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5.22.213 ド派手な魔法使い

「ミュイ〜、ユアはスゴいね!シンとは比べものにならないよ〜」


 何十という魔法を次々と習得していく朝霞を見て、エピーが感嘆の声をあげる。


 真一が作業を終えて間もなく。

 朝霞は取って付けたような真面目顔で戻ってきた。

 とはいえまだ顔を火照ほてらせていて、目が恥ずかしげに泳いでいる。

 もちろん先ほどの『不幸な事故』については、一言たりとも言及しない。

 それどころかまともに目も合わせず、声をかけてくることすらしなかった。

 朝霞は真一たちを無視するようにして、何事もなかったかの如く石柱に右手を置く。

 そして『ノイン』と唱えて魔法の習得を再開したのだ。


「よぉ〜しっ!もうぜんぶ取っちゃうぞぉ〜っ!!」


 とヤケになったように、次々と魔法を覚えていく朝霞。

 どこからどう見ても無理をしていた。

 とはいえ真一も今さらスリーサイズや性感帯の話を蒸し返すことなどできるはずもない。

 黙って朝霞の『ヤケ買い』を見守る。

 『水』、『水(下)』と『水(中)』をまとめて取っても意味ないよ!などとアドバイスする隙もなかった。


 もっとも朝霞は本当に全ての魔法を習得できそうなリル《価値》を貯め込んでいたのだ。

 なんせ中級魔法なら17個も『購入』できる大金である。

 そうして習得した魔法の数は軽く20を超えて、さらに止まることがない。

 エピーが真一とは比べものにならないと感心するのも当然の話だった。


 ちなみに朝霞も習得できたのは中級(第3階)魔法まで。

 やはり中級の勇者は中級魔法までしか開放されないのだろう。

 適性のある2層(液層)のうち、朝霞が特に得意なのは治癒魔法と血魔法のようだった。

 もっともそれ以外の水魔法と毒魔法も不得意なわけではなく、ちゃんと中級まで覚えられる。

 けれども治癒属性と血属性は、リストアップされた魔法の数が特に多かった。


 治癒魔法はファンタジーもので馴染みのある回復魔法、ほぼそのままのものである。

 中級(第3階)で真一のミニマムヒールと同じ『治癒(中)』が習得できた。

 回復魔法としてまともに使えるのはここからで、下級(第2階)より下の治癒魔法はかなり効果の弱いものばかりだ。

 そして治癒属性の魔法には、回復以外にも毒などの状態異常を解消するものや、浄化魔法などもあった。


 もっとも朝霞は『ヒカるん』で同じことができるので、わざわざリル《価値》を消費してまで覚える必要があったのか微妙なところだ。

 まぁ、おっぱいを出さずに使えるし、リルもたくさんあるので、無駄な買い物ではないのだろう。

 たぶん、、、


 そして血魔法は文字通り血を操る魔法である。

 自分の血を操って攻撃することもできるし、レベルが上がれば相手の血を操るというえげつない攻撃も可能だ。

 けれども血魔法はどちらかというと生命魔法という側面の方が強い。

 朝霞は血属性の魔法の中でも、攻撃系よりも生命系のものに適性があった。


 第1層(固層)の肉体属性は、肉体の魔法。

 対して第2層(液層)の血属性は生命の魔法だ。

 動植物の成長や、傷の修復、病気の回復などが行える。

 HPを回復する治癒魔法とは少し用途が異っているのだ。


 ちなみに残りの層にも人体・生物をつかさどる属性がある。

 第3層(気層)の息属性は気の魔法。

 第4層(動層)の魂属性は精神の魔法だ。


 それはさておき、表示されている魔法を上から順にどんどん習得していく朝霞。

 2層の4つの属性の魔法を全て習得し終え、次に4層の光魔法に目を向けたのだが、、、


「あれっ!?この『聖なる浄光』っての、❹⓿⓿(※1024)リル必要みたいです」


 光魔法を上から順に覚えていたところで声を上げる。

 リストのいちばん下に、他よりもコストの高い魔法があったのだ。

 今までの中級魔法の4倍のリルを必要とするそれは、明らかに上級魔法であった。


 『ヒカるん』のユニークスキルの影響だと思われるが、朝霞は本来適性の無いはずの光魔法も習得できた。

 しかもそこには中級まででなく、1つだけ上級魔法も含まれていたのだ。

 そしていちばん下にこんな高コスト魔法があるなんて、とんだトラップである。


 朝霞は上から順番に全て習得してくという無駄遣いをしたせいで、残りのリル《価値》では足りなかった。

 というかそもそもさすがにリルが足りなくて、いちばん下の光魔法は中級魔法もいくつか取れないものがある。

 口を挟むのが気まずくてアドバイスをしなかった真一だが、少し悪いことをした。

 まぁ、真一にも取れなかった魔法があるし、このあとダンジョンでレベリングをしながら2人でリルを貯めればいいだろう。

 最後に少し残念な感じになってしまったが、これで朝霞の魔法習得も完了である。


ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:結城ゆうき 朝霞あさか

魔法:

 水魔法:

  第1階:水

  第2階:水(下)、水球、水流、水矢

  第3階:水(中)、水壁、水槍

 毒魔法:

  第1階:毒

  第2階:毒(下)、解毒

  第3階:毒(中)

 治癒魔法:

  第1階:治癒

  第2階:治癒(下)、浄化(下)、異常耐性

  第3階:治癒(中)、浄化(中)、持続治癒、長持続治癒、異常解除

 血魔法:

  第1階:血

  第2階:血(下)、生命(下)、凝血

  第3階:血(中)、生命(中)、肉体活性化、成長、解病

 光魔法:

  第1階:光

  第2階:光(下)、光球

  第3階:光(中)

ーーーーーーーーーーーーーーー


 上級魔法こそ取れなかったものの、中級魔法を14個も習得できた。

 何より特段に苦手な属性がなく、全ての属性を中級まで使えている。

 魔法に関しては朝霞は真一よりも才能があるようだ。

 もっとも一般的な勇者に比べれば、3重適性の真一も十分チートなのだが、、、


「さて、これで魔法は覚えたし、さっそく実戦で練習してみよっか!」


「ミュイっ♪」


「エサ〜♪、エサを取りにいくニャミュっ!」


「はいっ、わたしも頑張ります!」


 真一のかけ声に、全員が元気よく答える。

 朝霞もようやくステータス画面ショックから立ち直ったようだ。

 まずは手頃なダンジョンで朝霞の戦闘訓練と、魔法の実戦テストを行うことにする。

 だがしかし『超絶親切』なドリーは、朝霞のことを心配してあげていた。

 このまま実戦に向かうには、朝霞には『問題』があることが判明したからである。


「だけど、ユア、大丈夫ニャミュ?弱点があるんでしょ?」


「えっ?弱点ですか?」


 確かに朝霞はまだ戦うのが怖い。

 それは弱点と言っていいだろう。

 けれども突然のドリーの言葉はそのことを言っているのだろうか?


 朝霞が疑問の表情を浮かべていると、、、


「はみゅっ!♪」


 いきなりドリーが右の首を伸ばし、朝霞の左耳を甘噛みした。

 もちろんドリーの言う『弱点』とは『性感帯』のことである。

 真一の『性感帯とは弱点のようなもの』という説明を聞いて、それが戦闘時の支障にならないか確認してあげたのである。


「ひぃゃあぁんっ!!♡」


 たまらず悲鳴を上げる朝霞だが、その声は妙に色っぽい。

 何故なら、、、


 未だかつて経験したことのない、強烈な快感が全身を突き抜けたからである。


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