6.32.325-2 冒険者パーティー『ディグフニューシュ』結成! (2)
ナンバリングをミスっていたので、サブタイトルを修正しました。
『ディグ』はミグル語で数字の❸であり、『フニューシュ』は『美しくて尊いもの』を示す。
つまり『ディグフニューシュ』は『三美聖』みたいな意味なのである。
そんな大層なパーティー名を名乗っていたら、どれだけ自意識過剰なんだ?とツッコまれそうなところだが、、、
「それで今回は依頼の完了報告の件でいいでしょうか?、ディグフニューシュ《三美聖》のみなさん」
当然とばかりに真一たちをそう呼ぶキュニュン。
既に名前が完全に定着しきってそうな現状であった。
「、、、あ、はい、それとシャリィの冒険者登録とパーティー登録も」
「あぁ、シャル姫さまの件なら本部のジュンゴウ調整官から聞いている」
「そういえばみなさんはパーティー登録はまだなんでしたね。それではさっそく『ディグフニューシュ《三美聖》』の登録もしちゃいましょう♪」
そして今さら別のパーティー名にしたいと言い出せるような雰囲気でもなかった。
せっかく考えてきた名前も無駄になったわけである。
もっとも『シンの恋人』とか『みんな恋人』みたいなフザけた名前よりは、まだマシなのかもしれない。
そんなわけでパーティー名は『ディグフニューシュ』のままで登録してもらうこととなった。
応接室にある機材を使ってキュニュンが作業を行ってくれる。
世間話をしているうちに、登録はすぐに終わった。
「まずは依頼の報酬からです。まずエンプレス・ギドリー・シンイチさんとアサカさんの報酬金は、ボーナス査定込みで❹⓿⓿⓿リル(※約8200万円)ずつとなりました」
なんと真一たちと朝霞それぞれに、8千万円オーバー相当の報酬が支払われるらしい。
朝霞はオマケで付いて行っただけだったのだが、1人で砦と全兵士を守り抜いたのだから納得だろう。
そして真一とエピーとドリーは3人合わせて朝霞と同じ金額である。
1人の冒険者として登録しているので、報酬が3倍になったりはしないのだ。
少しモヤっとしたものを感じる真一だったが、エピーとドリーは全く気にしていないみたいだった。
とはいえ結晶トカゲのクエストが5000万円くらいの報酬だったから、軽く過去最高記録の更新である。
「さらにお二方はそれぞれクロム(Aランク)に昇格となります」
冒険者ギルドのクエスト達成報酬は、通常は金銭と実績ポイントの2種類となる。
だが今回の真一と朝霞は、実績ポイントではなく直接ランクアップという形で報われることとなった。
依頼時にダスホウンが約束していた通りの結果になったわけである。
「そしてこちらがお二方の新しい冒険者タグになります」
レッド(Gランク)の冒険者タグと交換する形で、キュニュンが2枚のクロムのタグを手渡してきた。
このように冒険者ランクが昇格すると、冒険者タグも作り直すことになるのだ。
エピーと朝霞がそれぞれタグを受け取ると、支払い用の魔道具を使って報酬の入金手続きが行われた。
クロム(Aランク)ともなれば超一流冒険者の仲間入りだ。
今までは最低のレッド(Gランク)だったのに、一気に昇格しまくりであった。
朝霞に至っては冒険者登録して3日目でのスピード出世である。
だがこの場にはさらにスゴい超大型新人がいるのだ。
「続きまして、こちらがシャル姫さまの冒険者タグになります。特例で最初からクロムとなっております」
シャリィは冒険者1日目からクロム(Aランク)でのスタートであった。
これも戦争終結時に、ジュンゴウ調整官が約束していた通りだ。
ただしシャリィには冒険者ギルドからの金銭報酬はない。
ギルドからの依頼ではなく、べドベダルの街の出兵ノルマとしての参戦だったからだ。
本来ならべドベダルの街から報奨金が支払われるべきところなのだろうが、全く気にもしていないシャリィであった。
ちなみにそんなシャリィではあるが、決して無一文ではない。
着の身着のままでべドベダルから旅立ったシャリィだったが、『王族タグ』というのを持っているのだ。
実は冒険者タグと同じようなものを、冒険者ギルド以外にも様々なギルドや組織が発行している。
王族タグは文字通り、その王族版だ。
シャリィはその王族タグを使って金銭のやり取りが可能であり、数千万円に相当するリル《価値》が使えるらしい。
なおリル《価値》の在り処は本人のリビド《魂》であり、タグはただのインターフェースに過ぎない。
なので金銭のやり取りは既存の王族タグでも、新たに取得した冒険者タグでも、どちらでも行うことができる。
「そして最後にパーティー登録ですが、こちらも手続きは完了しました。
メンバーはエンプレス・ギドリー・シンイチさん、アサカさん、シャルラリィ・べドベダル殿下の3名。
パーティー名は『ディグフニューシュ《三美聖》』。
既にギルドのランキングボードにも載ってますので、良かったら帰りに見て行ってくださいね」
こうして救世主アイドル冒険者パーティー、『ディグフニューシュ《三美聖》』の登録は完了したのであった。