1.1.1 【プロローグ】生首だけで、、、
真一の横向きになった視界に映し出された世界。
それはもう、見るからにファンタジーな異世界だった。
良く晴れた暖かい昼間。
だというのに見上げる空は青ではなく、、、
「ピンク色の空、、、」
そこに雲は浮かんでない。
その代わりに、、、
「島が、、浮いてる、、、!?」
そしてそんな空の彼方には、月ではない『ナニカ』。
明らかに自然の天体ではない。
その衛星サイズの超巨大人工物は、、、
「月みたいな天空神殿!?」
普通ならテンション上がりまくりの異世界である。
「確かに異世界なんだけどさぁ、、、」
本来ならここから魔王討伐の大冒険が始まるはずなのだろう。
転生特典に神さまからもらったチート能力を活かして。
昨日までだったら、真一も無邪気に異世界生活を楽しめたに違いない。
日常に退屈さを感じていた、平凡な大学生のままであれば、、、
けれども今の馬宮真一は、それどころではなかった。
異世界だの魔王だの言ってる場合じゃない。
真一は今まさにゲームオーバー寸前の危機的状況にあった。
だって、、、
世界が横向きになっている。
別に寝転がっている訳ではないのに。
自力で起き上がることはできない。
それどころか指一本動かすことすら不可能。
今の真一が動かせるのは、顔面だけ。
何故こんなことになっているかというと、、、
「なんで生首だけでコンニチハさせられてんだよぉぉぉーーっ!!」
そう、生首だけだからである。
真一は生首1つだけで、この異世界にコンニチハする羽目になったのだ。
「ふざけんなよっ!!!あのインチキヤロー!!!」
真一は憎っくきアイツへの罵倒の言葉を、声の限りに叫ぶのであった。
そう、、、
自分をこの異世界に送り込んだ、自称『神さま』への。
■■■ 序盤あらすじ ■■■
無惨な事故に遭い、死の間際にあった大学生、馬宮真一。
激痛がトラウマとなったマミヤくんが願うのは、『痛いのはイヤ』、ただそれだけ。
だからいきなり神さまに呼ばれて、異世界に行って魔王を倒せと言われて、、、
そんなマミヤくんが選んだ転生特典スキルは『ダメージ最小化』!
それはどんな攻撃を食らっても、ダメージを1しか受けないというチートスキル。
いきなり首をぶった切られても、マミヤくんは1ダメージで死にません。
だけど、、、
異世界に『生首だけでコンニチハ』させられるとか、聞いてないんですけど!!!
勇者となって魔王を倒せ?
生首だけだから、できませんっ!
それどころかスリップダメージで、いきなりもう死にそうです。
だというのに、送られた先は異世界の森の中。
助けてくれる人もなく、周りは危険なモンスターだらけ。
巨大トラに襲われ、噛み付かれる。
巨大怪鳥にさらわれ、上空から墜落。
巨大ヘビに丸飲みされ、消化される。
そして襲来するゴブリン軍団。
生首だけにはハードモードすぎる!
癒やしは?
ヒロインはいないんですか!?
そんなマミヤくんの前に次々と現れるヒロイン候補たちは、一癖も二癖もあるヤバい奴らだった。