6.17.310 SBJDエピーの成長
やっぱり、この子たちを悲しませたくないな、、、
それに、、、本当にシンに相応しいのは、魔女なんかじゃなくて、こういう純粋な子たちなのでしょうか、、、?
胸をチクチクと締め付けられて。
生まれて初めて感じる激しい罪悪感に戸惑って。
シャリィはこれ以上エピーを突き放すことはできなかった。
「はぁぁ〜、、、わかりました。ですがここでいくつか約束してもらいましょう」
「ミュイぃぃ」
一つ大きく息を吐くと、ようやく譲歩の姿勢を見せるシャリィ。
ただしそれには条件をつけておくことにしたようだ。
「まず今後はもっとシンの気持ちを大事にすること。自分の感情だけを押し付けてはいけません」
「うん、分かった、、、」
「嫉妬に狂ってシンに危害を加えようとしたら、次は許しませんからね。もちろん人類皆殺しなどもっての外です」
「反省してるミュぅぅ、、、」
シャリィの出した条件は、至極真っ当なものである。
エピーとしても口答えする余地など全くない。
それどころか今までこんなことすら出来てなかったのだと、自分の『ダメ彼女ぶり』を思い知らされるばかりだ。
そんな素直な様子を見てシャリィは、今日はここまでで許してあげようかと考える。
とはいえ最後に1つ、念押しだけはしておくことにした。
「わかりました。今回は大目に見ましょう。ただし、、、」
そう言って挑戦的な笑みを浮かべるシャリィ。
「その言葉が本当か、テストしてみましょうか?」
シャリィは胸に抱いていた真一の顔を愛おしげに持ち上げる。
そうしてエピーに見せつけるように口づけを交わすのだった。
それも情熱的なディープキスである。
「ミュっ!!(怒)」
瞬間的に頭に血が上ったエピー。
思わずシャリィに殴りかかろうとしたのだが、、、
「ミュニュニュにゅぅぅ、、、」
ギリギリで思いとどまり、恨めしげにシャリィを睨む。
なんせたったいま約束したばかりなのだ。
悔しさにうめきながら、唇を噛んで必死に耐える。
そんなエピーの怒りのオーラを後頭部に感じながら、真一はシャリィにされるがままであった。
さっきから何度も口を挟もうとはしていたのだが、結局何も言えなかったのである。
それほどまでに2人の恋人たちのラブ♡バトルは、身震いするほどに恐ろしかった。
全ては自分の浮気が原因だというのに、絵に描いたような『クズ男ムーブ』であった。
「はい、良くできました。エピーさんも恋人を思いやることを覚えたようですね」
ようやく唇を離したシャリィは、満足そうに口にする。
かなりの荒療治ではあったが、エピーが嫉妬心を抑えることにようやく成功したことも確かだ。
つまり真一の浮気によって人類が滅ぼされるリスクは、大幅に軽減したのである。
世界最凶レベルに『嫉妬 深い 女子 ドラゴン』なエピーが成長した瞬間であった。
エクストリームな修羅場にどうなるかと思っていた真一だったが、その『成果』だけは不幸中の幸いといえるだろう。
「ですが、、今後わたしがこういうことをしても暴れてはいけませんよ。分かりましたか?」
「ミュみゅぅぅ、、、分かった」
「はい、結構」
そして今後も真一にキスする口実を、ドサクサに紛れてついでに取り付けた計算高き女シャリィであった。
エピーの答えに満足したシャリィは、真一の頭をエピーに差し出す。
「シン〜っ!もう離さないからねっ♡」
すぐさま真一を取り戻したエピーは、よほど感情が昂ぶっていたのだろう。
強く、強く、胸に生首を抱き締める。
「ぁ痛たたたたぁっ!」
殺人的な圧力に、思わず悲鳴をあげる真一であった。
恐ろしい勢いで、真一のHPが減少していく。
とはいえ四股のクズ行為の報いとしては、むしろ甘すぎるくらいのお仕置きである。
そして早くも頭を返却したことを後悔しそうになるシャリィ。
すぐに恋人を救出すべきかと考えるが、真一の限界が来る方が早かった。
SBJDの容赦ない圧迫攻撃に、とうとう真一は失神してしまったのである。
「ミュぃっ!?シン、どうしたミュぅ、、、?」
真一の様子がおかしいことに気づいてようやく力を緩めるエピーだったが、もはや恋人からの反応はなかった。
「コウビ怖いっ、コウビ怖いニャミュぅぅぅ〜」
そんななかドリーは、いまだにパニック状態のまま、あちこちをドラゴンブレスで消し炭に変えている。
「きゅぅぅ〜」
そして心神喪失状態の朝霞は、全裸でへたりこんだままいつの間にか気を失っていた。
あまりにもヒドすぎる、エクストリーム初体験の顛末であった。