鍋ぶた6 自動で経験値回収
苦手な先輩ママさんから逃げる為だけに
1,000万もするスキル石を使い
無事に秘密基地に来れたみゆきさんです。
いいねと評価が入りとても幸せいっぱいです。
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ありがとうございます。
「ほんと、何なのあの人。本当に精神削られるわぁ…何喋っても話が捻じ曲がるからあんまり話したく無いんだよね…」
みゆきは、ここに引っ越してから、幾度か精神を削られはしたけど、実は彼女のお陰でだいぶ鍛えられたかもしれない。粘着や、嫌味へのスルースキルが少しは身についただろう。
部屋は変化無さそうだけれど、念の為に壁のタペストリーや家具を一度しまってみると、変化は一目瞭然だった。
「うわ。ここ、すごく窪んでる…」
大きなタペストリーをかけていた後ろに、みゆきさんが2人入れるくらいの凹みが出来ていた。ダンジョンの通路になるのだろう…
「はぁ〜ーまたレイアウト変えなくちゃ」
みゆきさんそっちか!レイアウトのほうか!窪み前には何も置かない様にする。ここが冒険の入り口になるのだ。
「ダンジョン側からしたらここが玄関だね」
秘密基地の入り口にも敷いているが、玄関用マットを敷こう。靴底の泥を落とせる様に、目が荒く硬めの毛並みがいい。メイキングのスキルは異常な速さで色々と作れたり、一瞬で出来たりと、スピードは物にもよる。
みゆきは30分かけて北欧風の玄関用お洒落マットを作りあげた。手書き風のオーバルドットが、癒されるデザインだ。
みゆきは、屈んでくぼみの前に敷いた。幅もぴったりで申し分ない。満足気に見ていると、ふと視界に汚い足が見えた。
え。なに?
ゆっくりと視線を上げると醜悪な顔をした130センチくらいのおじさん…いや、彼は…
「ぎぁぁぁ!!ゴブリン!!??」
楽しかった秘密基地作りの気分が、一気に覚めた…
みゆきが尻餅をついた処に、ゴブリンが手にしている鋭利な斧をぶん投げてきた!!
「やだっっ!」
やばいっ!やられるっ!
咄嗟に転がって回避したみゆき。
(ナイスファイトー!)
どうやら無事だった。ゴブリンをみると、見えない壁があるみたいに部屋に弾かれてこちらには入れない。斧がゴブリンの半歩後ろに落ちていた。
「あ、セイフティーゾーンか…心臓がやばい。びっくりしすぎて…」
みゆきは身体が震えている。なんとも言えない光景だ。まるで、ゴブリンの展示をみているようだ。
生まれたばかりのゴブリンだろう。でも、何でこんなに汚ないのだろうか…足の爪がガタガタに伸びていて、変色し、ゴミが詰まっている。なんならみゆきは2、3秒、そこに意識を持っていかれたくらいだ…。
「皮膚病もありそうだよ…ぼろぼろ…」
連続して斧を投げたり振り回して攻撃してきているが、ずっと境界線に阻まれている。
『ギャーギャー』と騒ぐ、ゴブリンの叫び声が耳障りで不愉快だ。みゆきは試してみた。闇魔法の状態異常を…
「パラライズ!&クリーン!」
ゴブリンが、バタンと倒れた。汚なさが気になってゴブリンにクリーンもかけた、みゆきさん…
だが、これはすごい効果だ。
少ない頭の毛が触り心地良さそうにふわふわしている。ピスタチオグリーンのツヤツヤ肌には薄く血管が浮きでている。細長い歯がぎっしり詰まって生えているが、とても健康的で真っ白だ。
「へぇ、やっぱり人間とは全然違うんだね」
2分程観察していたら、ゴブリンの口がぱくぱくし始めた。そろそろ痺れが切れるのだろうか…
すると、突然目の前に火の塊が飛んできた!ようで飛んでこない。ゴブリンが、魔法を使ったのだが、跳ね返り自分が燃えている。
「えー!どうしよう、どうしよう、どうする?」みゆきは慌てて玄関マットで火消しをする。
思わず消火活動をしてしまったが、火が消えたと思ったら、マットの下には何もなかった。我が家のダンジョンで、最初の戦いに勝利した、みゆきさん。
ステータスは特に変化なし。
「びっくりした…ゴブリン初めて見たし!なんか、なんか、なんか申し訳ない…」
ただ、あの魔法を自分にあたったらと思うと、とても恐ろしい。子供達だったら絶対重傷、もしくは死んでしまうだろう…
この秘密基地で家族団らんをしたいけれど、ダンジョンとなれば絶対に入りたがるだろう。
みゆきは覚悟を決めた。まだ生まれたてダンジョンという、好条件のうちにレベルアップして、強くなる事!!敵には無情に徹する事!!
そして、家族とのプライスレスな思い出をたくさん作ろう!
「山下みゆき、やってやんよー!」
経験値増、必要経験値減のスキル石を使った。
みゆきは決心が鈍らないうちに、窪みの地面全体に落とし穴をつくった。落とし穴の底は非情にもトゲトゲだ。子供の頃に見た冒険映画のようだ。
みゆきは暫くの間、くぼみの前でモンスターのリポップを待っていたが、いつ湧くのか見当もつかない。
待ち時間に何かできる事はないか考え、アイテムボックスを開く。
「そういえば、買うこともできるんだよね」
ショップのアイコンをタッチすると、いろんな薬草、牙、羽、毛皮、糸、布、などファンタジーゲームのようなワクワクするアイテムがいっぱい出てきた。
なんでも良いからやってみようと、糸や毛皮、布、牙、を購入し、二万円くらい使った。
チュニックの下に合わせるボトムスがほしかったので、作ってみる事にした。
服飾は勉強をしてきたし、スキルがあるのでイメージすれば、なんとなくで出来上がる。ポケットは多め、もちろんウエストはゴムベルト。
素材によっては色々な効果をつけられるようなので、その辺も調べて飾り付けしていく。糸が綺麗なので、刺繍を施すと、ワンポイントのはずが、楽しくてどんどん広がってしまった。
高そうなエンブロイダリー生地の、素敵なガウチョパンツが出来上がった。クローゼットにセットして着てみる。さすが!採寸をしたようにピッタリだ。
「子供達にも作ろう!普段着でも着れるように、カジュアルがいいね」
翔はピッタリしてるのが嫌いだから、サルエルパンツ。
旦那はトップスが少ないから少し大きめでTシャツを何枚か作ろう。
柑奈はバイトで着れるように白シャツ。
更紗は学校ジャージのイメージだなぁ…スウェットで、元気なやつにしよう。
翔のボトムスが完成間近になった所で、
『べシャンッ』
みず風船が割れるような音がした。モンスターが罠にかかったのだろう。みゆきが穴を覗くと、穴の中で何かが動いているが、溶けて消えた。スライムだ。
「結構王道なダンジョンでよかった。ゴブリンはちょっと見た目が人っぽくて苦手だけど、ゾンビよりは全然いいよ」
その後、服を作り、ミサンガや、イヤリング、ピアス、ネックレス、帽子、等など…小さいお店が開けそうなくらいのアイテムをたくさん作れた。
アイテムボックスにいれると、金額が出る。材料費の3〜5倍くらいで売れるみたいだ。効果がついてると、更にお高いみたいだ。
たくさん作れたイヤリングとピアスの殆どを売ったら、元が取れた上に2万円の利益が!そしてその間に魔物が12回程罠にかかった音がしたのだ。
「やっと働いて金を手にできた気がするよ…しかも、私の刺繍のガウチョパンツがまさかの18万て…売らないけれども。」
『べシャン!』
また落ちた。その時みゆきは、体の中からDNAが書き換えられるような、内側からひっくり返されてるような感覚に襲われた。
(レベルアップきた!!)
みゆきはステータスを確認した。
☆☆☆☆☆
山下みゆき
レベル10
HP44/44
MP28/28
土魔法レベル1
闇魔法レベル1
ハウスキーパーレベルMAX
メイキングレベルMAX
クローゼットレベル2
(メイク、ヘアメイクもセットできる。
上限50セット)
俊敏レベル0【MAX2】
状態異常【肥満】俊敏さが無くなる効果
☆☆☆☆☆
MAX14の表示は消えたが、俊敏のMAX2は消えてない。おそらくHPが今までのMAX40を超えたらからだ。レベル10で、HP44はみゆきにしてはいいステータスだ。レベルが14に戻った時、HPいくつになるんだろう。
みゆきは得した気分になった。
時間は…まだダンジョンに来てから1時間半しか経ってない。まだ午前10時30分だ。制作魂に火が付いていたので、そのまま色々、試験的に作ったり、検証していく。
その間、時々罠にかかる音が響く…
レベルは14までもどった!元々のレベル14
の時のHP40が、MAX50になった。
(10お得〜)
MP25だったものはMP31まで増えた。
(6得した〜)
HP50/50
MP31/31
他は変わらなかった。
簡単なお昼を食べる。お昼は昨日から漬け込んでいたフレンチトースト。カリッとふわっと、ジュワァ〜だ。ほんのり甘くて、集中していた脳に、養分が染み渡るようだ…
午後は販売会をする事にした。
戦闘的効果のない普通の服やアクセサリーは、今まで放置していたネットショップで販売だ!!
▲▽▲▽▲
二者面談だからと早めに帰ってきた更紗は、アクセサリーを見ている。
「えーやば。かわよ。かわよ。これも。
欲しい!」
更紗に着画のモデルになってもらう。何個かあげると大喜びで写真を撮らせてくれた。
ネットショップに掲載し、更紗にもSNSで紹介してもらう。
いつの時代もJKは神世代だと思う。怖いもの知らずで、あざとかろうが、グイグイだろうが、全てが清々しくて、…眩しいよね…
ピロン、ピロン、と携帯がなり、モデルの更紗と同じイヤリングが売れている!!
「早くも!!更紗、すごいね!」
「イェイ」
元気スウェットを着てもらい、たくさん着画を撮った。スウェットは可愛いと思ったので、イロチで作っていて、みゆきも着てみたが色々となんか違かった…
「ママ、これどうしたの?スウェット、え?作ったって、ママが???すご!なんかママ最近神がかってる?料理も掃除も!」
ま、そのうちちゃんと説明するけど、今日は誤魔化す。
「前々から少しずつ作ってたんだよ。同じ服だと裁断一気にできるから、たくさん作れるんだよ」
更紗の為に作ったので、色を選んでもらう。
「ねえママ、友達が誕生日だから、お揃いでこれあげたい!」
《ふぇぇ〜》
「い…いいとも〜」
拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。少しでもみゆきさんを応援したいと思って頂けたら、どうかポチりとお願い致します(╹◡╹)
更紗ちゃんの着ているスウェットが、NBBTと気付いた方は、すごい!!ぜひいいね、ブクマ登録、高評価の星をお願い致します!!