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生首だけでコンニチハ 〜 邪神の悪ノリで、首だけ異世界転移!?不遇の勇者は訳ありヒロインたちと出会い、最強へと成り上がる~  作者: 佐倉コージ
第6章 『バラバラ死体と欲望の街』 part.4 ハラハラ♡ドキドキ♡ダンジョン攻略デビュー
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6.60.353 新たなる狩り場へ

 それからも真一の右足は、代わり映えのしない日々が続くだけであった。

 そして同じように訓練を重ねるだけの、外の森での狩りの毎日。

 ついでに『夜の生活』の方もいつも通りだ。

 荒れ狂うシャリィ、監視するエピー、興味津々のドリー、覗き見する朝霞、、、

 そして大暴走するシンシンちゃんと真一のヒ・ミ・ツの浮気が、毎晩繰り広げられる。

 そんななかで真っ先に飽きがきて我慢できなくなったのは、やはりいつもの問題児であった。


「ニャニャ〜、また今日も森でレンシューなの?ドリーもう飽きたっ!つまんないニャミュぅ、、、」


 ホテルで朝食を食べながら、ついに不満をぶちまけるドリー。

 とはいえ今回ばかりは、みんなドリーに賛成であった。


「そうですね、そろそろあそこではモンスターのレベルが低すぎて、訓練にならなくなっていますし、潮時しおどきでしょうか?」


「それにちょっとファンの人が増えすぎて、居心地が少し悪いかもです」


 朝霞の言うようにこのシューヒュージュの街での滞在が続くにつれ、ファンの増加が限度を超えつつあった。

 というのも救世主アイドル『ディグフニューシュ《三美聖さんびせい》』がいることが拡散され、他の街からも人が押し寄せてきているのだ。

 今では泊まっているホテルの下は常にファンがごった返していて、整理と警備に街の兵士が駆り出されている程である。

 ホテルとしてはいい宣伝になっているみたいで、真一たちに苦情を言ってくることはない。

 それどころか最近は連日満室のようで、逆に感謝されまくっているくらいだ。

 それでも真一たちからすると、かなり居心地が悪いのも確かであった。


 しかもファンが集まってくるのはホテルだけの話ではない。

 どうやら真一たちが毎日『外の森』に出かけていることも突き止められてしまったようで、そこにまで追っかけが出てきたのだ。

 しかも来るのは冒険者だけではない。

 冒険者を護衛に雇ってまで、危険なダンジョンの奥へと突っ込んで来るファンも多い。

 仕舞いにはツアーを組んでやってくる団体まで現れる始末である。


 サファリパークの珍獣ちんじゅう気分かよっ!


 と、ツッコミたい真一だったが、事はそう呑気のんきな話ではない。

 ドリーがいきなりヤバい魔法を使ってしまうことも考えられるので、いつ犠牲者が出てもおかしくなかった。


「そうだな〜、それじゃそろそろ、この街は出て行こっか?」


「そうですね、このホテルも引き払っちゃいましょう」


「だったら次はいよいよ高難度ダンジョンに挑戦してみるかな。前に行こうとした、ゲッシュフトの近くの『狼が何とか』って森とか」


「『幻狼の森』ですね。ミグル《内側》に3つあるプラチナ(Sランク)ダンジョンの1つです」


「ミュイ〜、エピーも賛成っ♪」


「美味しいエサがあるなら何でもいいニャミュっ♪」


 と、話がまとまりかけたのだが、1人だけ弱気なのは朝霞であった。


「いきなりプラチナ(Sランク)ですかぁ、、、大丈夫かなぁ〜、、、」


 確かにゴールド(Cランク)推奨の『外の森』から、いきなりプラチナのダンジョンに狩り場を移すのは急すぎるかもしれない。

 するとシャリィが別の候補地を挙げる。


「だったら、この近くにあるクロム(Aランク)推奨のダンジョンはどうですか?」


「あぁっ!そう言えばギルドでそんなこと言ってたな。詳しい話を聞きに言ってみる?」


 前にこの街の冒険者ギルドで話を聞いたときに、近くにクロムダンジョンがあるという話も出ていた。

 そのときは手頃なダンジョンを紹介してもらっただけなので、そのクロムダンジョンの名前すら聞いていない。

 再びギルドに行って、詳細を教えてもらおうかと考える真一だったが、、、


「いえ、それには及びません。『ファノッサ迷宮』の場所は分かりますし、基本情報も把握はあくしていますから」


「さすがシャリィっ♪」


 シャリィによると、この街の近くにあるクロム推奨ダンジョンは、『ファノッサ迷宮』という名前なんだそうだ。

 シューヒュージュの街から魔動車まどうしゃで半日ほどの距離にある、山の中の洞窟どうくつタイプの迷宮である。

 名前の通り迷路のように入り組んだ場所で、かなり高レベルのモンスターが棲み着いているという。


「といっても出てくるのは強くてもシルバー(Bランク)くらいまでです。どちらかというと、危険な地形やトラップのせいでクロム(Aランク)推奨にランク付けされているだけですね」


 ファノッサ迷宮自体は、自然に出来た巨大な洞窟らしい。

 ただしその洞窟の内部には、大量のトラップが仕掛けられているという。

 誰が作った罠なのかは不明で、古代文明の遺産だとか、昔の大魔法使いのアジトだったとか、いろいろな説があるらしい。


「案外、あの邪神クソガキが作っただけだったりして?」


「はい、わたしもリューイン《創世神》の仕業しわざだと考えるのが、最も筋が通っていると思います」


 真一は適当に思いつきを口にしただけだったが、実際にその可能性も高いようだ。

 だとするとかなり性格の悪いトラップが多そうなので、注意が必要かもしれない。


「みなさんなら大丈夫だと思いますが、致死性の罠もありますので、中では出来るだけわたしの指示に従ってください」


「うんっ!ぜんぶドリーに任せるニャミュっ!」


 元気のいいドリーの返事が、何かのフラグにしか聞こえない真一であった。


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