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チハ短編シリーズ-小説版-  作者: 唄沫りとる
第一章 追いかけっこのその先に
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第三節 エル・アラメイン戦線

 マジノ線にて仲間の支援を受け何とか逃げ延びたチハは、イタリア・ブルガリア・イスタンブール・イスラエル等の中継地で燃料補給を行いつつ、エジプトにあるエル・アラメインに向け履帯を進めていた。


 スエズ運河を越え西へ進み続けると、眼前に広大な砂漠が広がる。装甲を撫でる砂埃、ジリジリと照り付ける強い日差しに、チハはようやく目的地に着いたと心が(ゆる)む。


「よし、エル・アラメインだ、マジノ線を出て約四日か。さすがに()いただろ。一応来た方向をしばらく警戒してからエリアに入ろう。」


 杞憂(きゆう)かとも思ったが、万全を期すため偵察を行うチハ。数十分は砂漠を睨んでいただろうか。殺風景な砂漠の彼方(かなた)(わず)かに動く影を見つけ、驚きのあまりエンジンの回転数が跳ね上がる。


「ハァ!? 何であのデカ物が追ってきてんだよ!?」


チハがエイブラムスを見つけたと同時に、エイブラムスもチハを見つける。


「賭けだったが、エル・アラメインに向かって正解だったな。」

「どこまで追いかけてくるつもりだこのデカ物が!」

「そんなのお前をボコボコにするまでだよ。」


チハは、ひとまずエル・アラメイン中心部に向け進んでいく。


 このエル・アラメインだが、日本誕生当初は「日本」や「マジノ線」といった現主要エリアが開拓されていなかった。そこで、どの国家の管轄にもなっていなかったエル・アラメインが日本に割り当てられ、現在に至るまで日本が管轄している。



「マジノ線のチハ改達から連絡のあったチハとアメリカのデカ物だが、こちらに向かっているのであれば、そろそろ到着する頃だと思うんだが・・・。」

「おい見ろ。あれじゃないか? まだ射程外だが。」


あまりの衝撃に味方への無線連絡を忘れていたチハだが、幸運にも事前にマジノ線守備隊から各管轄エリア守備隊に情報が共有されており、この日エル・アラメインの哨戒任務にあたっていた三式中戦車『チヌ』二輌の哨戒網に、チハとエイブラムスが掛かる。


「まだここに着くまでには時間がかかりそうだな。今のうちに増援を手配しておけ!」


エル・アラメイン守備隊の動き等知らないチハは、遮蔽物(しゃへいぶつ)のほとんどない砂漠を必死に逃げ回っていた。


「追いついちゃうけど大丈夫かぁ~?笑」


少し離れた場所からエイブラムスが大声で煽る。


「よそ見してねぇでちゃんと走りな~笑 履帯(すく)われるぞ笑」


負けじとチハも煽り返す。


 チハ達が程なく砂漠を抜けようかという頃、第一防衛線では哨戒にあたっていたチヌ二輌に加え、チヌ一輌、四式中戦車『チト』二輌、試製五式砲戦車量産型『ホリプロダクション』一輌の配備が完了していた。


「チハ、聞えるか。」

「この声はチヌか! 助けてくれ! アメリカのデカ物に追われている!」

「安心しな。マジノ線のチハ改達から事情は聞いている。第一防衛線に車輌を配備しておいた。そのまま直進して来い!」

「本当か!? 助かる!」


 無線からの予期せぬ報告に安堵しつつ、チハは直進を続けた。しかし、発見した時のマージンはほとんどなくなっており、エイブラムスとの距離はもはや一刻の猶予(ゆうよ)もない状況だった。


「目標が間もなく到着する。」

「遂に来たか。なるほど・・・。あれがエイブラムスとやらだな。」


大きな車体を進め、ホリが目標を視認した。


「うわ、めっちゃ逃げてる・・・」


視認できる距離にまで近付いた二輌を見て、チヌが苦笑いを浮かべながらこぼす。


「よし、目標はチハ後方のエイブラムス! 全車射撃準備ィ!!」


チヌの掛け声で迎撃態勢を整える六輌。


「よし、この直線で追いつk・・・」

「てぇ!」


その掛け声とともに、エイブラムスに六発の砲弾が浴びせられた。


「ぐっふっ・・・。今度は何だ!?」


エイブラムスは砲弾が飛んできた方へ向き直る。


「みんなありがとう! 今のうちに引き離す!」

「まずはこっちから相手するか・・・。マジノ線で相手したチビ共に比べれば強そうだが、それでも俺の相手ではないな。」


エイブラムスは一輌、また一輌と迎撃隊を撃破していく。


「ん?後ろにデカイやつもいるな。お前は最後に取っておこう。」


そう言い、エイブラムスはチヌ・チト隊を殲滅(せんめつ)し、ホリの元へと近付く。


「さーて、最後にあの自走砲を仕留めてやるか。どうせ一撃だろうがな笑」


エイブラムスは自慢の機動力を活かし、ホリの射線を躱しつつ背後に回り込む。


「どれ、これが日本の自走砲か。シンプルでつまらないデザインしてるなぁ。」

「クソッ。チヌ達が・・・。」


ホリは急ぎ反転を試みるが、エイブラムスの機動性には遠く及ばない。


「おっと、反転できるものならどうぞ~。」

「こいつ・・・機動性が違い過ぎるぞ!」

「そりゃあ生まれた時代が違うからなぁ。」

「クソ、日本戦車の意地を見せてやる!」


言葉通り、ホリはエイブラムスの一撃を耐えてみせた。


「何!? 戦中戦車が俺の砲撃を耐えただと? まぁいい。これで終わりだ。」


もう一発砲弾がホリに撃ち込まれる。エンジンが炎上し、行動不能となってしまった。


「第三世代MBTと戦中戦車じゃあ格が違うんだよな。」

「第三世代MBTって何だ・・・?」

「そこからなのね・・・。」


迎撃隊の奮戦(むな)しく、第一防衛線はあっけなく突破されてしまう。


「よし、急いであのチビに追いつかねぇとな。エンジン全開だ!」


そして、エイブラムスはアメリカ空軍に無線で航空支援の要請を行う。


「こちら陸軍のエイブラムスだ。航空支援を要請する。」

「了解した。目標は?」

「今から俺が向かう場所だ。稼働可能な機体の中で一番いいやつをよこしてくれ。」


 ここで、この惑星における陸軍と空軍の関係について説明しておきたい。

 ずは、情報連携について。各のトップ同士で、対外的な同盟締結等に関しては共有を行うものの、それぞれの内情等に関しては密な連携を行うことは非常に稀だ。今回、(くだん)のエイブラムスが航空支援を要請したが、日本管轄エリアに近付くと、正常な判断ができなくなるという情報は内情に該当するため、当然ながら空軍には連携されていなかった。


 続いて出撃許可についてだ。エイブラムスは現時点においては、トップ車輛ではなくなっているものの、アメリカ陸軍の中では上層部にあたる。ある程度位の高い車輛からの要請であれば、手続きによる遅滞を避けるためか出撃許可はあっさりと()りるようになっている。



 無線を終えたエイブラムスは、さらにエル・アラメインの中心部へと進んでいく。

この辺りからは日本の高ランク車輌が配備されているエリアとなっている。エイブラムスが履帯痕を追っていくと、エル・アラメインの中央部にある民家が密集するエリアに差し掛かる。その民家の隙間に逃げるチハの姿を捉えた。


「よし、あそこだな。邪魔くさい家屋は壊してくれるわ。」


エイブラムスは、家屋を壊しながら進み、チハに徐々に追いついていった。


「おいコラ待てや。」

「嫌だね。止まってもチハたんに乱暴するんでしょ。」

「なんか・・・その言い方やめろよ・・・。」

「ホントのことだろ?」


だんだんとじゃれ合いのようになってきた口論を続けながら逃げるチハに異変が起こる。


「ヤバい、もう無理だ・・・。」

「どうした?燃料切れか?」

「クソッ、とりあえずこの辺りで停車するか。」


チハは、切り立った崖の向かいにある、城のような建造物の高台で停車した。


「ここなら結構目立つ場所だし、誰かが助けてくれるはずだ。効果はないと思うが喰らえ!」


チハの予想通り、砲弾はエイブラムスに容易くに弾かれた。


「よし、そろそろトドメを指すか。超至近距離から撃ち込んでやるか。何か最後に言い残したk・・・。」


チハにトドメを刺そうとしたエイブラムスを砲撃が襲う。


「ゔっ! 今度はどこからだ!」


エイブラムスは辺りを見渡す。


「どうやら間に合ったようだな。チヌから連絡を受けてきた。日本の61式戦車だ。」

「俺は74式戦車だ。あれがエイブラムスか、手強そうだな。」


向かいの崖上から61式二輌、74式一輌がエイブラムスを撃ち下ろしていた。


「厄介な奴らが来たな。仕方ない。先にあいつらの相手をするか。もうすぐ航空支援(あいつら)も来るだろうしな。」


高台下の平地に陣地転換する両者。


「さぁ、日本戦車よ。相手してやるよ。お前らは今までの奴らとは違って見えるな。」

「当たり前だ。現役車輌だからな。」


74式戦車はそう豪語したが、61式戦車から「ギリギリな」「俺はもう退役した」と茶化すような横槍が入る。

エイブラムスは74式戦車に目を付けた。


「特に真ん中の74式戦車とやら。お前なら少しは俺と張り合えそうだな。」

「さぁ掛かってk・・・」


エイブラムスの言葉を遮るように、61式と74式が発砲する。


「嘘だろ・・・。ダメージないのか・・・。」

「まだ話してる途中だろうが・・・。武士道精神はどうしたよ・・・。それになぜ日本車輌は複合装甲の場所ばかり狙うのか・・・。俺には理解できないな。」

「いや・・・まぁその何だ?大和魂の強さを証明できればな・・・と。」


そんな会話をしていると、74式戦車に『ダスター』から緊急無線が入る。


「緊急連絡!緊急連絡!こちらダスター! エル・アラメイン領空に国籍不明の機体が三機侵入!推定速度は900km/h以上で、大型の機影が一つと単発戦闘機クラスの機影が二つ!」

「何だと!? 進路は?」

「74式達がいる方角に向かっている!!」

「その速度ならいつここに到着してもおかしくない・・・。迎撃機は上がっているのか?」

「上がってはいるが・・・。対処可能そうな機体は、ここから最も近い航空基地に配備されているのは橘花二機のみだが、その二機ともエンジントラブルで出撃不可能だ。」

「他にも出撃可能な基地はないのか?」

「ない訳ではないが・・・あそこはダメだな・・・。」

「どういう意味だ?」

「いや、何でもない・・・。(離陸時に前転するなんて言えないだろ・・・)」

「そうなると先ほどの橘花の基地から上がってる訳か。橘花がダメなら何を迎撃に上げたんだ?」

「無謀だとは分かっているが、零戦五二型と九六式艦戦がスクランブル発進している。」

「馬鹿野郎じゃねぇか・・・。敵は間違いなく後退翼の戦闘機で編成された爆撃機護衛編成なのに・・・。」

「もっともだが、それ以外に出せる戦闘機がいないんだ。本当に申し訳ない。」


緊急無線とほぼ同時刻に、件の航空基地では出撃準備が進められていた。


「スクランブルなんて久しぶりだよ。」

「どうやら陸軍のやつがトラブったらしいぜ。」

「相手は何だって?」

「機体の特定はできていないが、ジェット機らしい。」

「「「間に合う訳ねぇだろ!」」」

「んなもん百も承知だ!!とりあえず全員エンジンかけろ!」


零戦五二型三機、九六式艦戦三機が連絡を受けてから五分でスクランブル発進を行った。


 日本側の航空隊のスクランブル発進からさらに10分後、エル・アラメインまであと数十キロ程の上空では、エイブラムスからの航空支援要請で出撃した『B-57B』一機、対地兵装の『セイバー』と彼らの護衛にあたる『セイバー』一機ずつの分隊が目標を目指し侵攻していた。


「間もなく迎撃機が来る頃だろう。目標も近い。セイバー頼んだぞ。」

「敵さんが来たな。B-57、武運を祈る。」


セイバー一機が護衛位置を離れ、迎撃に向かうがすぐに異変に気付いた。


「まさか九六式艦戦とは笑 舐められたもんだな笑 しっかり墜としてやらないとな。」


迎撃機に上がった日本機は何とか侵入機の到来には間に合ったものの、彼我の速度差によりみるみる離され迎撃に失敗。反転してきたセイバーとの空戦に突入するも、結果は火を見るよりも明らかだった。


「何!?迎撃に失敗した? 急いで対空戦闘の用意をしなければ・・・ってもうそこまで来てるじゃねぇか!」


緊急無線を入れた『ダスター』が現場に合流しており、照準を合わせるもセイバーは既に投下コースに入っており、空対地ロケットをダスターに向け発射した。


「ダスター!!」

「もうすぐあいつも来る頃か。」

「何が来るんだ?」

「我々アメリカ爆撃機のラストを飾る双発ジェット爆撃機だ。」

「ジェット爆撃機だと!? おい!今すぐ爆撃を中止させろ!」

「無理な話だな。」

「よし、到着したようだな。」


轟音と共にB-57が投下した爆弾は、61式戦車二輌を吹き飛ばした。

74式戦車は怒りに任せ、エイブラムスに発砲した。


「だからどうして複合装甲を狙うんだ?」

「正直未来の車輌の装甲配置など分からんのですわ・・・。」


エイブラムスは74式戦車を撃ち抜き、エンジン部分から炎上してしまう。その後間髪入れず二発目、三発目と撃ち込み74式戦車は撃破された。


74式戦車が撃破されるほぼ同時刻、エル・アラメイン上空で、一筋の黒煙が流れる。今この空域には日本機はいない為、アメリカ機のものと推測されるが、地上ではそんな事など露知らず、エイブラムスはチハを撃破するべく、元いた高台へと戻る。


「さーて、あとはあのチビを片付けるだけだ。両方の履帯を破壊するも良いし、砲身を()いてやるのもいいな。」


どう料理するか胸を弾ませるエイブラムスが、チハの前に到着する。


「邪魔者も消えたことだし、マジノ線での鬱憤(うっぷん)を晴らしてやろう。おい、どういう風に撃破されたい?」

「撃破されたい訳ねェだろ。むしろ撃破してやるわ。」

「まだそんな強気なことを言ってられるのか。やっぱり遊ぶのはやめだ。一撃で(ほうむ)り去ってくれるわ。」


エイブラムスがチハに照準を定めたその時、エイブラムスとは別のガスタービン音がエル・アラメインに響く。その戦車は勢いよく坂を駆け上がり、チハを庇うようにチハとエイブラムスの間へと滑り込む。


「待たせたな。」

「90式!!」

「74式から連絡を受けてな。全速力で駆けつけたぜ。」


この戦車は『90式戦車』。日本のトップ車輌であり、エイブラムスと同じ第三世代MBTである。


「90式とか・・・。マジかよ・・・。」

「どうした?格下相手には強気だったそうじゃないか。同じ第三世代MBTには勝てないのか?」

「べっ、別にssそんなことないですけど?」

「です? 口調が変わってるぞ?」

「そんなことないぞ。この砲撃音に打ち震えるといい!」


エイブラムスは51口径105mmライフル砲を上空に向け威嚇射撃を行った。


「何だその砲は笑 120mmも無いのか。」


90式も上空に向け威嚇射撃を行う。


「ヒ、ヒィ! そういうお前は・・・。」

「ラインメタル製44口径120mm滑腔砲(かっこうほう)だ。」

「マジかよ・・・。」

「まぁ、安心しな。お前にもじきに搭載されるさ。」

「あ、そうなんすか。良かったっす。」


エイブラムスは90式の口車に乗せられ、自身の主砲に対する自信を失っていく。


「そ、そうじゃない!! 今のままでも十分だ!」


そう言い、エイブラムスはまた発砲する。


90式戦車は(さと)すかのように話し始めた。


「お前はここの来るまでに何輌の日本車輌を撃破したか分かるか?」

「考えたこともねぇな。」

「その日本車輌達は皆、領土侵犯に対処するのが目的だった。」

「それがどうした? 先に領土侵犯したのはそこのチビだろ。」

「それは事実だが、チハが理由もなしに領土侵犯するとは考えられない。お前、チハを煽ったりしなかったか。」


90式戦車の核心を突いた推測に、思わずエイブラムスは言葉を詰まらせる。


「図星だな。チハは古い車輌が故に、新型車輌に対するコンプレックスが強いんだ。その上、プライドも高く諦めも悪い。」


90式戦車の話をエイブラムスは黙って聞いていた。


「しかしだ。俺が誕生する半世紀も前。世界のいたるところで新型車輌が開発され配備されていく中、チハは終戦まで後継機に恵まれず戦い続けたんだ。そして幾度となく撃破された。」


90式戦車はチハの生い立ちを説き、こう続けた。


「そんな歴史を経てこの惑星に生まれた我々は、チハに敬意を払いながら生活しているんだ。チハを侮辱するような奴は、日本が全勢力をもって叩き潰す!」


大人しく聞いていたエイブラムスがようやく口を開いた。


「そんな事情知ったこっちゃないね。悪いがお前は無視してチハをやらせてもらう。」

「貴様ぁあああああ!」


90式戦車の説得虚しく、エイブラムスは90式戦車を(かわ)し、チハへと突撃した。

チハは残り少ない燃料を使い、エイブラムスを躱す。位置関係が変わりエイブラムスが高台の先端に位置する状況へと変わる。


「今だ!突き落としてやる!」


90式戦車はこの状況を好機と見て、エイブラムスに突進し高台の下へ突き落そうとエンジンをフルスロットルで吹かす。


「よっと。」


しかし、エイブラムスもこの行動に気付き、後退した。


「あ・・・。」


90式は情けない声を上げ、高台の下へと飛び降りてしまう。


「嘘だろ!90式ぃぃいいいいい! そんな・・・90式が・・・。」


まさかの出来事にチハは絶望する。


「どれ、ちゃんと撃破されてるか確認しようか。」


エイブラムスは車体を乗り出し、高台の下をのぞき込む。

「あ、そうだ。うおおおおおおおお!」


チハが再度残りの燃料を振り絞り全速力でエイブラムスを押し出す。エイブラムスはそのまま真っ逆さまに高台の下へと落ちていった。


 エイブラムスの無力化に成功したチハは、自分の為に犠牲になった車輌に想いを(はせ)る。


「俺の変な気の短さで多くの仲間を失ってしまった。あいつらは俺のことを許してくれるだろうか。」


チハの脳内でチヌやチハ改達の声が聞こえる。


「「「「許さんよ。」」」」


「まぁ、そうですよね・・・。皆さんホントありがとうございました・・・。」


 多大な犠牲を出したものの、チハは脅威から脱することに成功した。しかし、安堵に(ひた)るチハは日本管轄エリア忍び寄る新たな戦い等知る(よし)もないのであった。

 

 ~損害報告~


日本

 陸軍

  九七式中戦車『チハ』 六輌損失

  九七式中戦車改『チハ改』 四輌損失

  三式中戦車『チヌ』 三輌損失

  四式中戦車『チト』 二輌損失

  試製五式砲戦車『ホリ』 一輌損失

  M24自走高射機関砲『ダスター』 一輌損失

  61式戦車 二輌損失

  74式戦車 一輌損失

  90式戦車 不明

 空軍

  九六式艦上戦闘機 三機損失

  零式艦上戦闘機五二型 三機損失


アメリカ

 陸軍

  M1『エイブラムス』 不明

 空軍

  B-57B 一機(墜落原因調査中)

  F-86『セイバー』 一機(墜落原因調査中)

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