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3.49.113 犯人は人喰いドラゴンだっ!!

 インテリ銀髪っ子にいきなり犯人だと言い当てられ、パニック状態の真一。

 今回の誘拐犯は別人だが、昨日の事件の犯人は確かに真一たちである。

 そのことがバレてしまったら、どんな罪に問われることになるか。

 焦る真一だったが、上手い言い訳などすぐには思いつかない。


「ミュイ〜、何を意味不明なこと言ってるの?」


 すると真一の代わりにエピーが白々しく言い返す。

 しかもいかにも心外だ!といった様子で。

 ドリーが昨日の犯人だと知っているのに、そんな素振りなど少しも見せない。

 その心臓の強さは、まるで女優のような大物っぷりである。


 一方で真犯人はというと、、、


「なに?ドリーの悪口言ってるの?ぶっ飛ばすよ」


 何故か逆ギレしていた。

 自分が犯人であることなど、すっかり忘れてそうな勢いである。


 ってか昨日ルミッコを食べたこと、本当に忘れてないか、これ?


 と、相変わらずのドリーに呆れ果てたおかげか、少し落ち着いてきた真一であった。


「うっ、、、」


 そんな凶悪ドラゴン2人の迫力に押されたのだろう。

 少し調子に乗っていたインテリっ子が怯んだ様子を見せる。

 とはいえいきなりの犯人扱いで、ドリーとインテリっ子の間に険悪なムードが漂っていた。

 このままでは再びドリーがパクっといっちゃいかねない。

 嫌な予感を覚える真一だったが、そこに救いの手が差し伸べられる。

 気弱そうな印象だった、キャーシャの残り2人のメンバーが、間に入ってきてくれたのだ。


「まーたメルちゃんの悪いクセが始まったよぉ。流石にその推理は無理があるでしょ」


「ぅぐっ、、、」


「獣人さん、ごめんなさい。メルさんって頭良さそうに見えるけど、実はすっごいバカなの、、、」


「バっ、バカじゃないもんっ!メルリルは頭いいもんっ!」


 残り2人からさんざんな言われようをされて、涙目になるインテリっ子。

 だがインテリっぽいのは見た目だけで、実際はアホの子だったようだ。

 ちなみに名前はメルリルちゃんと言うらしい。

 さっきまでの知的な令嬢っぽい感じが消し飛んで、完全にメッキが剥がれていた。


「頭いいんだったら、どうやってこの子がルミちゃんを拐ったのか説明してみなよ。ねぇ、店員さん、ルミちゃんが拐われたとき、この子と一緒にいたのよね」


「はい、そうです。この獣人さんが注文しているときに大きな音がして、ルミッコさんの悲鳴が聞こえてきました」


「ほらっ!ぜんぜん犯人じゃないじゃんっ!」


 メルリルのポンコツ推理を完全に論破したのは、オレンジのショートヘアーの女の子だ。

 昨日まではすごく内気でオドオドした印象だったが、メルリルに対しては強気で行けるようである。

 親しくなった相手にだけは素が出せるタイプなのだろう。


「くっくっく。そこがこの事件のトリックなのよ!」


 だが論破されたはずのメルリルが、急に高笑いをあげる。

 そうしてカッコよく胸を張ると、迷推理の披露を始めた。


「いい、この席は奥まっていて他からは見えないわ。だからね、犯人はずっとここでルミちゃんと話していたと、周囲に思い込ませていたの。だけどね、本当はルミちゃんはずっと前から誘拐されていたのよっ!!」


「それで?」


 だがドヤ顔を決めるメルリルに、オレンジ少女が呆れ果てたといった様子を見せる。


「えっ!?わたしの名推理を聞いて、なんでそんな反応なの?」


「メルちゃん、だったら店員さんが聞いたルミちゃんの悲鳴は何なのよ」


「あ゛っ、、、」


 メルリルは全くそのことに考えが及んでいなかったらしい。

 間の抜けた声を上げて、ポカンとした情けない表情を浮かべる。

 もはやインテリっぽい雰囲気は微塵みじんも残っていない。

 本当に見た目詐欺のポンコツお馬鹿っ子だったようだ。


「仲間よ!きっと仲間がいたんだわ!」


「はいはい、そうね。それならそんな回りくどいトリックとかやる前に、さっさと誘拐してると思うけど」


「ぅぅ〜、、、だ、だけど手紙のこと知ってるのはおかしいわ!きっとルミちゃんに手紙を送り付けてた犯人も、この子なのよっ!!」


「いや、昨日偶然会ったとこでしょ!しかも声をかけたのもルミちゃんからだし」


「ぐにゅにゅん、、、」


 もはや真一が弁明するまでもなかった。

 ポンコツ探偵メルリルの推理は、全てオレンジちゃんによって完全論破されたのである。


「メルさん、わたしもこの子が犯人なわけないと思うよ。こんなカワイイ獣人さんが、ルミちゃんを拐ってどうするって言うの?」


 いちばん気弱そうな黒髪の子もかばってくれる。

 まぁ、その『カワイイ獣人さん』とやらの正体は、凶悪人喰いドラゴンなんですが、、、

 ただ当の本人たちは、しらばっくれる気マンマンであった。


「ミュイ〜、エピー、あんなガキンチョに何の興味もないしね」


「ドリーがあんな小っこいのを食べちゃうような、悪い子に見えるニャミュ?」


 めっちゃ見えるわ!

 ってか実際に喰っただろっ!


 と、ツッコミたいのを必死で我慢する真一であった。


 それにしてもドリーの言い訳が頭悪過ぎる。

 誰も『食ったか?』とか聞いてないのに、自分から『食べちゃう』とか言い出してしまった。

 勝手に自白しているようなものである。

 内心でかなり焦る真一だったが、、、


「えっ!?ルミちゃんを食べちゃうって、あなた、ソッチ系の趣味の人っ???」


 ポンコツ探偵メルリルは、『食べる』という言葉の意味を取り違えているようである。

 しかもメルリルの暴走は止まらない。


「小さい子が趣味じゃないってことは、、、まさかっ!?狙いはわたし??」


 ドリーはルミッコが食糧としては量が少ないから、『小っこい』と言ったのだ。

 なのにメルリルはそれを『スタイルが好みじゃない』という意味に受け取ったようである。

 豊満な胸を抱きしめ、ブルっと震え出すポンコツ探偵。


 確かにキャーシャの4人の中では、メルリルがダントツでグラマラスだ。

 胸なんかはFとかGとかありそうな感じである。

 知的な雰囲気とは裏腹な、ワガママボディであった。

 もっともインテリ系ではなくお馬鹿キャラなことは、もうバレてしまっているのだが。


「もう、何バカなこと言ってるのよ!」


 メルリルの脳天にチョップを入れて、容赦なくツッコミを入れるオレンジちゃんであった。

 とはいえちょうどいいタイミングなので、真一は容疑から逃れるために話題を変えることにした。


「そうそうっ!今はこんな無駄話をしてる場合じゃなくて、早くルミッコを探さないと!ついさっき襲われたとこだから、まだ遠くには行ってないと思うんだけど」


「ホントよっ!メルちゃんがくだらないこと言ってる間に、犯人に逃げられちゃうじゃない!」


「みゅぎゅぅ、、、」


 さすがに反省したのか、申し訳なさそうな表情を浮かべるメルリル。

 本当に見当違いの迷推理であった。


 まぁ、真犯人は当たってるんだけどね、、、


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