1.11.11 パーツを確認しよう
■ここまで■
謎の人物の回復魔法により生き延びた真一は、全身のパーツを確認してみることにした。
いや、寒いどころではなくガチで凍える。
下手したら痛いくらいだ。
しかも猛吹雪のような強烈で凍える風が、ひっきりなしに吹き付けてくる。
突き刺すような痛みを伴う強風だ。
だけどそもそもの話として、痛いというのがもう尋常ではない。
だって真一は特典スキルのおかげで、感じる痛みも100分の1になっているはずなのだから。
それなのにソコソコ痛みを感じるというのがおかしいのだ。
つまり真一の左腕は命の危機レベルの極寒エリアにあるのではないだろうか?
ちなみに真一は感じる痛みが軽減されているが、痛み以外の感覚はちゃんとあるようだ。
さっきから顔に風を感じるし、地面に触れている肌はジャリジャリする。
それは他のパーツも同じで、熱さや冷たさ、風や土の感触などもちゃんと伝わってくる。
つまり転生特典スキルによって軽減されているのは痛みだけ。
触覚などの五感はこれまで通りである。
耐え難い苦痛は感じなくて済むが、生きていくのに必要な感覚は残っているのだ。
「まぁとにかく、『氷結』しているのは『左腕』だよな」
なお左腕と呼んでみたが、実際にはその全てではない。
正確に名付けるなら、『左上腕パーツ』と言うべきだろう。
感覚的には、力こぶのあるあたりの部位だ。
肘から上で、ワキから下といったところか。
そう間違ってはいないはずだが、境界がはっきりしない。
何故ならば不思議なことに、邪神に切断された傷の痛みを感じないからだ。
神パワーでワープして繋がっているらしいので、身体的には切れてない扱いなのかもしれない。
ただしそのせいで、切断面の位置がイマイチ把握できなかった。
ともかく寒さを感じるのが、左上腕のあたりの範囲なのは間違いない。
そして同じように変な感覚を受けている場所がいくつかあった。
「胸も寒い感じ?」
まず左上腕と同じく、寒さを感じるのが胸のあたりだ。
そのあたりもとにかくめっちゃ寒い。
だけどこちらは吹雪のようなものは感じない。
凍結している感じもないが、皮膚が裂けるような、ムズムズするような、そんな感じだ。
なんかよく分からない不思議な感覚である。
「あと腹が熱い」
熱くて痛い。
痛みを伴うほどの熱さを感じる場所は他にないので、ここがおそらく『燃焼』している。
「右腕はなんだろ?水かな?」
そこは何かに浸かっているような感じだ。
水圧のような感覚と、冷たさを感じる。
あと水が流れる感覚も。
「そしてなんか生暖かく濡れてるのが左肩かぁ」
左肩のあたりも同じように水に浸かっているみたいだが、こちらは逆に温かい。
『水没』の状態異常はこの2つのどちらかだろう。
まとめると、真一の身体で変な感覚がある場所が5か所。
そして状態異常は6種類。
『氷結』は『左上腕』
『燃焼』は『腹』
『水没』は『右上腕』か『左肩』
良く分からないのが『胸』
残る状態異常は『毒』と『捕食』と『真空』だが、こちらは経験がないのでどう感じるのか分からない。
もしかしたら生暖かくて濡れている『左肩』は、モンスターに食べられて『捕食』中なのかもしれない。
『真空』はどんな感じか全く想像つかないけど、そう聞いてパッと思い付くのは宇宙だ。
もし衛星軌道の宇宙空間にあるとしたら極寒だろうし、なんか寒くて変な感じの『胸』がそうなのだろうか?
「15個のうち5個は何となく分かったけど、他は特におかしな感じはないんだよなぁ」
他の部位からは風や地面といった、普通の感触しか感じなかった。
熱さや寒さなどの特別な感覚があれば、そのあたりがパーツとして分かれていると判断できる。
けれども切断面の痛みを感じない以上、それ以外の場所がどうなっているかは、知りようがなかった。
「となるとあとは記憶頼りかぁ」
といっても真一が覚えているパーツは少ない。
突然白い世界に呼び出され、いきなりバラバラにされたのだ。
どこでパーツが切断されたか覚えていないのも無理はない。
だがその中でもしっかりパーツを確認することができた出来事があった。
そう、自分で自分のパーツをくっつけたときである。
真一は自分の両手を動かして、足のパーツをくっつけたのだ。
まず作業に使った両手である。
「右手と左手は確実と」
右手が手首から先だけで、左手は肘から先。
ちなみに左手はインチキ神さまがお手本として2つのパーツをくっつけたものだ。
「そして右足、、」
真一が自分でくっつけたのが右足の2つのパーツだった。
太もも部分と、膝から下の部分。
つまり右足のパーツについては、付け根から先がまるまる揃っていることになる。
というわけで、これで3つのパーツが判明。
合わせて8個となった。
『胸』
『腹』
『左肩』
『左上腕』
『左手(肘から先)』
『右上腕』
『右手(手首から先)』
『右足全部』
の8つである。
ということは逆に判明せずに残っている場所は、
『腰』
『右前腕』
『左足全部』
の3か所だけということになる。
真一のパーツは全部で15個で、分かっているのが8個なのだから、不明なのは7個。
「この3か所が7つに分断されてんのかな?」
いろいろ整理して状況が少し見えてきた。
おかげで真一がこの異世界で為すべきことがはっきりした。
それは。
魔王を倒す、、、
な、わけがなく、もちろん、、、
「よしっ!この異世界で俺は、自分の身体を取り戻すっ!!」
強い決意をあえて口に出して、気合を入れる真一。
とにかくまずはパーツ探し。
当面それ以外のことは後回しだ。
もっともロクに移動すらできない真一には、限りなく無茶な難題である。
むしろそれ以前に、いつまで生きていられるのかという話だ。
誰かがどこかのパーツに回復魔法か何かをかけてくれたおかげで、真一はまだ生きている。
だが今の真一はスリップダメージにより、15分ごとの回復が必要となる。
その誰かはすでに2回、回復をしてくれた。
けれども15分ごとの回復なんて面倒なことを、いったいいつまで続けてくれるだろうか?
どんな動機で回復してくれているかも分からないというのに。
そういえばパーツの検証をしているうちに、かなり時間が経過している。
そろそろ次の回復が必要な時間だ。
謎の誰かは今回も助けてくれるだろうか?
もしその人が飽きたり、面倒になったり、MPが尽きたりしたら、その時点で真一は終わりである。
「ステータス」
真一は祈るような気持ちでステータス画面を確かめる。
「えっ???」
だが真一のステータスはビックリな状態になっていた。
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名前:馬宮 真一
レベル:1
HP:20 / 20
MP:2 / 20
補助効果:
HP自動回復 【+1 / 2秒】
▶サステナヒール 【7145 / 7157秒】
状態異常:
スリップダメージ 【-0.21 / 10秒】
▶切断 ✕15
▶毒
▶燃焼
▶氷結
▶水没
▶捕食
▶真空
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「なんか自動回復になっとるっ!!!」




