表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/451

2.18.31 ゴブリン軍団の脅威

 あれからゴブリンキングの率いる群れは、マンモスカエルの死体のところに移動していた。

 いつの間にか簡易キャンプのようなものが設営されている。

 ザコのゴブリンたちがせっせと死体から肉を切り出していた。

 この大所帯では食糧問題が大変そうなので、これほど大きな肉塊があれば、群がるのは当然のことだろう。

 しかもカラフル大蛇の肉を切り出して運んでくる部隊もあった。


 ここにキャンプを張るってことは、巣はかなり遠くにあるのかな?

 それとも流浪の民なのか?


 いずれにせよ例の村の住人ではないことは、間違いなさそうである。

 やはりあの村は由華ゆか先輩そっくりの少女が暮らす、人間の村なのだろう。


 それにしてもあの村、安全性は大丈夫なのか?


 と、他人事ながら心配になってくる真一。

 近くにこんなゴブリンの群れがいたり、マンモスカエルとかカラフル大蛇がいたり。

 空にはラスボス(仮)モンスターも飛んでいた。


 襲われたら簡単に全滅しそうなんですけど!?


 とはいえ実際に村が存続しているとなると、もしかしたら人間の方が強いのかもしれない。

 あの少女はぜんぜん強そうには見えなかったけど、村にはアニメに出てくる冒険者みたいなのがいるのだろうか。

 とはいえ他人の心配をしている場合ではない。

 ピンチにあるのは真一の方である。


 真一はずっと何かのチャンスが来ないか待ち続けていた。

 だが逃げたり攻撃したりできるような機会は巡って来なかった。

 まずゴブリンキングは1人にならない。

 周りは常にゴブリンだらけだ。

 これでは運良くゴブリンキングに致命の一撃を叩き込むことができても、部下どもにすぐに袋叩きにされてしまう。


 そもそもゴブリンキングに攻撃できるチャンスがない。

 首飾りの紐に髪の毛を括り付けられた状態で、真一はぶら下げられている。

 これでは攻撃したくても、ゴブリンキングの頑強な腹筋にしか届かないのだ。

 どう見ても歯を立てるのすら厳しそうだ。

 例え噛みつくことに成功したとしても、大したダメージを与えられないだろう。


 しかもゴブリンキングが歩き回るたびに髪の毛が引っ張られて痛い。

 とはいえ幸運だったのは、辛うじて毛根へのダメージが入らずに済んでいること。

 下手したら40歩ほど歩くごとに、ミニマムヒールをかけなくてはならなくなるところだった。

 生きてることがバレないように、じっと身動きせずに耐えている真一なのだ。

 エフェクトを伴う回復魔法の詠唱はあまりにもリスキーであった。


 とにかくゴブリンキングが立っている状態では、吊るされている真一に攻撃のチャンスはない。

 横になって寝るのを待つしかなかった。

 つまりこのまま夜まで待機することになりそうなのだが、、、


 ゴブリンって夜寝るのか?


 と不安になって仕方がない真一だった。

 というのもゴブリンキングが昼寝をし始めたからだ。

 それも横になることなく、岩にもたれて座りながらである。

 喉に噛みつくとかしたいのだが、これではぜんぜん届かない。

 しかも周りにたくさんゴブリンがいるし、下手に手出しはできなさそうだ。

 仕方なく真一は群れの様子を観察する。

 するとゴブリンたちは交代で昼寝をしていた。


 ってことは、コイツら夜行性じゃね?


 夜は寝ないで狩りとかしそうである。

 もしそうだとするとゴブリンたちが寝静まっている間に逃げ出す、なんてのも難しくなる。

 脱出のハードルがさらに上がった。

 真一は息を潜めて待ち続けることしかできない。


 けれどもずっと何もせずにじっとしているだけというのも拷問に近い。

 せめてもとばかりに真一は、全身の他のパーツを動かしてみる。

 右手でサインを送ってみるが、ヒーラーさんからの返事はない。

 留守にしているのだろうか?


 他に自由に動かせるパーツは、左手、右足、左足だ。

 どこかに肘あたりの位置で上向きに固定されている左手は、その場で指や手首を動かすくらいしかできない。

 左足も依然として箱の中に囚われたまま。

 唯一自由に動き回れる右足は、尺取り虫のようにして大地を冒険中だ。

 どのパーツにも新たな変化はない。


 変わったことといえば、左足のふくらはぎあたりだろうか。

 膝から下、足首から上の『下腿部』パーツである。

 今朝検証したときには、屋外にあったはずなのだ。

 足首を下にした縦向きで、柔らかい土に半ばまで埋まっていたような感じだった。

 なのにいつの間にか、どこかの屋内に移動している。

 風の通らない硬い床の上に横向きに置かれているので、気のせいとは思えない。

 誰かに拾われて、お持ち帰りされたみたいである。


 とはいえ数少ない変化もそれくらいだ。

 やる事もいい加減無くなり、ただひたすら息を潜め続けるだけ。

 しかしじっとしていると眠くなってくるのが人のさがというもの。

 敵地の真っ只中にいるという緊張感も、そうそう長くは続かない。

 頭の上でゴブリンキングが気持ち良さそうに昼寝をしていたら、なおさらのことだ。


 それに真一はいい加減疲れていた。

 今日だけでどれだけのトラブルがあったことか。


 足の小指をぶつけて叩き起こされ。

 左足脱走計画に失敗。

 全身のパーツの検証を行い。

 遅い昼食、兼トンネル掘り。

 村人に助けを求めて肉から脱出。

 ゴブリン3バカとの戦闘。

 ヒロイン少女との出会い。

 大蛇との死闘。

 ベビ肉で夕食、兼トンネル掘りその2。

 ゴブリンキングに捕まり。

 ひたすらゴブリン軍団の観察。


 たった1日でこれだけのことがあったのだ。

 真一が疲労困憊ひろうこんぱいになるのも当然の話だ。

 軽く半日以上は経っている気がする。

 というか体感ではとっくに暗くなっているはずの時間なのだ。

 だというのに外はまだまだ明るいままだ。

 遠くに見えるピンク色の太陽も、あと数時間は沈みそうにない。

 実は真一には先ほどから気になっていることがあった。


 もしかしてこの異世界って、1日が24時間じゃないのかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ