鍋ぶた76 八十助さんの家財査定
のんびりとした気持ちで読んで頂ければ
幸いです。少しでも面白かったと思って
頂けたら、評価やブックマークを是非
お願い致します(*´◒`*)
誤字訂正、ありがとうございます!
八十助さんの家、お宝眠り過ぎです。みゆきのアイテムボックスが万能故の高速査定が出来ました!
75話、レベルの記載後に入れていた文章が、消えてしまっていたので追加しました。健介さんの青春メモリーです。
「あ、なんか出来上がってる人いるな」
健介が苦笑している。時刻は3時、まだおやつの時間だが、確かに、3人くらいの顔が真っ赤っかだ。弾けんばかりの笑顔で飲み交わしていている。
公民館の外の広場に『夕日丘自治会』とプリントされたテントが並んで出ていて、広々と椅子やテーブルが出されている。
小腹を刺激するようないい匂いがしてきた…
「おーい、山下さん!」
釜井オーナーと会長さんが走って来てくれた。手拭いを頭に巻いていて、エプロン粉だらけだ。
「まさかこんなに早くダンジョンを治して下さるなんて…どうお礼を言ったら良いか…本当にありがとうございました。あの、手打ちうどんやってるので、よかったら食べてってくださいね」
「ありがとうございます。頂きます」
「いい匂いですね。けんちん汁ですか?」
「そうです!ガンジャモのけんちん汁ですよ。出汁がよく出て美味しいんです。今日はたくさん獲れたので、唐揚げもありますからね」
反省会までの時間、健介とみゆきは、松田八十助さんの家に案内してもらう事にした。あ。崩れそうな家…
会長さんは、『ちょっと失礼します』とみゆき達に告げると、大きく息を吸い込み、大きな声で叫んだ。
「こんにちはー!八十助さーん、うどん持ってきましたよー!」
「はーい…いつもすまんね」
会長さんが、八十助さんにみゆき達の事を話してくれている。みゆきはコソコソとクリーンをかけて、玄関周りの埃を取っていく…
奥さんに先立たれ、独りになった八十助さんの家は、玄関にくたびれてはいるが、まだ奥さんの靴が並んでいる。
「山下さん、どうぞ」
「あ、はい、お邪魔します」
「失礼します」
ギッギッと沈む廊下の板。クリーンしながら歩くみゆき達。リビングにある介護ベッドに、枯れ木のようにやせ細った老人がいた。
「初めまして。山下と申します」
「あ〜?」
健介の挨拶は聞こえていないようだ。
「やーまーしーたーさーん!」
会長がゴン太の話をしてくれた。みゆきは、アイテムボックスのショップ画面でエリクサーや、ポーション類を購入する。
八十助さんに飲んでもらうと、八十助さんの目がスッと輝きを取り戻してきた。元気ピンピン丸!
と言うわけには行かないらしい。ゆっくり起き上がり、
「ゴン太に会ったんですね…。元気にしてましたか?」
八十助さんが話しはじめた。会長が、びっくりしている。会長の話だと、ダンジョン産のポーション類は、今や毒だと言われていて全部買い取られていたらしい。しかも、10本で1000円という買取り価格だ。
みゆきがゴン太の写真を見せると、八十助さんは嬉しそうに眺めている。会長に後でプリントアウトしてもらおう。
会長がうどん作りに呼ばれ、松田さんと3人になる。
「松田さん、もし宜しければこの家改築しませんか?松田さんが元気なうちに綺麗にして、ゴン太を連れてくるのもありだと思いますよ」
健介が突然言い出すのでみゆきはびっくりしたが、確かにこの家だと病気になってしまうのもわかる。奥様の残した物が、物悲しくくすんでいて、どんよりと時が止まっているのだ。
「改築…わし、そんな金ないよ…」
しょぼん。八十助さん、しょぼん。
「大丈夫ですよ。家にある物を片付けさせてください。そうすれば、必要ない価値ある物を売ってある程度の資金になります。足りない分は、ゴン太にダンジョンで稼いでもらいますから」
「ゴン太に会えるかの?」
「部屋改築して綺麗にすれば、ゴン太と並んで仲良くテレビ見たり、ごはん食べたりできますよ!」
健介がやたら前向きだ。GMDSでいた過去の罪滅ぼしなのだろうか…?みゆきは手伝う気満々だ。
八十助さんには1日考えてもらう事にして、『また後日伺う』と約束を交わす健介。みゆきは八十助さんに予備のポーションを渡した。
八十助さんを『鑑定』すると、病気は無かった。元々のレベルが38で、なかなか強いが、現在は下がっていた。
☆☆☆☆☆
松田八十助
レベル8【MAX38】
HP34/34【MAX166】
MP28/28【MAX95】
テイマーレベル2
状態異常【病み上がり】体力低下、気力低下
☆☆☆☆☆
賑やかな夕日丘の方々に囲まれて、みゆき達はうどんをご馳走になってから帰宅した。
うどんや唐揚げは、近所の子供達もやってきて、美味しそうに食べていた。
帰る前に、みゆきは、今日の戦利品を買取をした。ポーションについてはラベルを貼って正しい効果を教えてきた。HP、MP、ポーション以外のアイテムを買い取り、3万円を渡すととても驚いていたオーナーさん。
一応、核の修復で足が出た分が取れるまでは5割の買取りになっている。
▲▽▲▽▲
「けんちんうどん、美味かったな」
「ねー。お土産も貰っちゃったよ!今日の晩御飯はけんちんうどんだね」
弾力があって、ツルツルとした少し平たい手打ち麺。出汁のきいたけんちん汁とよく絡んでいてとてもおいしかった。
「よし!俺は明日、八十助さんに会いにまたくるけど、ママさんはどうする?」
「掃除、ダンジョン、銭稼ぎ。全部やりたい!行く!」
「オケ」
▲▽▲▽▲
帰宅すると、頭から湯気もくもくの更紗と翔…がいた。明日でテストが終わるので頑張りたい処だが、ショートしてしまったらしい…そこまで頑張れるのが本当に偉い。
みゆきは、帰りに寄ったコンビニで購入した、1個300円のご褒美アイスクリームを出すと、凄い勢いで食べ始めた。
「おいちい。脳に染みていく…」
「うまっ!リフレッシュするねぇ」
「15分休憩したら、25分がんば!そしたらご飯にしよう」
柑奈が帰ってきたので、全員揃っての夕ご飯だ。夕日丘ダンジョンの話で盛り上がる。
夕日丘ダンジョンが落ち着いたら、キツネプヨ丸を連れて帰ると言ったら大喜び。ガンジャモのおとり人形の話では大爆笑だ。柑奈と更紗は、デートスポットが気になるらしい。
みゆきも、また行ってみたいと思うのでした…
▲▽▲▽▲
次の日、八十助さんの家へ行くとクルマが駐まっていた。ホームヘルパーさんの車だ。お邪魔しても、大丈夫か聞くと、八十助さんが入って欲しいと言う。
「ヘルパーさんは倉田さん、こちらは山下さん夫婦」
八十助さんはとても明るい声で紹介してくれた。倉田さんは朝から元気な八十助さんに驚いているようだ。朝食を片付けて、テキパキと掃除をすませ、時間通りに次のお宅へと向かって行った。
お昼と夕方には、また別の方が来てくれるそうだ。
「八十助さん、今日はポーション飲まれました?」
「いや、これはありがたく取って置いていざっちゅう時に頂きますわ」
ニコニコと、ベットの脇にある小物入れにしまう八十助さん。八十助さんに、ゴン太との出会いをきいてみる。
八十助さんは語ってくれた。
25年前頃。モンスター数匹にいじめられているゴン太を見つけた八十助さん。全身怪我だらけのゴン太に、持っていたHPポーションを何本かかけてあげると元気になり、懐いてきた。
その後、ダンジョンへ行くと尻尾を振って現れ、お供をしたり、お土産をくれるようになった。可愛いのでゴン太と名付け、町のみんなで可愛がることになったのでした。
めでたしめでたし…
と、言うことで、健介が早速改築のプランを話している。ここからここまでが2人のスペースで、とか、奥様との思い出品をベッドの側に集めましょうとか。イメージのしやすい話で、聞いていても夢がある。
「ヘルパーさんが、やってくれるといいんだがな…」
あらら、八十助さんの、無知ゆえのモラハラ発言。まぁ、おじいちゃんだから、ヘルパーさんをお手伝いさんと勘違いしてるのかも知れない…。
「ヘルパーさんは介護以外の掃除は出来ないんですよ。よっぽどの事がない限りは…今日のヘルパーさんは、プロですよ。本当は、どのヘルパーさんも、色々やりたい筈なのですが、禁止されているんです。でも、そこを私達が、お手伝いしますので、安心してください」
「八十助さん、例えばなんですけど…2階のお荷物って要りますか?」
「2階ね?どうだろね?わしゃ分からんもんね」
みゆきはマップを見ながらこたえる。
「見てないから分かりませんが、よくある物だと、勉強机セット、タンスなんかは、欲しい人がいるかもしれません。2階見せて頂ければ査定できますよ」
「お、おお。お前さんそう言いながら何か泥棒するんじゃないかね?前に似たような事やられて、貴金属たくさん取られたぞ?」
あ、悪徳業者にやられた事があるんだ…お気の毒な事だ。が、2階に貴金属系、まだありそうだけど…
「ゴン太に誓ってそんな事はしません」
「あ、そうじゃった。ゴン太の写真、ありがとうな。あんたが悪さするわけ無いな。すまんね、査定頼めますか?」
「もちろんですよ」
みゆきは2階に上がり、3つある部屋の家財全て収納。ついでにクリーンで掃除した。八十助さんの家、広いわ。10畳の部屋と8畳の部屋とサンルームがある…
年代物の家具や奥様の着物、反物、帯、帯留めなど、かなり多いのだが、虫食いやシミが沢山あってもったいない。が、虹の糸と合成すると直るらしい。ナイス!
他には飾りの人形や、勲章、奥様の趣味のソーイングセット、毛糸(ぎゃ!虫だらけ)布、ミカちゃん人形や、限定モデルのブラリス人形などがある。少女趣味の可愛らしい方だったのだな、奥さん。
みゆきは、アイテムボックスにもネットショップが入れば楽なのに…と思ったら…
【合成しますか?】
【はい/いいえ】
「イエス!YESイエスいえーす!」
みゆき、テンションアゲアゲ中!【はい】を押すと、アイテムボックスの金額の欄に、見慣れたアプリのアイコンと、査定額があらわれた。え?もう、買う人決まってるの?とキツネにつままれたようだ。例えば
アンティークテーブル
20,000円(ネットショップ160,000円)
着物
140,000円(ネットショップ500円)
マジックバッグ
1,000,000円(ネットショップ0円)
という具合だ。査定金額が無いと言う事は、ネットショップではマジックバッグの価値を知る人がいないという事だ。柑奈が言ってた通り、人知を越えたダンジョンのネットワークシステム…
みゆきは八十助さんの家財道具を最適に売れるように考えていたら、オートでやってくれるし、リストアップのメモも出てきた。
「この紙…あー、あーね」
2階にあった新聞の広告の裏にメモってある…エコだね…って、数字を見てびっくり。なんと800万円になってる。貴金属が結構ある。奥さん、貴金属ちゃんと隠してたんだね…
「八十助さん、喜ぶぞー!見積り出来ましたよー」
みゆきは得意気にリストアップのメモを見せる。健介がチラシの裏メモに『うわっ』って顔をしたが、金額に驚いてるだけだろう。
「なんじゃぁ?こんなになるんか?」
八十助さんには、残す物に印をつけてもらった。価格のつかない物もリストアップされているので、量が多いが、八十助さんは。ほんの少しだけ丸をつけた。これからのゴン太との生活の方が楽しみのようだ。奥様の着物を迷っていたが、結局全部換金する事になった。
八十助さんが言う。
「すみませんが。一階と、倉庫もお願いします…」
「お任せ下さい!喜んで〜!」
みゆきは喜んで、査定に行くのでした………
読んで頂き、ありがとうございます。
↓広告の下辺りに☆☆☆☆☆の評価が
出来るようになっています。
評価頂けると幸いです。
どうぞ宜しくお願い致します!
八十助さん、しょぼんしないようにいいね、お願いいたします(*´◒`*)