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1.4.4 ミニマイズドビッグバン!宇宙は死ぬ!

■ここまで■

特典スキルとして『ダメージ最小化』をくれた少年だったが、いきなり真一に向けてヤバげな魔法を放ってきた。

 真一の全身が真っ白な閃光に覆われる。

 銀河が消滅するほどの、いや、創造されるほどの熱量。

 全ての物質を消し飛ばし尽くす、超越的な衝撃。

 ちっぽけな人間にはどうすることもできない宇宙規模のエネルギーに翻弄される真一。


 熱いっ!

 痛いっ!


 って、ん、、、


 あれっ?思ったほど痛くない?


 最初は反射的にパニックに陥った真一。

 だが落ち着いてくると、今感じている痛みは余裕で耐えられるレベルのものであった。


「ねっ?ほとんど痛くないでしょ?」


「ほんとだ。デコピンくらいの痛さだ」


「しかもこんな極滅魔法をくらってもダメージ=1だよ」


 そう言って少年が手を振ると、真一の目の前にA3サイズくらいの青白い半透明の画面が表示された。

 ゲームや異世界転生アニメで見たことがあるようなステータス画面だ。


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:馬宮 真一

レベル:1

HP:19 / 20

MP:20 / 20

ーーーーーーーーーーーーーーー


 画面表示を見ると、HPが1だけ減っている。


「確かにダメージ=1だ、、、ってか極滅魔法っ!?」


 確かに話にあった通りの結果だが、気になるのはそこではない。

 さらっと言われた言葉の中に、とてもじゃないが聞き流せない単語があった。


「うん、極滅魔法。君が戦う予定の魔王を100万人分まとめてブチ殺して、ついでに向こうの世界をまるごと消滅させられるくらいの威力はあるよ♪」


 そんな凄まじい魔法を受けてもダメージ1なんて、これは本当にスゴい能力かもしれない。

 しれないのだけど、、、


「そんなヤバい魔法、いきなり使わないでくださいっ!!」


「えー、だって言葉で聞くだけよりも、実際に体験してみた方が安心できるでしょ?」


「それはまぁ、確かに…

「ほらっ、全身バラバラ〜♪」


 真一が最後まで答えきる前に、第二弾の攻撃が飛んできた。

 少年の右手から放たれた無数の空飛ぶ斬撃が、真一の全身をバラバラにする。

 両手両足も首も分断された真一の身体が、真っ白な世界をフワフワと漂う。


「ぅぎゃあぁぁぁーーーーっ!!!」


 生きたまま切断される状況に、先ほどの自分の死に様を思い出した真一。

 トラウマがフラッシュバックして、わけもわからず絶叫する。

 とんでもない激痛が全身を襲う。


 激痛、、、

 痛みが、、、?


「あれっ、痛くない?、、、こんなんでも死んでない、、、?」


「ほらね?全身バラバラでも生きてるんだよ♪しかも同時に受けた攻撃は同一判定だから、まとめてダメージ=1だよ〜」


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:馬宮 真一

レベル:1

HP:18 / 20

MP:20 / 20

ーーーーーーーーーーーーーーー


 ステータスを見ると、確かに全身バラバラにされてもHPは1しか減っていない。


 だけど今、『同時だったら』って言ってたよな?

 それって、たまたま着弾が同時だから助かっただけなんじゃ?

 もしかしてさっきの斬撃に時間差があったら、俺、死んでたのかも?


 神さまがそんなミスをするはずがないとは思いたい。

 それでもテキトーで胡散臭い目の前の少年を見て、嫌な予感を覚える真一だった。


「しかも流血すらないでしょ!」


 確かに言われてみれば、傷口からは一滴も血が流れていない。

 切断面は虹色の干渉膜でコーティングされたみたいになっている。

 真一の『生首パーツ』からは見えないが、きっと切断された首の断面からの流血もないのだろう。


「あれっ?でもこれだと心臓から脳への血が止まってるんじゃ?」


 確か脳への血流が止まると、人はすぐに死んでしまうと聞いたことがある。


「それがあら不思議、神さまパワーでワープとかして繫がってるから大丈夫なんだよ♪」


 物理的にはバラバラになっている真一の身体だが、どうやら謎の力によって接続が保たれているそうだ。

 もし脳への血流が止まっていたら、こうやって喋っている間に真一はとっくに脳死しているはずだ。

 呼吸もできているので、口から吸った空気もちゃんと肺に届いている。

 きっと何か食べたとしたら、胃や腸にも送り届けられるのだろう。


 これなら何が来ても大丈夫かと一瞬思うが、例えば粉微塵とかになったらどうなるのだろう?

 それでも生きていけそうな気がするが、真一は怖くて聞けなかった。

 下手なことを聞いたら、今度は全身を粉砕されかねないと思ったからである。

 目の前の少年には、無邪気にそんな残酷な仕打ちをやってしまいそうな恐ろしさがあった。

 神さまといっても、邪神なのではないか?という薄ら寒さを先ほどから感じるのだ。


 だがそれよりも真一には気にかかることがあった。

 先ほどから変な感覚があるのだ。

 わずかとはいえ全身に不快感がある。

 なんかずっとダメージが続いているような感じだ。

 イヤな予感がした真一は、恐る恐る聞いてみた。


「あの、これって負傷とか毒みたいなスリップダメージはどうなるんですか?」


「それもダメージ=1になるから大丈夫♪」


 さっそく聞いてみたところ、少年が得意げに太鼓判を押してくれた。

 それなら大丈夫かと一瞬安心した真一だったが、すぐに顔色が変わる。


 ダメージ1?

 無効じゃなくてダメージ1??


「どんなにエグい毒でも、胸に大穴あいてても、受けるダメージは10秒で1だけだよ」


 それってたった10秒で1も減るってことでは!?

 慌ててステータス画面を確認した真一の目の前で、ちょうどHPが1減少した。


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:馬宮 真一

レベル:1

HP:15 / 20 (※ピッ!!)

MP:20 / 20

ーーーーーーーーーーーーーーー


 残りHPが『16』から『15』に。


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