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鍋ぶた片手にダンジョンへ  作者: ミンすけ
花壇にダンジョン!?

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鍋ぶた1 花壇から出て来たよ…ダンジョンが

挿絵(By みてみん)

山下家の家計が大ピンチを迎えたその日、庭の花壇に突然ダンジョンが出現!


そこで手に入れたのは、主婦にとって夢のようなスキル!?


可愛いお供たちと一緒に、ダンジョン攻略も家事も斜め上へ突き進む、主婦・みゆきさんのゆる〜い奮闘記です。


のんびり気楽な物語ですので、肩の力を抜いて楽しんでいただけたら嬉しいです。


この作品はスマートフォンで執筆しています。

そのため、パソコンでは少し読みづらい部分があるかもしれません。


約4年ぶりに執筆を再開し、現在はAIにも添削を手伝ってもらいながら、自分で書いた物語に、自分で【鍋ぶた】をインストール中です。


少しずつではありますが、読みやすい作品を目指して頑張りますので、温かく見守っていただけたら嬉しいです。


山下家、大ピンチ!


 三人の子どもたちが、この春めでたく大学・高校・中学校へ入学した山下家。


 周りから見れば、順風満帆。幸せ絶好調の山下ファミリーです。


 ところが、不運にもママさんバレーでぎっくり腰になってしまったみゆきは、長期休暇を取ることに。すると経費削減の対象となり、やむなく退職することになってしまいました……。


 住宅ローン! 車のローン! 食費! 水道代に電気代! 制服代、入学金、通院費……あわわわっ!


 山のような支払いを前に、失業保険の給付もまだ間に合いません。


 貯金は底をつき、お財布の中身もすっからかん。


 保険の見直しを終え、携帯料金も節約しました。それでも来月は赤字確定の激ヤバ状態です……。


 休みなく働く旦那さんも、最近は目の下のクマがひどく、日に日にやつれていくばかり。


(パパだけに負担をかけちゃダメ!

 なんとか、このピンチを乗り越えなければ!)


▲▽▲▽▲



「はぁ〜っ」


 山下みゆき(40代)は、ため息をつきながら家の外へ出た。食費を少しでも抑えるため、家庭菜園をしようと思ったのだ。向かった先は、雑草だらけになった庭の花壇だった。


 ぐーんと伸びをするみゆきさん。


「つっっ!!」


 背中に鋭い痛みが走った。伸びをしただけで背中が攣っちゃうお年頃……。


 前屈みになって痛みが引くのを待つ。


「土いじりなんて、全然やった事ないけど出来んかな? いや、やるしかないっしょ……よっこいしょっと!」


 不安を抱えながらも、シャベルで草だらけの花壇を掘り返していく。


 ザクッ ザクッ


「あれ?」


 ブタクサ、ナガミヒナゲシ、カタバミ……。


 いつの間にか蔓延る草花と格闘していたみゆきさんは、花壇の奥の土が30センチほど盛り上がっているのを見つけた。


「なんだろ? やだなぁ……こわい〜。なんか埋まってんのかな?」


 動物の死骸や不法投棄のゴミだったら嫌だ。怖いけれど、放置しても仕方がない。みゆきは恐る恐るシャベルを入れた。


 ザク ザク……


 土は驚くほど柔らかく、盛土はあっという間になくなった。


 そして。


 掘り出された「それ」を見て、みゆきは言葉を失う。


 地下へ続く階段だった。


 かなり深くまで伸びており、階段は花壇の囲いに使われているレンガと同じ素材で造られている。


 みゆきはしばらく固まったまま、それを見つめた。


 やがて、震える声で呟く。


「これ……ダンジョン?」


▲▽▲▽▲


みゆきの世界にはダンジョンがある。


 今から25年ほど前。


 ダンジョンは全国各地にポコポコ現れていた。


 当時のみゆき達にとって、ダンジョンは危険な未知の施設というより、ちょっと変わった遊び場だった。


 学校帰りに友達と寄り道し、


「スライム一匹だけ倒して帰ろうぜ!」


 なんてノリで潜ったこともある。


 今考えると正気の沙汰ではない。しかし当時は、ほとんどのダンジョンが公園のように自由開放されていたのだ。


 ダンジョンは増え、冒険者として稼ぐ人達が現れた。だが、流行る前に、とある企業がほぼ独占してしまった。


 不思議なことに、いつの頃からかダンジョンの話を耳にしなくなった。


 テレビでも、新聞でも、インターネットでも。


 まるで最初から存在しなかったかのように。


 みゆきも就職や結婚、出産に追われるうちに、ダンジョンの記憶を心の奥へしまい込んでいた。


 そして気づけば25年。


 ダンジョンは都市伝説となり、人々の記憶から消えつつあった。


 ダンジョンを発見して大金持ちになった人がいた。


 レアアイテムを掘り当てて人生を逆転させた人がいたらしい。


 そんな話ばかりだ。


▲▽▲▽▲


「プライベートダンジョン!? これ、売ったらいくらになるんだろ……!」


 みゆきの胸が高鳴る。まるで宝くじに当たったような気分だった。


 さっきまで感じていた不安はどこかへ吹き飛び、代わりに好奇心がむくむくと膨らんでいく。


 そして気づけば、


「ちょっと覗くだけなら大丈夫っしょ」


 などと言いながら、ダンジョンへ入る準備を始めていた。


 暗いし、狭いし、正直かなり怖い。だが、階段部分はセーフゾーンだ。昔から事故も魔物被害も報告されていない。


 みゆきは若い頃と変わらない軽いノリで身支度を整えた。


 厚手のジャンパーを羽織り、ジャージを二枚重ね履きする。


 少しだけ緊張しながら、ゆっくりと階段を降り始めた。


 右手には草取り鎌。


 左手には鍋のふた。


▲▽▲▽▲


「ぐっ! せまっ!」


 壁の出っ張りに二の腕がこすれた。


《みゆきの風貌、それは

 20年前にグラマラスへ進化

 10年前にぽっちゃりへ進化

 5年前にワガママバディへ進化していて

 進化は常に継続中》


挿絵(By みてみん)


 膝を痛めないよう慎重に階段を降りる。


 50段ほど下ったところで、ようやく地下1階へたどり着いた。


 だが、みゆきはフロアへ足を踏み入れない。

 地下一階へ視線を向けた、その瞬間だった。

 何もなかったはずの空間に、淡い光が灯る。


 まるで侵入者を歓迎するかのように。


 薄暗かった地下一階が、ぼんやりと姿を現した。


「!?」


 みゆきは思わず目を見開いた。


「えっ、なにこれ。せまっ! ちっさ!」


 思い描いていたダンジョンとは、あまりにも違う。


(八畳くらい? もしかして出来たてのダンジョン?)


 フロア内を見回す。敵の姿は見当たらない。

 みゆきは恐る恐る片足を踏み入れた。


 その瞬間。


『ブンッ』


 パソコンが起動したような音が頭の中に響く。


「うわっ! 久々! なっつ!」


 思わず声が漏れた。


 ダンジョンへ入るとき特有の違和感だ。


 次元の境界を越えるからなのか理由は分からないが、誰もが一度は感じる感覚らしい。


 慣れてしまえば気にもならない。


 けれど、この感覚だけは25年経った今でも忘れていなかった。


 初めてダンジョンへ潜った日。


 あの日、友達と大騒ぎしながら入口をくぐった記憶が蘇る。


 みゆきは思い出したようにステータスを呼び出した。


 目の前に半透明のウィンドウが現れる。


 最後に見たのはいつだっただろうか。


 若い頃は毎日のように確認していたはずなのに。


 懐かしさを覚えながら、内容に目を通す。


 ☆☆☆☆☆


 山下みゆき 

 Lv.9【MAX 14】

 HP 34 / 40

 MP 21 / 25

 状態異常

 【腰痛】【肥満】

 特殊効果

 ・重いものを持てない

 ・動作速度低下(大)

 ☆☆☆☆☆


みゆきは複雑な顔でステータス画面を見つめた。


 スキルについては表示されていない。


 専門機関へ行けば詳しく鑑定してもらえるらしいが、みゆきは利用したことがなかった。


 それでも、何かしらの生産系スキルは持っているはずだと思う。


 若い頃は薬草から傷薬の軟膏を作ったこともあるし、裁縫や編み物、小物作りも得意だった。


「調べたら絶対、【器用】とかあるんだろうな」


 他にも心当たりはある。


 学生時代は運動神経が良かった。


 走るのも跳ぶのも得意だったし、反射神経にもそれなりに自信があった。


「【俊足】とか、【回避】とかも絶対あるんよ。それか【すばやさ】が高いとかね。それか【ジャンプ力】」


 みゆきは少し期待しながら、自分の体を見下ろした。


 ぽよん……


 《誰も何も見てないよ。

   大丈夫だよ、みゆきさん!》


 みゆきは苦笑しながら、再びステータスへ目を向ける。


「ん?」


 そこで気付いた。


「レベル下がってるし」


 昔は確か、もう少し高かったはずだ。


「地味にショックなんだけど……」


 産後、一度もダンジョンへ入っていない。気付けば20年近いブランクだ。その間にレベルは14から9まで下がっていた。


みゆきは肩を落としたが、今はそれどころではない。フロア内を見回すが、敵の姿は見当たらない。


 みゆきは恐る恐る歩き出した。


 一歩、また一歩。何か飛び出してきそうで落ち着かない。それでも何も起こらないまま、部屋の中央へたどり着く。


「セーフティゾーンなのかなぁ……?」


 その瞬間だった。


 パァッ!


 みゆきの正面が突然明るく輝いた。


「やばいっ! モンスター!?」


 みゆきは階段まで走りもどる。


 トタトタと思ってる以上に遅い。


 階段から様子をうかがっていると、やがて光が収まった。その場所には、いつの間にか洒落た装飾の台座が現れている。そして、その上には小さな箱が置かれていた。大きさはティッシュボックスほど。


「宝箱……?」


 みゆきは思わず身を固くした。なぜなら昔、宝箱型モンスターに噛まれたことがあるからだ。若い頃は、


「宝箱だー!」


 と飛びつき、


「ギャーッ!!」


 となった経験がある。


 みゆきは慎重に階段を引き返した。そして庭へ出ると、家庭菜園用の資材置き場から、野菜のツルを誘引するための緑色の支柱を一本持ってくる。みゆきはその緑棒を握りしめ、再びダンジョンへ向かった。


▲▽▲▽▲


「はぁ、やばい、階段きっつ〜」


 階段の上り下りで息もきれぎれ、恐怖で心臓もバクバクだ。が、好奇心の勝利。みゆきは緑棒を階段から伸ばし、宝箱の蓋を開けようと奮闘した。


「ほっ!」


 届かない。


「よいしょっ!」


 まだ届かない。


「そりゃっ!」


 支柱の先がようやく蓋に引っかかる。そのまま、くいっと持ち上げた。


 バコッ!


 宝箱の蓋が勢いよく開く。


「おおっ!」


 みゆきは反射的に身を引いた。しかし何も飛び出してこない。噛みついてもこない。爆発もしない。


「やった! なんか大丈夫そうだし」


 そう言いつつも、すぐには近付かない。こういう時に限って油断した人からやられるのだ。30秒ほど様子を見てから、みゆきは恐る恐る宝箱へ近付いた。


 そして中を覗き込む。


「……あれ?」


 空っぽだった。


「え? そういうことってある?? 誰か先に見つけてた?? いや、絶対にうちが一番乗りだし……」


 箱を持ち上げる。空箱だが、中を触って探ると目の前に画面が現れた。


「え? なにこれ。ネットショップ?」


 ショッピングサイトのように、アイテム、名前、説明、金額が見やすく載っている。


 スキル石【鑑定】


「……30……000000……00……。30億!? 買えるかっ!」


 スキル石【家事】15万……


「なにこれ?」


 安く感じたけど決して安く無い。見たこともない数字に気を取られるが、他にも色々なアイテムがある。


「HPポーションとかもある。買えるの? 3,000円なら……」


 金欠なので3,000円でも悩むが、腰の痛みに効くかもしれない。ワクワクしてHPポーションをタッチすると、いつの間にか手の中にHPポーションが握られていた。


「お金どうやって払ったのかな……」


 色々画面を見たけれど、支払い画面はない。


(もしかして、もしかして、もしかしてさぁ〜)


 みゆきはにやけが止まらない。


「これ、アイテム福ボックス〜!?(歓喜)」


 HPポーションをボックスに戻そうとしたら、手の中から消えた。みゆきは大興奮だ。


それもそのはず。この画面に表示されてるアイテムが、全てこのボックスに入っているのだから!!


 ぜーんぶ、みゆきのもの!!


 そして、値段が半端ない! まるで福袋のように、基礎的なアイテムがランダムに入っていた。


 みゆきは30億円のスキル石をポチっとした。手のひらに重量感のある黒い玉が現れた。おそらく一等、大当たり品である、このスキル石。


 まずは触ってみる。


 ツルツルしていて、内側から眩しい光が漏れている。


「神々しいわ……。え。どうしよう。使う?」


 見つけたのは私、30億円って凄すぎて意味わかんないし、どうやって売るのかなんて知らないし……逆に、それだけの価値があるなら、この鑑定スキルは欲しいところだ……


(でも、ずるくないかなぁ? 誰にも相談しないで……)


「これはあたいんだよ〜!」


【近所のごうつくばりおばさんのモノマネ】


(訳:これはわたしのだよ〜)


 ママ友の間ではそこそこウケるモノマネをして気持ちを落ち着かせた。ちょっとふざけたその調子に、石が光ってふわりと消えてしまった。


「!!!!!」


 30億円の石を持ってふざけちゃダメだよみゆきさん。


 みゆきは一瞬フリーズした。そして、まぁ、お察しの通りである。スキルゲットだ。ほんのり確信犯でもある。


「やばい。鑑定って絶対に世界的憧れスキルだよね」


 みゆきは鑑定を使ってみる。


 【鑑定】

 アイテムボックス レベル1


 【鑑定】

 草取り鎌(錆あり)


 【鑑定】

 鍋ぶた(万能)


 【鑑定】

 ポーション 体力回復30


 みゆきは鑑定がしたくて部屋を見回すが、他に何もない。部屋をウロウロ歩き回った。……他にする事が何も無かった……


「そろそろご飯の支度しなくちゃぁね」


 ボックスと鍋のふた、それに鎌を抱え、えっちらおっちら階段を登るみゆき。夕飯のおかずを何にするか考えるよりも、早くアイテムを確認したい。今はその事で頭がいっぱいなみゆきさんなのでした……



拙い文章ではございますが、最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


少しでも「みゆきさんを応援したい!」と思っていただけましたら、ブックマークや☆☆☆☆☆で応援していただけると、とても励みになります。


また、「感想が来ています」の表示を見るのが密かな楽しみです。一言でも構いませんので、お気軽に感想をいただけると嬉しいです。あ、喜ぶやつでお願いします。

(´◒`)♡

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[気になる点] 働いてるなら主婦じゃないし 働きながら家族の分まで家事をするのは「休みなく働くパパ(土日は休み、盆正月も休み)」よりずっと忙しく、土日休みもなくどちらの実家に帰省しても立ち働かなければ…
[良い点] 狭い階段でむぎゅっとなっている挿絵に笑ってしまいましたw イラストもコミカルでいいですね~~~
[良い点] はじめまして。ミノルといいます。 楽しく読ませていただきました。異常状態、肥満にくすりと笑ってしまいました。 応援しています!
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