6.56.349 激闘っ!?光の勇者vsシマシマイノシシ
シマシマイノシシの突進の衝撃をもろに受け、悲鳴をあげて何歩も後退する朝霞。
かなり危ない足さばきだったが、何とか転倒せずに耐えることだけはできた。
両者の激突でより大きなダメージを受けたのは、一見すると朝霞の方に見える。
けれども武器で受け止めた上にステータス差もあるため、実際には朝霞はかすり傷すら負っていない。
逆に朝霞を押し飛ばしたシマシマイノシシの方が、頭に大きな衝撃を受けてふらついていた。
それでもシマシマイノシシは意識をはっきりさせるようにブルブルと頭を振ると、再び朝霞に襲いかかろうとする。
そこで朝霞にコーチングを行うシャリィ。
「ユアさん、もっと腰を落として、しっかり足で踏ん張ってください」
「はいっ!」
そしてこの場には朝霞のコーチがもう1人。
「ユア、突っ込んで来たら、頭から丸飲みにすればいいニャミュっ♪」
「いや、出来るかっ!!」
一方でドリーのアホなアドバイスには、間髪入れずに真一のツッコミが入っていた。
けれども目の前の戦いに必死な朝霞は、そんな『真一&ドリー』のコントなど聞いてはいない。
シャリィの言葉にだけ耳を傾け、シマシマイノシシの突進を受け止める。
今度はしっかりと踏ん張って耐えることができたようだ。
「受け止めたら、力を逸らす感じで横に受け流すんです」
「やってみます!」
手にした武器を斜めに逸らして、シマシマイノシシの突進を受け流すことに成功した朝霞。
「よしっ!できたっ!!♪」
嬉しそうに歓声を上げるが、、、
「いや、ユア!服っ!服がっ!!」
「えぇっ!!?なんで裸っ!??」
いつの間にか朝霞は裸にひん剥かれていた。
シマシマイノシシとすれ違う際に、牙に服の端が引っ掛かってしまったのである。
もちろん普通ならそれでも、ドレスの一部が破れるくらいで済むだろう。
けれどもそこは『史上最凶のラッキースケベ加護』を持つ朝霞である。
何故か朝霞のドレスは肩から斜めに裂けてしまい、そのままシマシマイノシシに剥ぎ取られてしまったのだ。
戦闘の際にすぐにヒカるんを出せるようにと、朝霞はホテルを出たときからノーブラである。
おかげでピッカピカに光っている両胸も、白いパンツも丸見えになってしまっていた。
顔を真っ赤にさせて、その場にしゃがみ込む朝霞。
真一に裸を見られるのはもう何度目になるか覚えてすらいないレベルなのだが、それでも恥ずかしいものは恥ずかしいのである。
シャリィがすぐさま物質魔法を発動し、朝霞の裸体を隠すように再びドレスを生成する。
真一が思いっきり朝霞の白い柔肌を堪能しているのに気付いており、1秒たりとも我慢できなかったのだ。
すぐさま朝霞の裸を隠すことに成功したシャリィだったが、それでも大事な恋人の心が揺らいでいることには不満を抑えきれない。
「もうっ!ユアさんっ!!まさかわざとシンに裸を見せて誘惑してるんじゃないですよね?」
「違いますっ!そんなんじゃないんですっ!!」
鬼気迫るシャリィの追及に、涙目で首を振る朝霞であった。
そんなこんなでトラブルもありつつも、実戦をこなしながら体術の訓練を続ける朝霞。
しばらくシマシマイノシシと戦っているうちに、かなり体の動かし方が分かってきたようである。
「そうです。慣れてきたら、衝撃を受け止めるのではなく、最初から受け流せるように練習しましょう。それなら同格の相手にも通用しますから」
「よしっ!どうですかっ!」
「はい、結構です。かなり慣れてきましたね」
シマシマイノシシがかなり疲れてきていることもあるが、今では朝霞も簡単に突進を捌けるようになっていた。
これなら朝霞よりステータスが高いモンスター相手であろうと、傷を負うことなく受け流すこともできそうだ。
ただし、、、
「あれっ?でもこれ、いつまで経っても終わらないような気が、、、」
ここまで練習してきたのは、防御と受け流しのみ。
攻撃の練習はしていないので、かなり格下のシマシマイノシシですら倒せないのである。
「はい、慣れてきたら受け流した後、すれ違いざまに反撃を加えるんです」
「なるほど、、、こうかな?えぃっ!!」
シャリィのアドバイスに従い、逸らしたシマシマイノシシを横から棍棒で殴りつける朝霞。
へっぴり腰の攻撃とはいえ、朝霞のステータスは相手の10倍。
そして武器はこの世界で最強レベルの硬さを誇るチート装備である。
「グヒィィィィーッ!!」
それは控え目に見ても、決定打であった。
シマシマイノシシは悲鳴をあげて吹っ飛んでいく。
その牙に白いヒラヒラした布を引っ掛けたままで。
そう、、、
「だからどうしてそこで服が脱げるんですかっ!?」
再び朝霞は丸裸となってしまっていたのであった。