表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/436

1.7.7 いきなり初の異世界バトル

■ここまで■

生首だけで危険な異世界の森に送られてきた真一は、さっそく巨大トラモンスターに襲われてしまう。

「お、、俺なんて美味くねーよ?」


 かすかな希望を込めてコミュニケーションをとろうとしてみる真一。

 もちろん日本語が巨大トラモンスターに通じるはずもなかった。

 エサの匂いを確かめるように、巨大トラの顔面がゆっくり近づいてくる。

 大口を開け、ヨダレ垂らし、鋭い牙を見せつけながら。

 今から噛み殺されようとしているのに、真一には逃げることすらできない。


「ファイアーボール!ウィンドカッター!なんでもいいから出てぇーっ!!」


 ダメ元で魔法を詠唱してみるが、当然のごとく何も出てこない。

 そうこうするうちに巨大な口が目の前に迫る。

 耐え難い獣の口臭が嗅ぎ取れるほどの距離。

 何かする猶予もなく、巨大トラが真一に噛みついてきた。

 頑強なアゴの鋭い牙が、真一の頭に突き立てられる。

 こんなもの、レベル1の真一などひとたまりもない。

 自分の頭がトマトのようにグチャっと圧し潰される未来が、真一の脳裏に浮かぶ。


 ガキッ!!


 鈍い音が響く。

 真一の頭部に強烈な痛みが、、、


 あれっ、そんな痛くない?

 これも当然のようにダメージ1なのか?


 真一がそんな疑問を頭に浮かべると同時に、、、


「グゥヤァアァンッ、、、」


 猛獣モンスターには似つかわしくない、どこか情けなく聞こえる悲鳴が鳴り響いた。

 真一が見上げると、巨大トラの立派な牙が数本折れてボロボロと落ちていく。

 どうやら真一の頭を勢いよく噛んだときに、牙が折れたようだ。

 巨大トラは弱々しい泣き声を漏らしながら、逃げるように走り去っていった。


 それにしても、、、


「どうしてこうなった?」


 普通ならレベル1の真一に対して、あんな巨大モンスターがダメージを受けるなんて考えられない。

 考えてみる真一だったが、思いつく理由なんて1つしかない。

 真一の特典スキル、『ダメージ最小化』である。


 『どんなダメージでもHP減少1で受けられる』という真一のチートスキル。

 だがその効果はどうやらそれだけではないみたいだ。


「そもそも現実世界でダメージ1って、どういう状況なんだよ!?って話だもんな」


 『頭をブチュっと潰されたけどダメージは1です』とか言われても、『どういうこっちゃ?』となってしまう。

 最大HPが20だから、1ダメージなら身体が20分の1だけ壊れる、、、なんてことも考えにくい。

 壊れ方なんてそんな厳密に計れるものではないだろう。

 そもそもHPが20って、どう計測してんのか?って話だ。

 そう考えるとダメージ1がイコールで、物理的にもその分だけ身体に欠損が生じる、なんてことは考えにくい。


「つまり『何でもダメージ1』って、どんな攻撃を受けてもほとんど傷つかないってこと???」


 『システム的』にダメージ1というのは、『物理的』にはそう実装されている、と考えるのが自然だ。

 どんな攻撃をされても、すぐに治るかすり傷程度で済む。

 そしてシステム的な内部パラメータである『HP』が1減少するだけ。

 なんていう設定になっているのではないだろうか?


 というか実際には、真一は『かすり傷』すらも受けた様子がないのだ。

 あれだけ巨大なトラに思いっきり噛まれたのに、今では何の痛みも感じない。


「これ、、、出血どころか、傷1つないっぽいな、、、」


 自分では見えないが、傷痕ができているようには感じられなかった。

 もしかしたら『防御力』みたいな隠しステータスがあって、それがメチャクチャ上がっているのかもしれない。

 その効果で真一の身体が恐ろしく硬くなっている、と考えられないだろうか?

 巨大モンスターの頑強な牙をへし折れるくらいに。


「これって実はスゲぇチートなんじゃ、、、」


 巨大トラが逃げ去った方向を見ながら、考え込む真一。

 とにかく無事に命の危機を乗り越えることができた。

 いや、無事というにはちょっと語弊ごへいがある。

 なんせ真一はヨダレまみれでグチョグチョにされ、巨大トラにペッと吐き捨てられていたのだから。

 もうめちゃくちゃ気持ち悪い。

 しかも吐き気が込み上げてくるレベルの、とんでもない悪臭もする。

 実際に頭がクラクラしてくるほどだ。


 というかこれ、本当に体調が悪くないか?


 身体がとてつもなく重く感じる。

 今にも倒れそうなくらい、頭が重い。

 真一はこの感覚に覚えがあった。

 あのインチキ神さまにバラバラにされて、瀕死になったときと同じだ。


「あれっ?これって本当に死にそうってこと?」


 もしかしたらいろんなダメージが重なって、HPが残り少ないのかもしれない。

 慌ててステータスを確認しようとする真一。

 けれどもどうすれば見られるのかが分からない。

 あの白い空間で少年が空中に浮かべていたステータス画面を出せればいいのだ。

 けれどもウンウンと念じてみても反応はない。


 声に出さないとダメなのか?

 だけど何て言えばいいんだ?

 アニメだとどうしてたっけ?


「ス、、ステータス?」


 思いついたまま恐る恐る声に出してみる。

 すると例の画面が目の前に浮かび上がった。

 どうやら呪文?は合っていたようだ。

 急いで残りHPを確認する真一。

 だが目に飛び込んできたのは、真一の想像だにしていなかった驚きの情報であった。


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:馬宮 真一

レベル:1

HP:2 / 20

MP:18 / 20

状態異常:

 スリップダメージ 【-0.21 / 10秒】

  ▶切断 ✕15

  ▶毒

  ▶燃焼

  ▶氷結

  ▶水没

  ▶捕食

  ▶真空

スキル:

 ダメージ最小化

 スリップダメージ微小化

 ミニマムヒール

ーーーーーーーーーーーーーーー


「なんかエラいことになっとるっ!!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ