鍋ぶた91 鍋焼きうどんに誘われて…
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月見ダンジョン、少しずつ知名度が、上がってきましたね。
「「「おはようございます!」」」
「おー、おはようさーん、いやぁ、山下さんのところはみんな良い子ばっかりだねぇ」
「あらぁ、やだ。でっしょー?うちの子みんな良い子で美男美女だから」
体内時計が狂わないように、朝の6:30にダンジョンの外へ出る。こもってると、モグラになっちゃうからね…
『人と健全な挨拶を交わす事で、お互いの気が交流する。気を流し続ける事で心の澱みが無くなるのだ』
みゆきのお爺ちゃんの格言だ。みゆきは、これは本当だと思っている。元気よく挨拶し、朝食を外で食べる。
「あれ?村長、お客さん?」
「ん?おぉ、本当だ!!わっ、ちっと、じゃ、また。おはようございまーす、今行きますねー」
若い女の子達が、きゃっきゃしながらお店を見て回る。
「あ、あの子たち、もしかして…」
柑奈が携帯を出して、SNSアプリを開く。柑奈が投稿した月見スイートポテトの写真にいいねが付いているのだが、その中の1人がお店に来ているみたいだ。
若いのに、朝早くから来ててすごい…月見ダンジョン村が6時00分開園なのも凄いけども…女の子達は、ガイドをつけてダンジョン探索したいとの事。村長がめちゃめちゃテンパっている。一般人のお客さん、もしや初めて??
みゆき達は、常連っぷりを決め込んでダンジョンへ入って行ったが、女の子達の目には入らなかったと言う…
▲▽▲▽▲
みゆき達は100%のステータスアップを目指し、最下層のボスを倒していたが、みゆきが68%まで行った時にボス部屋の空気が変わった…
「あ、まさかのプレミアム?」
翔と更紗が戦闘体勢に入る。
「オールプロテクト!サーチアイ!」
「パラライズミスト!」
みゆきも唱える。
「無敵!」
ドシン、ドシンと地響きがなり、片手に傘、反対の手にはお酒を持っている。なんか狸の置物とかであるあの、愛嬌たっぷりのやつだ…
「これ、月見の入り口にあるやつじゃん??」
「本当だ!」
戦う気がしなくなるほど、可愛い顏をしてる。が、柑奈がぶっ放した!チャージタイムがあったから静かだったのか…
「先手必勝、急所突きアロー!3連発!」
「柑奈、酒瓶!」
翔が叫んだ時には酒瓶が割れ、額がひび割れた。おへそにもヒットし、ピキピキと凍り出した。みゆきは投擲ナイフや投石玉で援護する。化け狸は怒って爆発した。
プロテクトが途中で砕けたのがわかるが、全員がギリギリ『無敵』バフで助かった。溶けた大きな化け狸の中から、細マッチョで目つきの鋭い化け狸が出てきた。翔が飛びかかり、更紗が不意打ちをする。が、化け狸が強い…
翔も更紗も軽くあしらわれていた…
「翔、ガード、ガード、ガード!!」
みゆきは応援なのか、補助魔法なのか分からないくらいに叫んだ。柑奈が水球を飛ばしタヌキの鼻や口元を狙っていく。みゆきは、もっと補助呪文を唱える。
「スピード!避けて!そう、ガード!切れ味MAX!振り抜けー!翔、いけー!!よし、更紗!隠密!素早さー!
「ちょっと、ママ黙ってよ!集中できない…」
柑奈がジト目で見てくる。だって、翔が頑張ってたら応援しちゃうじゃん?
柑奈がアイスアローを放つ、瞬間、翔も更紗もサッと離れる。
「バインド」
更紗が離れ際に化け狸の動きを止めたので、アイスアローが化け狸にヒットした。化け狸は、白い息を吐きながら
「ガーーー!!」
叫んだ。あまり効いてないようだ。みゆきは鑑定をする。
【プレミアム化け狸】
200体目の化け狸。酒に弱い。レベル110。月見ダンジョン最強ボス。念力も強いので注意が必要。尻尾が弱点。
「レベル110!?」
みゆきは安易に子供達を危険に晒してしまった事を、非常に後悔する…
「ごめん、皆んな撤退して!危ない。ここはママがやる!」
みゆきだって、まだレベル100もいってないけれど、時々は格上戦を制してきたのだ。ここで負けたら大変だ。子供達に何かあったら、健介や、両親に顔向けできない!
魔法の短剣を、2本装備。ステータスが約1.7倍。装備は最新だ。絶対イケる!『無敵』をかけ直し、回復ティーをぐびっと飲む。
少しジャンプを繰り返して、全身の緊張をほぐし、ダッシュした。剣舞にはキレがあり、化け狸といい勝負になっている。みゆきは得意の、剣を振りながらパラライズやスロー、ポイズンを掛けていく戦法でいく。
「ママえぐい…」
キィン!キンッ!ヒュッ!
金属音と風を切る音が激しく鳴る。尻尾を一つ、また一つと切り落としていく。いつもは5本の尻尾だが、この化け狸は9本も尻尾がある。
「ママ、頑張れ!100倍攻撃!プロテクト!キュア!素早さ万倍!」
翔はみゆきそっくりな応援を始める。100倍万倍にはならないが、みゆきは力が湧いてきた。
逆にふらふらし始めた化け狸に、ラストアタックをキメると、ボワンっと消えて、葉っぱに包まれたドロップ品が落ちた。
呆気ない最後に、気が抜けたみゆきのすぐ横に
シュパンッ!と、矢が飛んできた。
「ガーッ!!!」
どこからともなく声が聞こえ、本当のドロップ品が落ちた。みゆきはレベルアップした…おそらく変な顔して耐えてる子供達も、レベルアップ中だろう。
「煙、遠くから見たら、おかしな形!」
「ママ、強かった!」
「最後危なかったけどね」
「え?最後の煙が化け狸だったの?」
化け狸の変身レパートリーに脱帽だ。ドロップのピンバッチをそれぞれに渡す。すると今回は10%もステータスアップになった。みゆきは78%にアップだ。
変身キャンディ、金貨300枚、今回は一升瓶の高級なお酒が3本、お土産包みのマグロのお寿司が10箱、念力葉っぱ1枚、ふかふかな尻尾が9本、北風の刀、が入っていた。
【念力葉っぱ】は、頭に装備すると魔力が強くなる装備品だった。
【ふかふかな尻尾】も、装備品で、尾てい骨につけると、自然と尻尾が自分の体の一部になり、やはり魔力が上がる効果があった。
子供達、後16回で目標達成だが、お昼にする事にした。
スロープの拠点に戻り、全身『クリーン』でサッパリし、今日のお昼は鍋焼きうどんにした。スロープ中に美味しそうな匂いが立ち込める。
ズルズルとうどんを啜り、しみしみな海老天を食べていると、カシャン、カシャンと音が聞こえてきた。
みゆき達は、ドアの外を見て、『バクン!』と心臓が跳ねる。音の正体は、ない鼻をすんすんさせながら歩いて来る、どくろ剣士の足音だったのだ……
え?食べたいの?鍋焼きうどんを?どうやって??
恐怖よりも疑問の多いみゆきさんなのでした…
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鍋焼きうどんが、美味しく感じる地下7階の涼しいお部屋です。お泊まり希望の方は、いいねをお願いします。時々どくろ剣士が歩いてきて、もっと涼しくなりますよ〜