表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鍋ぶた片手にダンジョンへ  作者: ミンすけ
健介とみゆきの記憶
78/93

鍋ぶた78 みゆきの恋の物語

挿絵(By みてみん)

のんびりとした気持ちで読んで頂ければ

幸いです。少しでも面白かったと思って

頂けたら、評価やブックマークを是非

お願い致します(*´◒`*)


誤字訂正、ありがとうございます!


回想シーンです。恋の話し…

もう、書きながら恥ずかしくてパンクしそうなミンすけでございます…頑張りました…


みゆきと健介はダンジョンで出会った。

みゆきがハタチの時だ。



▲▽▲▽▲




「やだ、も〜!疲れた!歩きたくないっ!なんで出口ないの?信じられない!!」


「遅くなっちゃうし、地図、書いてきたからもうすぐ出れるよ。じゃ、5分休も?」


「じゃ、うちは見張りしとく」


「みゆき〜ありがと〜!」




みゆき、あいこ、ななみ、ともえの4人グループは夕日丘ダンジョンの中で迷ってしまった。


ななみが泣き始めてしまい、励ましながらなんとかマッピングしてきたみゆき達だが、正直全員がお腹も空いて、眠くて、ヘトヘトで心が折れそうな時に、現れて助けてくれたのが健介達のパーティだ。



ともえとあいこは水を分けてもらい、和やかに談笑。1人、目の眩むようなイケメンさんがいて、ななみは泣き止み、イケメンさんにぐいぐいアタックをし始める。


それを止める事が出来ずにオロオロしていたみゆきに、ため息をつきながら話しかけたのが健介だ。



「あれ?迷子だったよね?ずいぶん元気だね〜」


「あははっ!たしかに、さっきまではめっちゃ泣いてたのにね」



出口まで送ってもらうと、ななみが『どうしてもダンジョン攻略したいので、今度一緒に探索して欲しい』とイケメンさんに懇願し始める。


イケメンさんは、健介のパーティの隊長さんだった。なんとか『次の週末なら』と言質をとり、みゆき達は週末になるとあちこちのダンジョンで、健介達と探索、攻略を試みるようになった。



みゆきは健介に戦い方を教わったり、手作りの傷薬をあげたりしてるうちに、仲良くなった。


レベルも上がり、モンスターを1人でも倒せる様になってきた。みゆきの成長を一緒に喜んでくれる健介に少しずつみゆきの恋心が膨らんでいった。


「みゆきさぁ、健介さんの事好きなん?」


「え?あ。んー、なんていうか、一緒にいると楽しくて、週末会えると思うと、うきうきしちゃうかな〜。でも、皆とワイワイするのがめっちゃ楽しくない??」


「分かる!私、新しい探索用の服買っちゃった!あと、リュックと靴も!」


「うちはぁ、隊長の顔が好っき〜!でも滅多に来てくれないからなぁ」


「あんた。メール送りすぎだから…笑」


友達も一緒だし、健介のパーティの人達も皆いい人達なので、皆でダンジョン探索をする週末が本当に楽しみなみゆき達。レベルが上がれば、お小遣いも稼げるようになれると聞いたので、それも目標だ。




▲▽▲▽▲




仲良く探査する様になってから1年経ったある日。いつものメンバーで夕日丘ダンジョンに行くことになった。



B5フロアの一角にある不思議な部屋に、みゆき達は大興奮だ。立て看板に【縁結び祈願】とあり、祈願の仕方が書いてある。結果が、どう解るのかなんて書いていなかったので、お参り感覚だと思っていたみゆき…


ななみのゴリ押しで、隊長も他のメンバーも葉っぱの縁結び祈願をすることになった。好きな人を思いながら、その人のイニシャルを刻み、小川に流すという簡単な儀式だ。



御神木に祈ると葉っぱが人数分落ちてきた…



みゆきは迷わずに健介の[K]と刻み、誰にも見られない様、サッと小川に流した。全員がこそこそと葉っぱを流していく。全員流し終わり、御神木に祈りを捧げると、光る花がみゆきの手の中に現れた。


(どういう事?)


花びらに綺麗な字で[M]と書いてある。健介と目が合いみゆきは察した。両思いだったら花が届くって事??



「なに?これ、どういう事?」


「え?うちのとこになんもこんよー?」


「わぁっ!りんごフロッグみたいだよ、みゆき」


「隊長!隊長花持ってる!え?田中君も?」




健介がみゆきの隣に来た。恥ずかしくて顔もあげられないみゆき。健介ががっと手首を掴み、部屋の外へとみゆきを連れ出した。



「あーもう、なんなん?こんなの聞いてないんだけど…」



健介の後ろ姿、耳が真っ赤っかだ…



「あのですね、みゆきさん。こんなイベント無くても言うつもりだったけど…」


健介は振り返り、短く、あっさりと言った。


「オレと付き合って?」


(はぅあ〜)


みゆきがフリーズしていると、健介が、早くも


「え?ダメ?…まぁ、しゃーないか。急だよね。じゃ、困らせちゃってごめんね」


ヨイショと、立ち上がり『戻ろうか』とみゆきを促す。


「ヌァーぁー!!ダメじゃなーーーい!!」


「ブハッ」



健介は吹き出して、手を出してきた。



「宜しくお願いします、みゆきちゃん」

「こっちらこそ、おろしくよねがいします!!」

「ろれつがすごいな…w」



2人が手を繋いで皆の所に戻ったら、全員が祝福モードだ。健介がしれっと、隊長や田中君の話に振ると、田中君は、後輩の女の子、隊長は違う隊の女の子と恋が実ったらしい。ニマニマが溢れてる…


ななみはこの2人が両思いなのかと勘違いしていたが、地獄の底から蘇る。『女が好きならまだチャンスある!』と顔に書いてある。元気な子なのだ…



▲▽▲▽▲



それから卒業までの1年間、ケンカ一つする事もなく仲睦まじい、穏やかカップルとなった健介とみゆき。唯一の意見のすれ違いといえば、健介が絶対に写真を撮らせてくれない事だ。みゆきはよっぽどの理由があるからだろうと諦めたが…。


卒業し、お互いに社会人になっても穏やかな交際を続けていた。健介はGMDSInc.に入社したが、会社の方針で極秘にしなくてはいけない為、IT産業と偽っていた。



健介は、ブラック過ぎるGMDSを辞めようとする。こんな会社じゃ、みゆきと結婚なんて出来ないからだ。会議室に、隊長や部長が居たので話が終わるのを廊下で待っていると、社長が罵倒する声が丸聞こえだった。



「ボックス持ちは即勧誘、鑑定持ちも勧誘!我が社に引き抜けと言っただろ!それでなくてもメディアから知るダンジョン発生の報告が多すぎだ!もっとアンテナ張れよぼけ!水面下で見つけて処理いけよぉクズ!新規取られたら商売上がったりだからな!分かってんの??」


「………」


「返事出来ねえの?ハイは?ハ・イ・は?」


「「はい」」


「分かったなら今月で30%、ダンジョンコア破壊!出来なかったら、給料は払わねーかんなー!!」



「いや、流石に30%は無理です。最下層までの攻略にも、時間がかかるんです!ましてやコア破壊の際、スライムラッシュがかなり時間がかかるんです。合成する前に倒さなければどんどん強くなって手に負えないんです!」


「いや、そんなの知らんし。人数連れてけば?それで出来なければそいつらも全員給料無しだけどな。あとは、もっとちゃんと頑張って強くなれよ!」



「大人数で良いなら予算増やしてください。食糧品や装備が支給できません」



「それは自分達でなんとかできるだろ?まぁ、じゃあ、このアイテムコボックス使え。」


「ありがとうございます…」


「アイテムコボックスの換金率は10%な!じゃ、宜しくでーす、おつかれちゃーんのおばかちゃーん」



健介は隠れた。


(アイテムコボックスってなんだ?)

社長が部屋から出て行くのをみていると、突然イライラしたのか、廊下の植木を蹴り倒している。



瞬間、社長の姿に、悪魔のようなどくろの姿が重なった。



「?!!」



目を凝らすとどくろの姿は消えていた…



「おい、なんだ?健介か。どうした?」



やつれた隊長と部長に、



「結婚したいから、会社を辞めたい」



と、相談すると、快く承諾してくれた。が条件があった。プロポーズをしていないなら、知り合いを、巻き込んで盛大にやろうと言う事だ。



「絶対にヤダ!!」



健介は断ったが、



「それをやらなきゃ一生国外ダンジョンに派遣し続ける」



と冗談で脅された。



健介は忘れないうちに、社長に重なったどくろ姿の話をしたが、隊長は『まさかな…』と呟いた後に、健介の背中をバンッと叩く。




「おまえ、ナーバスになりすぎ。今日、飯奢るからラーメン食いに行くか?プロポーズのプラン練ろうぜ!」




明るく躱されてしまったのでした…




▲▽▲▽▲



夕日丘ダンジョンでのひさびさの探索。隊長が呼んでいると伝えると、あいこ、ななみ、ともえは煌びやかにお洒落してやってきた。


全員が揃い、健介のプロポーズを手助けする。フラッシュモブダンスをしたり、突然現れた縁結びの神様が実は隊長だったり、ななみがイケメン過ぎる神様隊長を見て失神したりと、ハプニングはあったが、無事に健介はみゆきに「プロポーズ」をし、みゆきは受け入れた。



満面の笑顔と幸せに包まれた空間だったが、隊長が、お祝いの言葉を述べる時に、違和感しかない、意味不明な事を話し出した。



「山下健介さんは、大学卒業後、ダンジョンで生計を立てている立派な青年だ。貯金1,000万円が貯まった今日を記念に、大好きな女性に告白、プロポーズをした。その場に居合わせたその女性の友人は突然の事に驚くが、ずっと彼氏のいなかったみゆきさんを応援、後押しします。健介の友人も、突然の健介の奇行に驚くが大切な友人の勇気ある行いを讃える!


皆に祝福され、いざ、本日より結婚を前提とした交際がスタートします。


どうぞ、末永くお幸せに!頑張れよ!健介!幸せになれよ!!みゆきちゃん!!!



ウーナィルドゥス!!!」



▲▽▲▽▲




記憶が上手いこと操作され、皆、隊長の事を忘れてしまった。健介はGMDSの事を丸ごと封印されてしまい、皆との出会いや、みゆきとの恋人同士の、2年間も封印されてしまう。


みゆき、ともえ、あいこ、ななみ、田中君は、今までの楽しかったダンジョン攻略の記憶に穴が開いてしまった。



念には念を入れ、多めに消された記憶。が、イケメン隊長の筋書き通りにみゆきと健介は交際を始め、健介は就職し2人は結婚。子供が3人産まれ…今日に至るのです……


めでたしめでたし……ではないのである…




読んで頂き、ありがとうございます。

↓広告の下辺りに☆☆☆☆☆の評価が

出来るようになっています。

評価頂けると幸いです。

どうぞ宜しくお願い致します!


みゆきさんにもシャイな乙女な時期があったんですね〜。


ちなみに、1,000万円の貯金は隊長が持たせてくれた、手切れ金なのでした…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ