3.8.70 龍神様、ついに覚醒っ!?
「ミュイ〜、ムレビトの姿で戦うの、ちょっと動きにくいね」
「それでもドリーにかかればどんな獲物でもミュルミュルやっつけるんニャミュ〜」
スキルと称号の検証をあらかた終えたところで、あたりは少し暗くなってきた。
急いで晩飯を確保だけして、真一は今日は休むことにした。
本格的なレベル上げは明日からなので、2人にちゃちゃっと狩りをしてもらう。
だけど人間状態ではいつもと感覚が違うみたいだった。
それでも腕力とかのステータス面は、ドラゴン形態のときと変わらないらしい。
エピーが狩ったのは、なんか毒々しい色のデカいダチョウみたいなヤツである。
動きにくいとか言いつつ、ワンパンだった。
なんでもこの森ではかなり美味い部類のモンスターらしい。
あまりにもドギツい色に、とてもそうは見えない真一だった。
せめてもと料理をしようと思ったのだが、首しか動かないんじゃどうにもならない。
炎熱魔法も炎熱ブレスも使えないから、火も起こせなかった。
それに食いしん坊ドリーが『待て』を出来るはずもなく、さっそく食事を始めていた。
ちなみにドリーはもの凄い勢いで食べているが、エピーは割と丁寧にゆっくりと食事をしている。
「エピーはあんまり食べないの?」
「ミュイ〜、どっちが食べても同じだからね」
「ニャミュニャミュニャミュっ!」
「それじゃ極端な話、食べるのはドリーだけでもいいってこと?それじゃお腹空くんじゃ?」
「大丈夫っ!ドリーがたくさん食べれば、エピーもお腹いっぱいになるからね。エピーもちょっとは食べるけど、気分の問題かなぁ」
「ニャミュニャミュ〜っ!」
どうやら『食事担当』はドリーという話は、本当のようだった。
会話の最中も一切食事の手を止めないドリーである。
とはいえ真一はドリーとは文字通り『別腹』なので、エピーに少し分けてもらって生肉を食べることにする。
ドリー?
分けてくれるわけないだろっ!
「うん、肉は柔らかいけど味は、、、普通に生臭い、、、」
確かにカラフル大蛇より食感が良く、マンモスカエルの肉に比べれば遥かにマトモだ。
だけどこれがこの森でトップレベルのエサだと言われれば、もっと美味い物を求めるドリーの気持ちが真一にも痛いほど分かる。
とりあえず明日以降の食事は果物にしようかと考えるのであった。
ちなみにエピーとドリー的には、果物より肉の方が好きらしい。
味以前に種族による本能的な嗜好があるのかもしれない。
もっともドリーは単純に果物なんかじゃ量が物足りないだけな気もする、、、
食事を終える頃には日も沈み、あたりは真っ暗になっていた。
周囲を照らすのは、薄いピンク色の月明かりだけである。
ちなみにこの世界の『月』とは、自然の衛星とか天体ではなく、例の『巨大天空神殿』のことである。
コアは球体の人工物なのだが、中央の球体を囲むように何本ものリング状の柱が取り囲んでいる。
その柱がギリシャの神殿っぽい感じに見えるのだ。
そんな天空神殿は、巨大山脈の中心にあるバカ高い山の真上で輝いていた。
山の頂上から立ち昇る不思議な光の柱が、夜でもうっすらと照らし出されていて幻想的だ。
現在の月齢は、『半月』よりちょっと満ちているくらい。
日が沈む頃に見たときは『半月』より少し欠けていた気がしたが、見間違いだろうか?
今さらだけど、不思議すぎる異世界の光景である。
「なぁ、エピー。空に浮かんでるアレって何なんだ?」
「ミュイ〜、何だろうね?」
「美味しいニャミュ?」
うん、この子らに聞いた俺がバカだった。
そう思いつつも今日の活動はおしまいの真一。
とはいえこの世界の夜は長いし、眠気もそれほどでもない。
休みながら2人と話でもすることにした。
「エピーとドリーは夜はどうするんだ?狩りとかするのか?」
「寝るよ。夜は暗いからエサを見つけにくいもん」
真一はファンタジーものでドラゴンは夜行性だとか聞いたことがあったが、とんだガセネタであった。
「だけど2人同時に寝ることはあんまりないニャミュ〜。交代だからね〜」
やはりどうやら2人で交代して見張りをしながら眠っているそうだ。
これだけ危険なモンスターだらけの森では、当然の用心なのだろう。
ちなみに交代しているときは、エピーは1人で食べられるものを集める。
次にドリーが起きる番になると、その集めたエサを黙々と食べているらしい。
しかもエサを食べ終えたドリーは、眠気に負けて見張り中に居眠りすることもしょっちゅうだそうだ。
おいドリー、少しは働けよっ!!!
本当にドリーが食っちゃ寝のぐーたら穀潰しすぎる。
甲斐甲斐しく世話をするエピーが不憫で仕方ない真一だった。
「シンは夜に何をしてるの?」
「俺はここに来たばっかりだからなぁ。毎日生き延びるだけで必死で、疲れ果てて眠ってた」
「今はドリーがいるから大丈夫ニャミュっ!」
「そうだな。余裕もできてきたし、これからは人間らしい夜の楽しみ方もできるようになるかな〜」
「ミュイ〜、ムレビトって夜は何をするものなの?」
そりゃ、何ってナニだよなぁ、、、
「この世界のことはあんまり分かんないんだけど、どっちの世界でも夜にやることといったら、、、交尾かなぁ」
ちょっと照れながらも、思いきって口にする真一。
いまだに2人と交尾をすると考えるだけで、全身が火照ってしまう。
「ミュイ〜、ムレビトは夜に交尾するんだねっ!えーとね、カミュリャムは毎日ね、朝から晩まで交尾するんだよっ」
「マジかよっ!?ってか、エピー、何でそんなこと知ってんの?」
至聖龍の日常がエロティックすぎるっ!?
ずっと交尾しっぱなしってさすがにいろいろガバガバになるだろ!
エピーの知識はいろいろ抜けがあるし、何かの間違いではないだろうか?
「母が言ってたよ♪、良いオスを見つけたら、一日中交尾するんだって」
それは言葉の綾ってヤツじゃないかなぁ、、、
「一日中はィヤだなぁ。ドリーは一日中ご飯がいいっ!で、お口直しにコウビするニャミュ〜♪」
『お口直し交尾』ってワードがストロングすぎるわっ!!
食事の合間に『大人の食事♡』かよ?
ウチの肉食っ子のハングリーっぷりが留まるところを知らないっ!!
「そうだ、シンっ!夜になったし、今からコウビするニャミュ〜」
「だから身体がないからできないんだって」
真一だってできることなら可愛いドリーやエピーと交尾したくてたまらないのだ。
せっかくのお誘いなのに悔しすぎる。
「ミュイ〜、でも頭はあるよね?シン、頭だけじゃ交尾できないの?」
「頭だけで交尾っ!?」
それは真一にとっては盲点だった。
エピーに言われて初めて気づいたが、確かにお口でエッチ♡は普通にあるプレイである。
とはいえ真一の身体はここにはないので、お口で何かしてもらうのは無理である。
逆に真一の口で出来るプレイといえば、、、
舐めるかっ!!
あんなトコやこんなトコを♪
ってダメだ、届かないっ!
2人の胸も、アソコも、、、
いい考えかと思ったが、結局真一にできることはなかった。
血の涙を流して残念がる真一。
とはいえ隣りにある2人の顔になら、首を伸ばせば余裕で届く。
つまりそれは、、、
キスができるじゃないかっ!!
生まれてこのかた、キスなんてしたことのない真一である。
その甘美なアイデアに、一気にテンションが上がってきた。
憧れの由華先輩そっくりのエピーとドリー。
こんなカワイイ2人とファーストキス。
心臓のドキドキが止まらない。
「あ、、、頭だけで出来るとしたら、、、き、キスかな?」
口ごもりながら、恐る恐る言ってみる真一。
すると、、、
「ミュイっ!キスって何なの!?」
興味津々のエピー。
「何だか美味しいそうな響きがするニャミュ〜♪」
食欲MAXのドリー。
2人ともキスの存在すら知らなかったようだ。
だけど期待に瞳を輝かせるその姿は、まさに性に目覚めたばかりの少女のようだ。
これはファーストキス、いただけるかもしれない。




