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6.37.330 ヒカるん大進化 ※ありがた迷惑

 さて、湖に落ちた朝霞がどうして大爆発を起こしたのか考察してみよう。

 ヒカるんは触れたものを全て消滅させる、『時空断裂じくうだんれつ』という効果を持つ。

 であるならヒカるんに触れた湖水は、たちどころに異空間へと消し去られるはずである。


 けれども良く考えて欲しい。

 だったらヒカるんに触れた空気はどうなるのか?

 もし触れたもの全てが問題無用で消え去るのであれば、朝霞がヒカるんを出し続けている限り、周囲の空気が際限なく消滅していくことになるはずだ。

 そうなれば『歩く低気圧』、もしくは『歩く掃除機』の出来上がりである。


 けれども実際にはそんなことにはなっていない。

 それはヒカるんが持つ自律制御じりつせいぎょシステムの結果なのだ。

 そもそもヒカるんには『時空断裂』以外にも、『治癒』や『成長促進』などの様々な効果がある。

 そしてそれぞれの効果がどの程度の効力を発揮するかは、その時々のシチュエーションに応じて自動的に調整されるのだ。


 例えば最も危険な『時空断裂』に関しては、ヒカるんに何かが接触したときに初めて効果を発揮するようコントロールされている。

 なのでヒカるんに触れた空気が消滅するなんて事態は発生しない。

 あるいは発光状態の朝霞が服を着るときも大丈夫である。

 下着がヒカるんに触れる直前まで『時空断裂』が発現することはなく、触れた瞬間には効果が出る前にヒカるん自体が消灯するのだ。

 それはタオルで胸を拭く場合なんかも同様である。


 さらには水浴びも問題ない。

 お風呂という習慣のないこの異世界ミグルで、朝霞は頻繁ひんぱんに水浴びを行っていた。

 けれどもシャワーの水流程度のものであれば空気と同様に、『時空断裂』の効果自体が発動しないのだ。

 だったら夜のプレイ♡のときなんかも、『時空断裂』をオフにできればという話なのだが、そこは朝霞の意思ではどうにもできない。

 ヒカるんの自律制御により、おっぱいに触れようとする不届き者は即座に消滅させられるのだ。


 で、問題は今回のケースである。

 シャワーの水程度であれば、確かにヒカるんが自動で『時空断裂』を発動させることはない。

 けれどもかなりの高さから湖面に叩きつけられるとなれば、話は変わってくる。

 朝霞に迫る危険に応じて、ヒカるんは最適な効果を発揮して朝霞を守ろうとするのだ。


 では今回のシチュエーションで『時空断裂』効果は朝霞を保護できるか?

 答えはいなである。

 乳首にぶつかる水だけは消すことができるが、顔や腹なんかは強く湖面に打ち付けられることになるだろう。


 もちろん朝霞が自分の意思でヒカるんの大きさを全身サイズに変更すれば、身体にぶつかるはずの全ての水を消し去ることも可能だ。

 けれどもその場合は下方の水を全て消し続けながら、どこまでも落下していくことになる。

 そのまま湖底の岩盤をも消滅させ、最後はこの星の中心のマントルにまで突入する羽目になるだろう。

 つまりこの状況では『時空断裂』は役には立たない。

 それどころかヒカるんが持つどの効果を使っても、朝霞を救うことはできないのだ。


 今までであれば、、、


 実は成長しているのは朝霞だけではない。

 ヒカるんも朝霞のレベルアップに伴い、パワーアップしていた。

 魔王軍との戦いで積んだ経験と、目の前に迫った危険によって、いまこの瞬間に生み出されたヒカるんの新たな力。


 『バリア』効果である。


 それはヒカるんを中心に朝霞の全身を守るように広がる、一種のエネルギーフィールドだ。

 朝霞の身に危険が迫った際に瞬時に発動し、超高出力エネルギーにより対象物を破壊し、弾き返そうとするものである。

 『時空断裂』と違って消滅させるわけではないため、朝霞自身も反動を受けることになるが、落下し続けるよりはマシである。

 この場では最適な効果だったはずなのだ。

 相手が水ではなく地面だったのであれば、、、


 さすがの『自律制御システム』も予測できていなかったのだ。

 そんな超高エネルギーのフィールドに接触した水がどうなるのかを。

 答えは、、、

 『一瞬にして蒸発する』であった。


 そして水が水蒸気へと変化するとき、その体積はおよそ1700倍に増大する。

 ヒカるんバリアに触れた湖水が膨大な量の水蒸気を生み出し、凄まじい爆発を巻き起こす。

 それが今回発生した水蒸気爆発であった。


 強烈な爆風により朝霞の身体は恐ろしいスピードで吹き飛ばされる。

 斜め横向きに弾き飛んだ朝霞は、湖面を何度もバウンドして、岸の近くにいた真一たちの方へと転がってきた。

 水面にぶつかる度に新たな水蒸気爆発を引き起こしながら。


「はぁ、、、」


 シャリィはやれやれと言ったため息をもらすと、クッションのような結界を作り出して朝霞を受け止める。

 シャリィの魔法とレベルアップしたステータスのおかげで辛うじて生き延びた朝霞は、、、

 当然ながら全裸であった。

 度重なる水蒸気爆発により、水着はとっくに粉々になっていたのだ。


「シン、裸が見たいならわたしがいつでも見せますから、ユアさんは見ないであげてくださいね」


 と釘を刺しながら、シャリィは治癒魔法で朝霞を治し、物質魔法で水着を再構築する。

 真一のエロエロな視線にもしっかり気付いていた。


「う、うん、ごめん」


 バツが悪くなって素直に謝る真一。


「ユアさんもあまりシンを誘惑しないでくださいね。ユアさんの恋人はエピーさんたちでしょう?」


「うぅ、、ごめんなさい。あと治癒魔法ありがとうございました」


 シャリィに逆らえなくて、大人しく謝る朝霞。

 だがそもそも朝霞は今回も被害者側であり、不憫ふびんすぎるにも程があった。

 そしてコトの元凶である暴力ドラゴン娘はというと、、、


「ユアすっごいニャミュっ♪今のドッカーンってのが水遊びなんだっ!ドリーもやってみるニャミュっ♡」


 全く悪びれる素振りも見せず、拳を振り上げて勢いよく湖にダイブするのであった。


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