第三節 反攻作戦
三輌のアメリカ戦車が全ての作戦行動を終え、次の任務について話し合っていた頃、村の周囲に散開したホロ達が今か今かとその時を待っていた。
間もなくして一輌のホロが奇襲を敢行する。
「お前ら絶対許さねぇ! ホロ村最強の力を見せてやる!」
その掛け声とともに、片方のシャーマン目掛けフルスロットルで走る。
「頼む。持ち堪えてくれよ俺の履帯。」
最高速度からのドリフトで、履帯が悲鳴を上げながらもシャーマンの側面を取ることに成功。激しい機動にパーシングらは照準を合わせることが出来なかった。
「くそっ、速すぎる。」
「喰らえ!」
ホロの十五糎の榴弾がシャーマンの車体側面を直撃。弾薬庫が誘爆し勢いよく炎上した。
「何だこの火力…。」
「古い車輌だからって十五糎自走砲の力を舐めるなよ。その気になれば新型車輌だって撃破できるんだからな。」
「そ、そんな馬鹿な話があるか!」
そして、初撃を加えたホロは最高速度で離脱する。残されたアメリカ戦車二輌は逃げるホロに釘付けとなった。
「逃げやがったぞあのチビ!」
「くそ!速すぎて弾が当たらない!」
これを好機と捉えた残りのホロ三輌が、さらに奇襲をかける。
「ゲキハゲキハゲキハゲキハゲキハ…」
「おいなんかやべぇ奴が来たぞ!」
まるで呪いでもかけるかのように呟きながら猛進してくるホロに、シャーマン呆気なく側面を取られてしまい、そのまま撃破された。
「何!?またシャーマンが撃破されただと!? 」
もう二輌のホロがパーシングを撃破しようと前に出たものの、即座に一輌が撃破されてしまう。
「おいおい、手加減する余裕も無くなったのかぁ?」
「うるせぇよ骨董戦車! 次はてめぇだ!」
パーシングはもう一輌のホロを撃破し、増援の手配を行うため一時ホロ村からの撤退を決断した。
それに入れ替わるように一輌の車両がホロ村に近付いてきた。
「ホロ村のみなさ~ん! 本部からの連絡です!!」
叫び声とともに現れたその車輌は試製対空戦車 双連型〝ソキ〟だった。
「どなたかいませんか~! 本部より伝達しにまいりました!」
「おう、いるぞ。」
「お、皆さんご存命で何よりです。」
「何言ってんだ。たくさんのホロが犠牲になったんだぞ。残ってるのはここにいる五輌だけだ。」
「そうだったんですね・・・。では連絡は間に合わなっかったということですね・・・。」
「それでいったい何があったんだ?」
ソキがここまでの経緯をホロに説明した。ホロの予想通り、マジノ線に配備されたチハがエイブラムスと小競り合いになり管轄エリアに侵入。そのままアメリカと交戦状態に陥ってしまったことを聞かされ、ホロは呆れ果てた。
「はぁ・・・。まぁそんな予感はしていた。」
「チハさんならやりかねませんね・・・。」
「報告は以上ですが、この後はどうしますか? 私は一度本部に戻ってホロ村の現状を報告しようと思っていますが。」
「待て、本部の報告から察するにこの辺にはアメリカ車輌がゴロゴロといるんだろ? お前の火力だと相手は厳しいだろう。」
「まぁ私は対空車輌ですしね。」
「よし、じゃあ護衛には俺が行こう。それと増援の手配もしてくる。」
「頼んだぞ。」
ソキの護衛に一輌のホロが名乗りを上げた。ここでソキを含めた六輌はひとまず、今後の行動について打ち合わせをしようと安全な場所へ移動しようとしていたその時だった。
「そうはさせないぞ。増援はもうこの近くまで来ているそうだ。みんな仲良くあの世へ逝けるぜ。」
「クソッ! パーシングが戻って来やがった。」
「生き延びたと思っていたか? 残念だったな。」
折悪く、増援を呼ぶためにホロ村から離れていたパーシングが戻って来るや否やホロを一輌撃破した。
「そんな・・・。ホロさん・・・。」
「まずい! 急いでソキを避難させろ!」
「おうよ! 付いて来いソキ!」
「は、はい!」
重要な伝令役であるソキを守るべく、一輌のホロが先導しホロ村から離れる。パーシングがこれを追撃しようとするが、自らに注意を逸らそうと他のホロ達がパーシングを煽る。
「待てデカ物! お前の相手はこっちだ!」
「デカ物だと!? 俺はこれでも中戦車なんだぞ!」
「無駄にデカいんだな笑」
「意識を逸らそうとしても無駄だ。まずはあの対空砲を潰す。」
ホロ達の挑発も虚しく、パーシングはソキと護衛のホロを追い始めた。
「仕方ない。迎撃するしかないようだな。」
「え、ホロさん撃破できるんですか!?」
「分からないが仕方ないだろ。速度も向こうの方が上だし、逃げ続けるにしてもいずれ限界が来る。やるしかないだろ!」
「分かりました。では私も援護射撃します!」
「助かる。気休め程度だが無いよりマシだ。」
一か八か迎撃に出たホロとソキをパーシングが煽る。
「おいおい、もう逃げるのを諦めちまったのか?笑」
「言ってろ言ってろ。ホロの火力を舐めてると取り返しがつかねぇことになるぞ?」
「いい加減強がりも聞き飽きたぞ。 そんなに言うなら、撃ってみろよ笑」
その瞬間、ホロの主砲が火を噴きパーシングに直撃。弾薬庫が誘爆し砲塔が勢いよく飛んで行った。
「何とかやれたな・・・。」
「・・・凄いですねホロって。」
一難去って、ソキは報告のこと等忘れパーシングの残骸に興味津々だった。
「これがパーシングさんの砲塔ですか。ホロさん見てください!お花が咲いててかわいいですね!」
「ん?花? あぁ砲身が割れてるのか、確かにかわいいね。 ・・・じゃなくて!なんて報告するんだ?! 敵の増援ももう来ちまう!」
「そ、そうでした! まずは、ホロ村とその近辺の被害状況については、実際この被害ですと〝壊滅〟とお伝えいただいて問題ないと思いますよ。」
「分かった。増援については?」
「増援については、本部は既にエイブラムスに対して、トップ車輌の90式をはじめとして、61式戦車二輌、74式戦車一輌を投入している状況です。防衛に当たっていたチハやチハ改も迎撃にあたったみたいですが、約五分で全滅。エル・アラメインのホリ、チヌも迎撃に出たものの撃破されてしまったとのことです。」
「ホリが・・・。エイブラムスって奴はそんなに強いのか?」
「それはもう。我々とは格が違うと言ってもいいでしょう。搭載されているエンジンや装甲等も我々よりもはるかに高性能なものを装備しているとしか思えないですね。」
「チハさんはそんな奴に喧嘩吹っ掛けたのか・・・。 61式と74式はどうなったんだ?」
「その他の車輌と比べれば戦えてはいたとのことですが、奮戦虚しく撃破されてしまったとのことです。」
「90式は?」
「90式さんは分からないんです。何せエル・アラメインとの交信を終えた後にここに来たので、最終的どうなったかは分かっていません。」
「あいつならそのエイブラムスであっても撃破可能だとは思うんだが。」
「そうですね。性能的には撃破できると思いますよ!」
「だが、聞いた限り陸上戦力の支援は望めなさそうだな・・・。」
ソキの報告通り、対エイブラムス戦だけでもかなりの損害を被っており、如何にチハの行動が国家全体に影響を及ぼしていたか想像に難くないだろう。
「じゃあ増援はどうするんだ?」
「陸上戦力がないのであれば、航空支援を頼むしかないでしょう。幸い最寄りの空軍基地に爆撃機だけがえらく潤沢に配備されているところがありますので。」
「・・・だけ?」
「えぇ、何でも連山が二十機配備されていて、その他はエンジントラブルで修理中の橘花二機くらいだったと記憶しています!」
「どんな基地だよ・・・。」
「しかし、そこしかないでしょう。離陸もできない基地もあるとかないとか聞いたことはありますが・・・。」
「おいおい・・・。ま、まぁ連山二十機の航空支援を求めればいいんだな?」
「はい!」
「了解した。じゃあ早速出発しようか。」
この間にもアメリカの増援と思しき発砲音が聞こえてきており、もはや会敵まで幾何もない状況であった。生き残ったホロ三輌は、奇襲の為に二輌が退路の先に潜み、もう一輌がソキの護衛に加わった。
「ソキはあの追ってきている車輌が何か分かるか?」
「えぇ、M46、M47、M48の〝パットン〟三兄弟です。」
「ぱっとん? 聞いたことねぇな。」
「パーシング同様、我々より遥かに強い車輌ですよ。私達では到底太刀打ちできません。」
「そうか。とりあえず付いて来い! ちなみに、ソキは後ろに向けて撃つことはできるか?」
「撃つには撃てますよ。俯角は取れませんが。」
「撃ってくれ!」
「もう撃ってますよ!」
付かず離れずの距離で誘導を続けていたホロ達が奇襲予定地点に近付いていた。
「ソキ! そのまま射撃を続けてくれ! 舗装路に入ったあたりで奇襲を仕掛ける!」
「了解です! やっぱり後ろ向きでの射撃はやりづらいな・・・。今頃ダスターさんは航空機を相手にしてるんだろうなぁ。羨ましいなぁ。」
逃げるホロ達が舗装路に差し掛かる。十分に三輌を引き込んだ後、奇襲の為に備えていたホロ二輌が道路脇の小さな丘を乗り越えパットンらに襲い掛かる。
「おめぇらの相手はこっちだよオラァ!」
「なんだ!?」
勢いよくパットンらに接近し、まずはM47を撃破。パットンらの意識は完全にソキから奇襲を仕掛けてきたホロへと向いてしまっていた。これを好機と捉えた護衛のホロ一輌も転身。
「兄弟がやられた! てめぇよくも!」
M48が怒りに任せ一輌のホロ目がけ発砲。これが履帯に命中し、そのまま機銃掃射を行い、撃破されてしまう。
「くそっ! 次の装填までに仕留める! 側面からぶち抜いてやる!」
このタイミングで護衛のホロも戦列に加わる。
「助太刀するぜ!」
「助かる! お前はM46の方を頼む!」
「おうよ! おらおら当てれるもんなら当ててみな!」
二輌は器用に砲撃を躱しながら側面へと回り込む。
「「これで終わりだ!」」
二輌は同時に砲撃を行い、M46、M48は勢いよく炎上した。
「これで一安心ですね!」
「いやまだだ。相手だってこっちに90式がいることを知ってるだろうし、もっと高性能な車輌が周囲にいるはずだ・・・。」
「確かにそうですね・・・。」
「ひとまずここからは残った全員でソキの護衛について本部に向かおう。」
四輌は急ぎエリア中心部へ向け履帯を進めた。辛うじて本部到着まで接敵はなかったものの、道中には残骸が多く一切の油断もできない状況であった。
「よし、本部に着いたな・・・。早速空軍に支援要請を行う。」
「ではこちらは、上層部への報告をしよう。ソキ、誰にすればいいんだ?」
「えーっと・・・。大変申し上げにくいのですが・・・。」
「ん? ソキ、どうかしたか?」
「本部にいたはずの車輌達が見当たらないのです・・・。彼らから90式さんに情報をお伝えするつもりだったのですが、我々の無線機の能力では、エル・アラメインにいる90式さんに状況を伝えるのは難しいですね・・・。」
そんな会話をしていると最寄りの飛行場と無線が繋がる。
「こちら日本陸軍のホロだ。日本西飛行場聞こえるか?」
「こちら日本西飛行場。感度良好。」
「急な要請で済まないのだが、日本エリア内に侵入したアメリカ車輌に対して、連山による爆撃支援を要請したい。」
「連山か!?」
「!? な、何か問題でもあるのか!?」
「いや!問題ない! そうか!連山だな! よし分かった! うちの飛行場は連山が大好きなんだ! こんなこともあろうかと待機していたんだが、そうかそうか! すぐに向かわせる!!!」
「あ、あぁ・・・。それは良かったな・・・。 と、とりあえず! 直ちにお願いしたい!」
「あぁ! 任せてくれ!」
内容はともかく・・・・ひとまず航空支援の要請は完了した。
「なぁソキ・・・。 ほんとに連山好きな飛行場なんだな・・・。」
「そうなんです。 よく無線でやり取りする僕らの中でも有名な飛行場なんですよね。」
ともあれ次は上層部に対する報告だが、高性能な無線機を持っている車輌がいない以上、報告のしようがないため、ホロ達は対応を決めあぐねていた。
「弱ったな・・・。」
「行くか・・・。」
「は? どこにだ?」
「エル・アラメインに行くか・・・。」
一輌のホロが呟くも、一輌のホロが反論する。
「さすがに無謀すぎる! どれだけ距離があると思っているんだ! 時間がかかりすぎる!」
「なら、戻ってくるかも分からない車輌を待って、このまま何もしないでいるのか?」
「言いたいことは分からなくもないが・・・。」
ここにソキが割って入る。
「お、お願いできますか!」
「ソキ!?」
「確かに時間はかかるかもしれませんが、今できることをやりましょう! 私が本部に残ります。誰かが帰還して通信できるようになれば私が内容をお伝えしましょう。」
「じゃあ、お前はソキの護衛につけ。」
「いえ!護衛は結構です!」
「何でだ!」
「爆撃隊の誘導はどうするんですか? その間移動する必要があるのであれば、そちらに戦力を割くべきです!」
「確かにそうだが・・・。仕方ないか・・・。では本部を頼んだぞ!」
ソキは本部に残り、一輌のホロがエル・アラメインに、もう二輌は爆撃隊を誘導するため、高台に向けて移動する。
「よし、移動の前にソキを安全な場所に移さなければな。」
「お、ここなんかいいんじゃないか?」
ホロが示した場所は、大きな寺院のような建物の廊の部分だった。
「こんなところに入らないですよ!」
「大丈夫! ほら押し込むから入って入って!」
「入ったとしてもここだと逃げれないじゃないですか! 砲撃されたら確実にあの世行きですよ!」
「大丈夫!何とかなるさ!」
「私の扱い雑になってません?」
「全然そんなことないぞ。」
一方、一足先に本部を後にしていたホロは、道中で特二式内火艇〝カミ〟を見つけていた。
「お、こんなところにカミが落ちてる。」
「ふぇ? 落ちてるって何?」
「カミ、今暇か?」
「まぁ大丈夫ですけど、落ちてるって何ですか?」
「これからエル・アラメインに向かわなければならないんだが、お前水陸両用車だったよな?」
「水陸両用ですが、落ちてるって何?」
「俺を担いで連れてってくんね?」
「正気です? なんか悪い燃料でも飲まされました?」
「至って正気だが?」
「あ~、そういう感じですかぁ・・・。」
面倒くさがるカミを他所に、ホロはカミを引きずりながら海岸線を目指していた。
話は爆撃機の誘導に残っていたホロ達に戻り、彼らの元に西飛行場より出撃した連山より無線が入る。
「こちら連山爆撃隊隊長機。聞こえるか?」
「お、連山か! どうかしたか?」
「あと三十分もない内に到着するが、まずはどのあたりを爆撃すればいいんだ?」
「爆撃目標は管制機に伝えたはずだが・・・。」
「あぁ・・・。すまん。連山出撃でテンションが上がってしまっていて・・・。」
「全てを察した。」
「そういう訳なんだ。申し訳ないが爆撃目標を教えてくれ。」
「日本エリア内にいるアメリカ車輌だ。ついでにエリア内に他の日本車輌がいないかを偵察してほしい。」
「了解した。」
「こちらで車両を発見した場合は誘導する。」
「了解。ではまた後程。」
このやり取りを進めている間に、アメリカの主力部隊が本部近くまで侵攻してきていた。この主力部隊は〝XM-1(GM)〟、〝MBT-70〟、M46〝パットン〟の三輌からなっているまさに主力部隊と呼ぶにふさわしい編成であった。
「さぁ、アメリカツリーの精鋭、XM-1とMBT-70のお出ましだ。」
「さて、生き残りを探すとするか。」
三輌がソキの隠れる寺院に近づいて来る。
「あ~もうホロさん言ったじゃないですかぁ~。めちゃくちゃ敵っぽいの来てますってぇ~。」
既にこの場にはいないホロに向けてソキが愚痴を吐く。
「べっくしょい! あ、数発機銃撃っちゃった。」
「どうした? 噂話でもされてんじゃねぇのか?」
「どうだろうな。」
ホロ達の呑気な会話とは対照的に、ソキには着々と危機が迫っていた。
「うわぁ、めっちゃこっち来てますってぇ! 何あれ、すっごいおっきい戦車だ。なんか一輌はすごいエイブラムスに似てるけど、何か足りないような・・・。 とりあえずやり過ごさなきゃ!」
廊から抜け出せないソキは、もはやどうしようもないと動かずやり過ごす選択をした。
「どこにもいねぇなぁ。もう全滅したんじゃねぇのか?」
「おいおいパットン。わざわざこんな田舎まで出向いてきたのに、もう何も残ってませんでしたなんて洒落にならねぇぞ?」
「そうだぜパットン。MBT-70の言う通りだ。別の大きな作戦も控えてるのによぉ。」
「とりあえずそこを右に曲がってもう少し探そうぜ。」
パットン、MBT-70の順にソキの前を通過し、あと一輌が通り過ぎれば命拾いという状況だったが、明らかに違和感のあるオブジェにXM-1が急停車する。
「(あっ、見つかっちゃった・・・)」
「なんだこれ?」
「ど、どうも・・・。」
「どうも。あの~、日本車輌ってどこにいるか知りません?」
「あ~、今はあそこに見える高台あたりにいるかと。」
「ご親切にどうも。ところであなたはどこの国の車輌なんです?」
「え、え~っとぉ、黄金の国の愛称でお馴染みのジパングです。」
「なるほどなるほど。 この度は親切にありがとうございました。それでは。」
「いえいえ、お元気で!」
もはや目も当てられないようなXM-1の天然ぶりに助けられたソキは一刻も早くこの場からの離脱することを決意する。
「やばいやばい! 何でごまかせたのか分からないけど、ここにいると命が何個あっても足りません!」
思い切り助走を付け、押し込まれていた場所から脱出した。
「あ、割とすんなり出れた・・・。最初から出てればよかった。」
ソキは絶体絶命な状況に置かれ、仕方なくホロ達の居場所をリークしたが、申し訳なさは当然感じていた為、急ぎホロ達の元に向かった。しかし、既にアメリカ車輌達は現場に到着しており、ホロ達と対峙していた。
「さぁ追い詰めたぞ。」
「くそっ!何で俺らの場所がバレたんだ!」
「なんか向こうにいた対空砲が教えてくれたぞ。」
「多分そいつ俺の知ってるやつだろ!」
追い詰められたホロ達だったが、ここに一本の無線が入る。
「こちら連山。もう間もなくでエリア上空に到着する。 敵戦車を視認次第爆撃を敢行する。近くで戦闘している車輌は直ちに退避してくれ。」
この無線にホロは一切のリアクションを取らず、爆撃が行われるギリギリまで時間を延ばすことを決意する。
「おいおい、だんまりしちゃってどうしたよ? 死ぬのが怖くなっちゃったのかなぁ??」
「うるせぇ。そんなことねぇよ。」
「よし、じゃあまず一輌いただくか。XM-1やっちまえ。」
パーシングの合図とともに、XM-1の砲身が火を噴き、ホロ一輌が撃破される。
「貴様よくも・・・!! お前ら許さねぇ。全員撃破してやる。」
ホロは頃合いを見計らい、榴弾を地面に発射。勢いよく砂埃が舞い上がる。
「くそっ、こいつ視界を奪いやがった。」
「(よし、今のうちに高台を降りる!)」
「おい! ホロ! 聞こえるか! もう爆弾を投下したぞ! ホロ!」
連山から投下された爆弾が風切り音を立て、XM-1らに向けて落下していた。
「あいつどこ行きやがった!」
「おい、待て! これは何の音だ!?」
「クソ! 爆弾だ! 回避しろ!」
「ダメだ! 間に合わねぇ!!」
爆弾が着弾し、激しい爆音とともに三輌は吹き飛んだ。
「よし、何とかなったな・・・。 連山! 聞こえるか!」
「あぁ聞こえている。 無線に応えないから肝を冷やしたぞ・・・。」
「すまないな。ぎりぎりまで引き付けておきたかったんだ。」
「ひとまず無事でよかった。他に爆撃が必要な目標はあるか?」
「いや、一旦は大丈夫だ。他の車輌がいないか哨戒してもらえると助かる。」
「了解した。」
脅威を逃れたホロはソキと合流するべく、高台から離脱した。
「あ、ホロさん! 無事でしたか!」
「残ったのは俺一輌だがなんとかな。それよりお前、俺らの居場所を密告しやがったな。」
「仕方ないじゃないですか! もう少しで死ぬところだったんですから! あのエイブラムスもどきがバカで助かりましたよ。」
「あとは本部との連絡を待つのみだな・・・。」
一方その頃・・・。
「よし! 海まで辿り着いたぞ! カミ! 俺を載せろ!」
「いや、ほんとに無理ですよ! 沈んじゃいますって!」
「大和魂が足らないんじゃないのか!? つべこべいわずに入水しろ!」
「ちょ! 無理やり押さないでください! 聞いてますか!?」
彼らが90式に報告できるのはいつになるのだろうか・・・。