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5.12.203 いざ潜入!邪神の神殿

■■■ 第5章 part.2 あらすじ ■■■


 異世界ミグルへ首だけで送られてきた真一は、左の首を亡くした三ツ首ドラゴンのエピー&ドリーと融合した。

 人化した真一たちは訪れた人間の街で数々の騒動を巻き起こす。


 超人気アイドルとのアイドル戦争。

 勇者パーティーとの遭遇。

 街で最強の冒険者兄弟との対決。

 そして人間界で最強のラスボスモンスターとの決戦。


 そこで出会った朝霞を新たな仲間に加えて、パーツ探しの冒険に出た真一たち。

 だが疫病神の寵愛を受けた朝霞は、いきなりエロエロハプニングを引き起こしまくるのであった。

 そんななか訪れたダンジョンの街で、真一は魔法を習得するために邪神の神殿に向かう。

 だが『とある存在』がその様子をうかがっていることに、真一たちは気付いていない。

 『薄幸少女』朝霞に迫る新たな試練とはいったい、、、


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


 冒険者ギルドを出た真一たちは、さっそくコルバ《神殿》に行ってみることにした。

 マコによると神殿に行けば魔法を習得できるという話だったからだ。

 キュニュンに道を聞いて、まっすぐ神殿に向かう。

 20分ほど水路の街を歩いていくと、巨大な建物が見えてきた。


 それはバンリャガにあったものと全く同じ形で、天空神殿のミニチュア版である。

 といってもあるのは球体の上半分だけで、このミグルの月が地面に半分まで埋まったような状態だ。

 直径100メートルほどの半球ドームで、16本の柱が周囲を取り囲んでいる。

 もしかしたらこの世界の神殿は、あの形状で統一されているのかもしれない。

 ほとんどの建物が十六角形をしているこのゲッシュフトの街では、神殿だけが異質なものに映った。


 神殿の入り口は、正面にある半円形状のものであった。

 この形も天空神殿と同じである。

 空に浮かぶ天空神殿も、地上に面する中央部に口のような丸いものがあるのだ。

 それが半分地面にめり込んで半円状になっている部分が、神殿の入り口となっていた。

 ただしそれは普通のドアではなく、虹色のバリアで出来ている。

 このあたりは冒険者ギルドや大きな店なんかでもよく見かけるので、真一たちはもう慣れたものだ。


 虹色のバリアを抜けて中に入ると、そこはドーム状の展示ホールのような薄暗い空間であった。

 ただし天井のドーム部分は、星がきらめくように輝点がチカチカしている。

 まるでプラネタリウムみたいだ。


 ドーム内部のあちこちには、石柱のようなものが何十本も生えている。

 真っ黒のモノリスっぽい四角柱だ。

 それらが神殿機能の操作端末のようで、何人もの住人たちが石柱に触って何か作業を行っていた。

 とはいえ真一たちには使い方など全く分からない。


「シン、これを食べてみればいいニャミュ?」


「絶対に違うからやめようね!」


 石柱を見てヨダレを垂らすワンパターン暴食娘を止めると、真一は誰かに聞いてみることにする。

 あたりを見渡してみると、入り口近くに神殿関係者らしき男性がいた。

 ちなみにその人は作業員っぽい見た目で、聖職者的な雰囲気は全くない。


 実はこのミグルにおいて、神殿はあくまでも作業を行う場所であり、宗教的な要素は全くないのだ。

 それどころか、そもそも宗教というもの自体が存在しなかった。

 まぁ実際に創世神が存在する異世界なのだから、宗教が成立しないのも無理もない話である。

 神殿自体も創世神が人間たちのために用意してくれた、作業用施設でしかなかった。

 真一はさっそく係員に話かけてみる。


「ママスミグル」


「あぁ、ママスミグル。いったい何なん、、、どうかしましたか?お嬢さんがた」


 最初はおざなりな対応だったのに、朝霞たちの姿を良く見た瞬間、コロっと上機嫌になった係員の男。

 美少女たちに声をかけられて、鼻の下を伸ばしながら聞いてくる。

 やはり美人が得なのは、このミグルでも同じようだ。

 そんな係員の男は、4人の美少女のうちの1人が男だなどとは、これっぽっちも気付いていない。


「神殿は初めてなんですけど、使い方を教えてもらっていいですか?」


「初めて?その歳で初めて??今までパスリル《生存税》はどうしてたんだよっ!!」


 係員の男が予想外すぎる質問に、大声になって聞き返す。

 このミグルの住人は256日ごとに生存税を神殿に納めないとペナルティで死んでしまう。

 ミグルを瘴気から守る結界の維持は、人々から集めたリル《価値》でまかなわれているからだ。

 それは獣人であっても変わらない。

 人間も獣人も日齢がパース(4096)日に達して以降、つまり地球年齢だと16歳くらいから、生存税の納付が義務となるのだ。


 エピーとドリーは見た目では16歳以下に見えるが、朝霞はどう見てもそこまで幼くはない。

 そんな歳の人間が、神殿の使い方を知らないなど普通はあり得ないのである。


「獣人でも、村にもミコル《ほこら》はあっただろ?それと使い方はおんなじだよ」


 ヤレヤレといった感じで男が答える。

 どうやら何本も並んでいるこの石柱は『ミコル《祠》』と呼ばれているようだ。

 街の神殿の中だけでなく、どこの村にも設置されているらしい。

 けれども勇者である真一も、モンスターであるエピーたちも、祠を使った経験などもちろんない。


「へぇ〜、そうなんだ、、、獣人でも同じなのかぁ〜」


 真一はそう言って言葉を濁すことしかできない。

 セリフが棒読みっぽくなってしまったのも致し方ないところである。


 人間も獣人も同じって言っても、こっちはモンスターなんですけど??


 と頭の中でツッコミつつも、今さらながらに不安になってくる真一。

 真一自身はともかく、モンスターであるエピーとドリーが神殿で作業できるのか?と。


「ちなみにこれってモンスターでも使えるんですか?」


 もしかして?と期待して試しに聞いてみたが、、、


「はぁっ!?使えるわけねぇだろっ!!」


 ですよね~、としか言えない答えであった。


「そもそもモンスターが神殿に入れるわけねぇよっ!入り口の結界で弾かれるし、警報が鳴って街中の兵士が殺到するわ!」


 えっ!?

 あの虹色バリアって、そういうもんだったの?


 いま明かされるビックリな事実であった。

 最初に冒険者ギルドで見たときは恐る恐る触れた虹色バリアだったが、今ではすっかりそういうものだと受け入れていた。

 ただの飾りくらいにしか思っていなかったが、実際にはモンスターを通さない結界だったようである。


 真一たちは知らなかったが、これはこのミグルで使われている結界のうち、強力な種類のものである。

 逆に街の外の畑や、農園なんかに使われている結界は弱い版だ。

 それらは結界というよりはただのモンスター除けと言った方がいいくらいで、目に見えないし、効果も弱い。

 せいぜいカッパー(Eランク)〜ニッケル(Dランク)あたりまでのモンスターが近寄りにくくなるだけ。

 その代わりに、割りと低コストで広い範囲をカバーできる。


 対して虹色バリアはかなり強力な結界だ。

 有効範囲は狭いものの、シルバー(Bランク)くらいまでのモンスターの侵入を防ぐことが可能だ。

 しかもモンスターが触れれば警報が鳴り響くようになっている。

 暴虐の至聖龍を防ぐことなどもちろん無理なのだが、本来なら侵入時にアラームが発動するはずなのだ。


 だけど今まで普通に入れてたよな、、、

 もしかして俺と融合して勇者扱いになったおかげでセーフだったのかな?


 じゃなければ兵士に囲まれていたのだろうか?と、今さらながらに冷や汗を流す真一であった。


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