6.65.358 ヒカるんの弱点
グニュグニュと動き回る無数の触手のようなものに襲われていることに気づいて、たまらず悲鳴をあげる朝霞。
「シンっ!わたしたち何かに飲み込まれそうになってますっ!!」
「えっ!?」
「もしかして、変な生き物に食べられそうになってるんじゃっ!!?」
怖い想像をしてしまった朝霞は、パニック状態に陥ってしまった。
真一と裸で抱き合っていることすら忘れる程に。
一方で朝霞に抱きしめられている真一には、少女の肌の感触しか感じられない。
朝霞にそう言われれば、本当にそうなんだろうと思い込んでしまう。
「早く逃げないとっ!なんとか脱出できないのかっ!?」
「それがヌルヌルしてて、手が滑って、上手く動けないんですっ!!」
こんな状態で真一の頭を放り出すわけにはいかない。
朝霞は真一の生首を左手でしっかり胸に抱えながら、右手を動かして脱出しようと足掻く。
けれどもそこは、ブヨブヨの何かで埋まった穴の底である。
触手で出来た沼とでも言えば、分かりやすいだろうか。
這い上がろうにも手をかけられる場所がどこにもなかった。
幸いにもそこまで深くはないみたいで、首まで沈むことはなさそうだが、それでも脱出できそうな感じはない。
そしてパニック状態の朝霞は、飛行魔法の存在をすっかり忘れていた。
「だめぇっ、出られないっ!!」
「だったら、ヒカるんで攻撃しようっ!ぜんぶ消し飛ばしちゃえばいいっ!」
真一の言葉を受けて、すぐさま脱出から攻撃へと思考を切り替える朝霞。
まずは服の左胸にある窓を開けてヒカるんを点灯させようとして、、、
自分がいま、素っ裸であることを思い出す。
「あれっ!なんでヒカるんが出ないの?わたし今、全裸なのにっ!??」
「全裸っ!!?」
そして朝霞の全裸発言に、今さらになって状況を理解する真一。
自分はいま、朝霞のむき出しの胸の谷間に埋まっているのだと。
けれども今考えるべきことは、何故ヒカるんが使えなくなっているかである。
すぐにその原因に思い至ったのは、真一であった。
「ねぇ、ユアが邪神に頼んだのって、『裸を誰にも見られなくなる能力』だったよな?」
「はいっ、そうですけど、、、」
「こんな真っ暗闇じゃ、全裸になっても誰にも裸を見られる心配はない。だからヒカるんも発動しないんじゃ?」
「あっ!!!」
そう、真一の予想は大正解である。
それは今まで朝霞が直面することのなかった、ヒカるんの弱点であった。
完全に真っ暗な場所では、ヒカるんは起動しないのだ。
ちなみに真一と朝霞は『光球』などの光魔法が使える。
真一は気付いていないが、それを照明にすれば、ヒカるんが発動する条件は満たせるのだ。
けれども今回はもし光魔法を使ったとしても無駄である。
朝霞の全身は触手のような何かで覆われており、実際には恥ずかしい♡ところは露出していないからだ。
そしてそのヌメヌメブヨブヨしたものはクネクネと動き回っている。
それが朝霞の背中を、お尻を、お腹を、太ももを、いやらしく撫で回しまくる。
脱出も抵抗も出来ない状態に追い詰められていることで、朝霞はその刺激をより一層強く感じてしまう。
「これだめぇぇっ!!」
敏感なところに生温いタッチを感じて、たまらず朝霞は激しく身をよじる。
そのせいで朝霞は、左腕で抱えていた真一の頭を取り落としてしまった。
落下しそうになった真一は、咄嗟に目の前の突起にしがみつく。
ただし生首だけの真一に可能なしがみつき方とは、、、
そう、口で咥えること以外に存在しない。
そして真一がたまらずむしゃぶりついたその突起とは、、、
「ぁひぃぃぃっ!!!」
そう、朝霞の左胸の先端にある『突起物』であった。
その瞬間、朝霞の全身を雷のような凄まじい電撃が駆け抜ける。
それは薄幸少女の脳を焼き切りそうになるほどの、人類の限界を遥かに飛び越えた快感であった。
原因はもちろん、迷惑な疫病神の加護である。
出会った全ての男を恋に落とす力を持つ朝霞の加護は、今は真一だけに向けて凝縮して発動されている。
そして意外なことかもしれないが、実は真一が朝霞の感じやすい♡ところに直接触れるのは、今回が初めてのことであった。
今までも朝霞は真一の目の前で、性感帯などをさんざんイジられ、気が狂いそうなほどの快感に襲われてきた。
けれどもこれまでのそれらは全て、エロエロドラゴン娘たちの仕業である。
対して今回は初めて、加護が魅了しようとしている対象である真一に、乳首を舐められたのだ。
それにより発動した加護の威力は、従来とは次元が違うレベルのものであった。
「ん゛んぅぅっ!!!!!」
瞬時に理性を完全に手放し、狂ったように真一の頭を抱きしめる朝霞。
トラップによる命の危機など忘れさり、全身を貫き荒れ狂う快感に溺れていく。
朝霞はいまや快楽を求めるだけのケモノへと成り下がっていた。




