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チハ短編シリーズ-小説版-  作者: 唄沫りとる
第二章 祖国ヲ守ル小サナ戦士達
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第二節 インターセプト

二週間に渡るノルマンディーでの訓練を終えたホロ達は、長い移動時間を経て、もう間もなくホロ村に差し掛かろうとしていた。


「いやぁいい訓練だったな。これで最新鋭の戦車とも渡り合えるぜ。」

「そ、そうっすね・・・。ハハハ・・・。」


「早く燃料補給したい・・・。お腹空いた・・・。」

「松の油はもう嫌だ・・・。」

「松根油は航空機だろ?」

「あ、そうか。」


「履帯がボロボロだよ。帰ったら整備しないとな。」

「しばらくはゆっくりできるんじゃないか?」


ホロ達は思い思いに訓練の感想や帰投後の願望を駄弁(だべ)りながら履帯を進めていた。


ホロ村まであと三分もかからず到着しようかという頃、先導していたホロが異変に気付く。


「ん?」

「どうかしましたか?」

「何か村の様子がおかしいような・・・?」


彼らの眼前には、十数棟はあったであろう家屋の約半数が破壊されていた、変わり果てたホロ村が広がっていた。


「おい!家が破壊されてるぞ!」

「何てひどい有様だ・・・。」

「誰がこんなことを・・・。」


帰投して早々の出来事にホロ達は絶望する。

そこに教官のホロの声が響く。


「まずは被害状況を把握して本部に報告だ!」

「「「は、はい!」」」


ホロ達は村の調査を行った。


「この壊され方・・・砲撃か?」

「恐らくそうだな。とは言ったものの弾種は見当がつかないな。」

「榴弾・・・ではなさそうですね。となると徹甲弾か?」

「弾種は分からないですが、かなり口径の大きな砲によるものっぽいですね。」

「うむ。あとはこれを誰がやったのか、だが・・・。」


といった具合に、調査と言っても被害状況までは把握できたものの、犯人の特定までは至らなかった。


「まだ本部からの連絡はない。こちらから報告に行くしかないようだな。」

「数輌で報告に行きましょうか。」

「よし、では五輌を抽出し本部への報告に充てる。俺は復旧の指揮にあたる。」


 混乱冷めやらぬ中、五輌がホロ村から本部に向け出発しようとしたところ、砲撃音と共に、先頭の二輌が炎上し撃破された。


「なっ!?」

「どこからだ!正面か!?」


戸惑うホロ達の正面から、M26〝パーシング〟一輌とM4A3〝シャーマン〟二輌が村に全速力で向かってきていた。


「エイブラムスより日本ツリーと交戦状態となったと報告を受けて来た。」

「これより日本管轄エリアの制圧を行う。まずは手始めにホロ村を制圧させてもらう。」

「さぁ死にたい奴から出て来い。」

「よせよ。ここの古い戦車共は死にたくなくて必死なんだからよ笑」

「それもそうだな笑 今頃怯えまくってるに違いないな。」


パーシング達は村にまで聞こえるような大きな声で挑発しながら近づいて来た。


「これだけ脅せば大丈夫だろう。さて、こんな田舎まで来たんだ、派手に暴れさせてもらうぜ。」

「お前はいつも暴れてるだろ、パーシング。」


そんな会話をしている内に三輌は村の入り口に到着した。


「この残骸が邪魔だな。」

「こんな雑魚車輌でも進路妨害くらいには役に立つんだな笑」


と言いつつ、圧倒的な馬力でもって残骸を押しのけ、遂にはホロ村内部に侵入した。


「さぁ、こんな場所で時間をかけるのもあれだし、さっさと要件を伝えさせてもらう。」


まるで事務処理かのように淡々と話し始めたパーシングに、一輌のホロがそれを遮るように切り出した。


「エリアへの侵入、車輌の撃破。こんなことをしてタダで済むと思ってんのか!?」


これにパーシングは飽きれたように言い返す。


「さっきの俺の言葉が聞こえなかったのかな?『日本ツリーと交戦状態となったと報告を受けた』と言ったじゃないか。」


便乗してシャーマン達もホロを煽る。


「おいパーシング笑 この骨董戦車のことだ、無線装置もお粗末だから情報伝達の速度なんてカメに届けさせた方がマシなレベルなんだろ笑」

「ハハハ! 違いないな!笑」


ここで別のホロが耐え切れずにパーシングらに向かって突進しようとする。


「き、貴様ァア!!」

「おい!やめろ!前に出るんじゃない!!」


先程まで言い合いをしていたホロの制止も虚しく、シャーマンの砲撃によって撃破されてしまう。


「何てことだ・・・。貴様!今何をしたのか分かっているのか!?」

「あぁ、骨董戦車をスクラップにしたまでだ。」

「こいつ・・・。」


三輌がホロ村に入ってから十分が経過しただろうか。(はな)から交渉する気もなかった彼らは、遂に武力行使に移る。


「話などもはや無意味だな。おいシャーマン共、こいつらを全員廃車にしてやるぞ。」

「こいつらどうかしてるぞ・・・。」

「どうかしてるも何も、今は戦争中だぞ? こっちは上層部の命令に従っているまでだ。」


立ちふさがるホロ達をものともせず、三輌は彼らを押しのけ、残った家屋を破壊しながらホロの殲滅を始めた。


「おいおい、何だこの脆い建物は。レンガやコンクリートは無いのかよ笑」

「それくらい中心部に行けばあるわ!」

「中心部に行かないと無いのかよ笑 とんだ後進国家だな」


パーシングらは口々に暴言を吐きながら撃破と破壊を進めていく。


「くそっ、煙で視界が悪すぎて照準が合わせられない!」

「逃げろ!全員退避しろ!」


ホロ達が退避を始め、障害となるものが無くなった三輌の破壊活動はより激しさを増した。


「お前らみてぇな明らかに強そうな車輌が、俺らに仕掛けてくるなんて有り得ねぇだろ!」

「知らねぇよ。そもそもの話、上層部からは日本が領土侵犯を行ったと報告を受けている。」

「バカな! 日本にそんなことする奴なんて・・・。」

「どうした?」

「いや、何でもない。」


この間にも攻撃の手を緩めず、残っていた家屋の約四割が破壊されていた。生き残ったホロ達はかながらホロ村からの脱出に成功していたが、その車輌数は非常に少なく僅か七輌のみであった。


「一旦離脱は完了したな…。態勢を建て直して反撃と、本部への報告だ。反撃部隊には四輌で行くぞ。」

「そんなに少なくて大丈夫なのか!?」

「大半で出向いて全員撃破されてみろ。より被害が拡大しちまうだろ?」

「それは確かにそうだが…。」

「とりあえず反撃に参加する車輌は俺に付いて来い!」


先程からパーシング相手に物怖じもせず口論を繰り広げていたホロが先導し、反撃部隊がホロ村へと発進した。


「とはいえ、あのぱーしんぐ?には歯が立たないのではないんじゃないのか…?」

「あぁ。奴らは砲塔が回る上に見るからに分厚い装甲をしてるしな…。」


と、弱音を零すホロ達。しかし、ここで妙案が出る。


「そういえば前にドイツツリーと交流した時に…。」

「今は旅行の時の思い出話をしている場合じゃねぇぞ?」

「ちげぇよ、ドイツ空軍ツリーのエース機体が『一撃離脱戦法』で撃墜数が惑星最多になったとか…」

「なるほど!それだ!」

「ふえぇ…どれだ…。」

「一撃離脱戦法!つまり奇襲だ!」

「奇襲を仕掛けて吶喊(とっかん)か!」

「いや…離脱するんだよ…。」


ひとまず反撃部隊の作戦も決まり、第二次となるホロ村での戦いが起きようとしていた。

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