼の丁寧さは、気遣いを感じさせる。



撮影スタジオでの待ち時間、蓮はメンバーの中でも静かな観察者だった。

霧島が機材の位置を確認するのを横目で見て、

「奏、今日の動きはもう少し滑らかにしたほうがいい。観客に違和感が残る」


望月が驚いて振り返る。

「蓮、そんなことまで見てるのか?」


「細かいところを見ないと、完成度は上がらないと思うから」


その言葉に颯真は小さく笑った。

「やっぱり最年少とは思えないな」


そんな天城に、佐伯詩織が珍しく声をかけた。

「天城って、真面目すぎない? もっとリラックスしたら?」


蓮は一瞬考え込み、すぐに答えた。

「そうですね。でも緊張感がないと、ミスは増えますよ」


「だから固いって言われるんだよ」


「固い、ですか」


天城はそれを否定せず、ただ静かに周囲を見回した。


私は彼らの会話を聞きながら、内心で思う。

“天城は最年少だけど、軽さが全くない。むしろ私より落ち着いている時もあるくらい”


だが、その“理知的な重み”は、決して重苦しくなく、メンバーたちに安心感を与えている。



ある日のリハーサル後。

天城は少しだけ疲れた表情を見せた。


私は声をかける。

「無理してない?」


「いえ。僕はここで失敗できませんから」


「そういうとこ、ちゃんと直していこう」


しばらく黙ってから、

「ありがとうございます。…でも黒宮さんはどうですか? いつも冷静すぎて、感情が読めないって言われませんか?」


微笑みながらも無表情のまま、

「よく言われる」


蓮は軽く笑った。

「それ、意外と便利ですよね」


数日後、佐伯がぽつりと言った。

「蓮ってさ、やっぱり最年少なのにしっかりしてるよな。ていうか何考えてるか分かんないけど」


「天城さんは自分のペースを守っているだけですぅ♡無理せず、自分の中の基準を崩さないんだと思います♡」



佐伯はため息をついた。



スタッフと話している天城の声が聞こえてくる。

「ありがとうございます。期待に応えられるよう、頑張ります」


私はふと、思った。

“最年少だけど、誰よりも頼れる存在。これが彼の魅力なんだ”


それは単なる年齢の問題ではなく、彼自身が選び取った居場所の形だった。

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