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剛腕JK  作者: ロキ
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第1部 同好会編

 小学校からの幼馴染達と一緒に田無たなし第一高校に入学したあたしは

硬式女子野球部を作ろうと張り切っていたんだけど……


 野球って9人集まらないと出来ないんだよね。

野球部のない都立の進学校で、野球をやろうなんて女の子は、希少種……

もとい、存在を確認する事が難しいんだ。

ダンスや、バレーボール、バスケなんてのは人気なのにね。


 おかしい。小学校の時は、野球をやってる女子はいっぱいいたのに。

なんで?

そんな事を友達にいうと、

小学校の頃は男子と体格も変わらないし、力の差があんまりなかったから、

混ざってやっても楽しかったけどさー

中学になると、男子はどんどん大きくなるし、力も強くなるから、

かなわなくなっちゃうでしょ。

混ざってやる事もなくなって、女子だけでやるってなるんだけど

そうすると人数が少なくなってさー

高校まで野球をやるなんて子は、野球部のある高校に行っちゃうんだよ。


正論だ。

知ってたなんて言うと、負け惜しみになっちゃうから言わないけど。

ワンチャンないのかなって思うじゃん。

野球好きな女の子が9人集まる未来。


そんな未来は来なかった……

完全敗北。

試合に負けたんじゃなくて、試合も出来ずに負けた……


あたしを含め幼馴染4人で、勧誘してたけど1人も来ず。


同好会を作るにも5人必要で、同好会すら作れない。

4人で世界の終わりが来た時の顔ごっこをしてたら、メガネ女子がやってきたんだ。


「ここで、硬式女子野球部の勧誘をしてるって聞いたんだけど……

あってる?」


メガネ女子は、変顔で振り向いちゃったから、かなり引いてる。


「え?」

「女子?」

「本物?」


なんていうか、あきらめかけてたからね、みんな。

こんな反応になってしまってもしょうがないんだ。


「本物? どういうこと?」


メガネ女子もこういう反応になるよ。うん。


「あぁ、ごめんごめん。

硬式女子野球部同好会の勧誘やってます!

あたしは、小金井沙有珠こがねいさうす

左投げ左打ち、ポジションはピッチャーやってます」


野球部の自己紹介ってこうなっちゃうんだよね。


メガネ女子は、はぁとか言ってたけど、何かに気づいちゃったみたいで。


「あれ? 硬式女子野球部……同好会?」

「うん、そうなんだよ。9人集まらないと野球部には出来ないって言われてね、

しかたなく同好会から始めようって事になったんだけどさ、

女子野球部同好会にしたら、なにを勘違いしたのか、男子が来る様になっちゃってね」


「はぁ

だから、じろじろ見られたんだ……」


メガネ女子は独り言ぽく呟いてたけど、あたしは耳がいい!

全部聞こえちゃったぞ。


「まったく、男子ときたら、女子野球部を愛でる同好会じゃないっていうのにさー

ほんとバカだよね」


あたしがそんな話しをしている間に、幼馴染の友達達は、入部希望の紙を用意し

椅子を引いて、メガネ女子を座らせている。


希少種確保だ! 4人の連携に言葉などいらない。


流れる様に椅子に座らせ、入部希望の紙に名前を書かせている!


西国分寺 と名字みょうじを書いた所ではっと気づいたメガネ女子。


「えっと、まだ入るって決めたわけじゃなくて……」


ちっ

気づかれた。

たぶん、4人とも同じ気持ちだ。


「それに、わたし選手じゃなくて、マネージャーなら参加してもいいかなって思って」


マネージャー。

女子マネ。

いい響きだ!


「もちろん! マネージャーでもなんでもやってくれていいから!

さ、ささ、名前書いちゃって!」


「いいんですか?」

「いいよ! いいに決まってるよ! ねぇ、みんな?」


こくこくと頷いてる3人。


「決まりだね。マネージャー!」


入部希望の紙には、西国分寺にしこくぶんじ すばると書かれていた。


「やったー! 同好会だー!

顧問の先生は担任がやってくれるって言ってたから、早く申請の紙、出しに行こう!」



こうして、なんとか同好会設立まではこぎつけたんだ。


5人じゃ試合は出来ないけど、いつか9人になるってこの時は信じてたんだ。


お読み頂き有難うございます!

よろしければ、ブックマークと評価の方も宜しくお願いいたします。

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