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6.19.312 集団生活にはルールが必要です

 交尾にトラウマを抱えてしまったエピーたちに、残念な気持ちを隠せない真一。


「あぁ、うん、こういうことは焦る必要はないから。そもそもパーツを集めないとちゃんとした交尾なんて出来ないし、しばらくは時間を置くことにしよっか」


 それでも大好きなエピーとドリーとの交尾を、簡単には諦めきれない。

 時間をかけて2人に交尾の素晴らしさを伝えて行こうと心に誓うのであった。

 だがこの展開を喜んでいる女が1人、この場にはいた。


「素晴らしいですっ!それでは今日から夜はわたしとシンだけで楽しみましょう♪なんなら夜だけはわたしがシンの首を預かる方がいいですねっ!」


 これで夜は気兼ねなく真一と2人っきりになれると、テンション爆上がりのシャリィ。

 だがそうなると黙っていられないのがドラゴン娘たちである。


「なんでニャミュっ!シンの頭はドリーのだもんっ!!」


「夜はシンとキスするんだから、シャリィは引っ込んでてっ!」


「わたしもシンとキスをすると、昨日約束しましたよね」


「ミュぅぅ、、、」


「せっかくですから、この際ルールを決めておきましょうか」


 そんなこんなでシンの身体パーツをどう扱うか、女同士でルールを決めることになった。

 その結果、、、


・『頭』は常にエピーたちの身体にくっつけおく。

 取り外して貸し出すのはNG。

 ただしシャリィが触ったりキスするのはOK。


・『右手』は完全にシャリィだけのもの。

 他の3人は決して触れてはならない。


・『右前腕』は普段は朝霞が持ち歩く。

 ただし取り扱いには特にルールを設けない。


 生首の取り外しを絶対に認めなかったエピー&ドリー。

 それに対する妥協案として、シャリィは自由にキスできることの確約と、右手の完全占有で手を打った形であった。


「それじゃ、これで何とかやっていけそうかな?」


 朝からいろいろドタバタがあったが、真一の『取り扱いルール』も無事にまとまった。

 これで5人組パーティーとしての活動を始められそうである。

 こうして丘の上から出発することになった真一たち。


 昨晩は野宿した形になったわけだが、シャリィの作ってくれたふわふわベッドのおかげで熟睡できた真一である。

 ちなみに昨日はバタバタして聞けなかったが、朝になって改めてベッドを作った魔法についてシャリィに尋ねてみると、、、


「物質魔法ですね。わたしが創作した魔法で勝手にそう呼んでいるだけですが、大気中の要素から固形物を生成するというものです」


 どうやら『ミグル』の魔法ではなく、シャリィのオリジナル魔法らしい。

 ミグル人の使う魔法は例の邪神が用意したテンプレート魔法である。

 それに対してシャリィが使うのは、『原初げんしょの魔法』という本来の魔法なんだそうだ。

 『原初の魔法』は構築や制御が半端なく難しくて、普通の人間にはとても扱えないものだ。

 けれども規格化されたテンプレート魔法と違って、ある程度自在に魔法を組み上げることができる。


 物質魔法はシャリィが研究して編み出したもので、服や靴なんかもそれを使って作っているのだ。

 材料にしている『大気中の要素』というのは、酸素や二酸化炭素のことなのかもしれない。


「せっかくなのでシンの服もわたしが作りましょうか?」


 と提案されたので、真一たちは有り難く服を新調してもらった。

 バンリャガで買った服も、暴走ドラゴンたちによる酷使によってかなり傷んできていたのだ。

 着心地はめちゃくちゃ良いようで、エピーもドリーも大喜びである。

 こうして準備も整ったこともあり、さっそく出発する流れとなる。

 問題はこれからどうするかだ。


「まずはどこに行こっか?これから世直しの旅を始めるってことだったけど」


「エサぁっ!エサを食べに行くニャミュっ♪」


「それはもう分かったからっ!そのあとどうするかの話だよっ!シャリィ、どこか評判の悪い街があるんだったら、いきなり乗り込んでみる?」


 このパーティーの目的は世直し旅だ。

 そのリーダーであるシャリィに意見を求める真一。

 けれども朝霞にはまず、旅を始めるにあたって懸念事項があった。


「その前にまたゲッシュフトに戻って、ダンジョンに行ってみませんか?」


「うん、どこかの街の冒険者ギルドで、依頼の完了報告もしないとだしね」


 朝霞の提案がいちばんかと納得する真一。

 もはや今さらの気もするが、朝霞に戦闘の経験を積んでもらうのが当初の最優先事項だったのだ。

 魔王軍の問題で邪魔されてしまったが、元の予定に戻るのがいい気がする。

 それで問題ないかシャリィに確認しようとする真一。

 だがシャリィは何故か不思議そうな表情を浮かべていた。


「あの、、、これからシンのパーツを集めに行くのではなかったのでしょうか?」


「うん、そうなんだけど、、他のパーツがどこにあるか、ぜんぜん手がかりがなくて、、、」


「そうだったんですか?ですけど、、、」


 事情を説明する真一だったが、そこでシャリィは驚きの情報を口にする。


「わたしの目には見えてますよ。他のパーツがどこにあるのか」


 えっ!!?

 マジでっ!!!?


 シャリィの爆誕発言に、目を丸くさせる真一であった。


これにて6章パート1は終了となります。

ここまで読んでくださって、面白い・続きが気になると思ってくださった方は、評価・ブックマークなどにて応援いただけると嬉しいです。


パート2からはシャリィの『ドラ◯ンレーダー』能力により、いよいよ真一のパーツ集め編が始まります。

果たしてどんな珍道中となるのか、ぜひお楽しみに。

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