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チハ短編シリーズ-小説版-  作者: 唄沫りとる
第三章 モズドク占領作戦
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第五節 モズドク侵攻開始

作戦決行の命令を受けた侵攻部隊は、出撃準備を終え部隊長のパーシングが訓示を行っていた。


「これよりモズドク侵攻作戦を開始する!モズドクの守りは強固と聞く!

しかし怯むことは無い!我が国家をもってすればソビエトの守りなど赤子の手をひねる如く容易いことだ!

我らの勇猛果敢な行動により、惑星の秩序が保たれる!総員、気合を入れてかかれ!」

「「「イエッサー!!」」」


先行部隊、侵攻部隊、占領後の守備隊と続々と基地を後にする姿は圧巻そのものであった。


各部隊の編成は以下の通り。


先行部隊

M3 スチュアート 10両

M26 パーシング 5両


侵攻部隊

M46 パットン 2両

M47 パットン 2両

M48 パットン 2両

M18 ヘルキャット 5両

XM-1(GM) 2両

MBT-70 2両


守備隊

M4A1 (76)W 2両

M4A2 (76)W 2両

M4A3E2(76)W シャーマンジャンボ 2両

作戦終了後各部隊から一部抽出予定


参加車両は約40両にも迫る勢いであり、まさに大部隊であった。


本作戦の実行にあたり、ノヴォロシースク上陸作戦で上陸した敷設隊が

前進基地と併せてモズドク北西部に飛行場を敷設していた。


この飛行場から、制空権の確保を行う戦闘機隊、侵攻部隊を支援する爆撃機隊が離陸する手筈となっていた。


「セイバーさん。ようやく作戦開始のようですね。」

「お、我が軍エースのベアキャット様じゃないか。」

「よしてくださいよ。」

「何、噂は聞いてるぞ?エル・アラメイン制空戦で零戦部隊を圧倒したそうじゃないか。そしてすぐにモズドクへ。エース以外のなんだと言うんだ。」

「結果だけ見れば...ですよ。交戦していたF6F部隊はほぼ壊滅。1機しか救えなかったんだ。これではエースとは程遠いですよ。」

「まったく...いざ戦闘になれば頼もしいが、地に脚を付ければ弱気なのは変わらないな。まぁ、部下や他の機体の前では弱音は吐けんだろうから今ぐらい吐き出せ。ただ、これだけは言っておくぞ。お前は間違いなくエースだ。1機のF6Fの命を救い、敵を殲滅。その後すぐさまモズドクへ招集される。信頼あってこその扱いだよ。」

「セイバーさん...」

「ま、あんま気にすんな。それよりも今回の制空戦も頼んだぞ。」

「もちろんです。いざとなったら体当たりでもして祖国を守ると決めています。そうやすやすと制空権は渡さないですよ。」

「頼もしいもんだよ。だが、命は大事にな。そろそろ離陸だ。よろしく頼んだぞ。」

「死ぬつもりもありませんよ。いっちょ派手に舞ってやりましょう。」


ソビエト側からはMiG-17を中心としてジェット、レシプロ混合の部隊が迎撃に上がってくると予想し、アメリカ側は爆撃機隊含め、以下の通り航空隊を編成していた。


F-86A-5 セイバー 5機

F8F ベアキャット 1機

F6F ヘルキャット 2機

P-51 D-5 3機

B-17E フライングフォートレス 5機


彼らは陸軍の先行部隊と時を同じくして出撃することとなっていた。


一方地上の先行部隊は配置が完了し、作戦が開始されようとしていた。


「こちら部隊長のパーシングだ。各先行部隊のパーシング、聞こえているか。」

「はい、聞こえています。」

「まもなく作戦開始だ。改めて作戦を説明しておく。

事前の偵察情報から守備隊は主にT-34を中心に配備されていて、二両一組となりエリアを満遍なく哨戒を行っているようだ。モズドク中心部にはT-64Bを中心とした主力部隊が配備されている。事前に実施された欺瞞作戦により約三分の一がクルスク方面へ移動を行ったものの、その数は依然として多い。

そして、我々の役割はこのT-34らを侵攻部隊の進路から外れるよう誘導し、釘付けにする。

哨戒網に空いた穴から一気に進行部隊が流れ込み、中心部の主力部隊を航空支援を受けつつ殲滅、占領といった流れだ。」

「つまり、我々の働きがこの侵攻作戦の成功の鍵を握っているという訳ですね。」

「その通りだ。しかし誘導に勘づかれてもいけない。慎重かつ大胆な行動が求められる。」

「腕が鳴りますね。」

「先行部隊行動開始!」


無線終了と同時にスチュアートが稜線を勢いよく越えていった。

そして、すぐにT-34がスチュアートらを発見し主力部隊へと無線で報告を行う。


「こちら北西部を哨戒中のT-34-85!応答求む!」

「こちらT-64Bだ!どうかしたか!?」

「アメリカ車両を発見しました。まもなく両者射程圏内に入るため交戦状態になると思われます!」

「なんだと!?」

「各個迎撃に当たれ、奴らの履帯はモズドクの土を踏むことはできないと教えてやれ。」

「了解!」


まもなくしてパーシングの主砲が火を噴き、T-34の至近距離に着弾する。


「チッ、外したか。」

「なっ、パーシングだと!?」

「ほらどうした。追わなければスチュアートがモズドクに侵入してしまうぞ?」

「くそ!お前はスチュアートを終え!こっちはパーシングの相手をする!」

「おうよ!」


先行部隊の各隊は、哨戒班をさらに分断することで、ソビエト側は気づかぬ内に誘導されていった。

一方上空でも戦況は動き始めていた。


「こちらセイバー。たった今モズドク西方で発砲煙を確認した。敵の航空機も出撃してくる頃合いだろう。」

「こちらベアキャット、了解した。ヘルキャット隊聞いていたか!このまま敵飛行場付近まで進出し、敵の航空戦力を我々に釘付けにするぞ。」

「了解!俺らはエル・アラメインのやつらのような無様はさらさねぇようにな!」

「B-24はそのまま待機しておいてくれ。制空権の奪取問わず、地上部隊が中心部に到達したタイミングで爆撃を行ってもらう。タイミングは直接陸軍のやつらからの指示を待ってくれ。」

「なるほど。俺ら爆撃機隊の命はあんたら次第ってわけだ。よろしく頼んだぜ。」

「もちろんだ。」


一方のソビエト空軍は、セイバーの予想通り出撃準備を行っていた。


「MiG-17だ。Yak隊、La-5隊、IL-2隊聞こえているか。」

「はい、聞こえています。」

「たった今陸軍から、アメリカ軍がモズドクに侵攻を開始したと連絡を受けた。」

「上手く哨戒スケジュールの間を突いてきましたね・・・。」

「だがしかし、制空権だけは渡すわけにはいかない。制空権を確保した上でIL-2が航空支援を行い地上部隊を掩護する。」

「了解しました。」


まもなく出撃というタイミングで、基地のサイレンが鳴り響いた。


「何だ!?」

「MiGさん!基地対空砲がアメリカ機を発見したようです!」

「何だと!?あまりにも早すぎる!」

「敵は後退翼の翼をしていたと・・・」

「となるとあいつか・・・。どおりで早いわけだ。準備が整ったやつから急ぎ離陸しろ!」


ソビエト空軍は、ほぼスクランブルに近い形で

Mig-17 6機

Yak-9T 3機

La-5F 3機

を上空に上げた。


IL-2 5機も出撃予定だったが、制空権の確保が怪しいため、一時的に待機となった。

MiG-17は離陸後若干迂回し、セイバーと同高度で会敵できるよう上昇を開始。

残ったレシプロ機隊はモズドク上空に向けて飛行していた。


「おい、Yak-9。レシプロ機はいると思うか?」

「いるだろうな。そうなれば俺らYakとお前らで対処することになるが苦戦は免れないだろうな。」

「どうしてだ。」

「俺らはどちらかというと低空での戦闘に向いてるだろ。セイバーが既に飛行場近くにいるとなると、

レシプロ機も俺らより早い段階で離陸していたはずだ。」

「つまり高度不利だと・・・。」

「そうだ。向こうがそう簡単に高度を捨てるとも思えないからな。」

「ダイブ&ズームで躱し続けるしかなさそうだな。」

「そうだな。くれぐれも気を抜くんじゃないぞ。」

「んなこと言われなくたって分かってるさ。」


彼らと相対することとなるF8F、F6F隊は高度4,000mまで上昇し、なおも上昇を続けていた。


「F8Fさん・・・ッ!ちょっと待ってください・・・ッ!」

「どうした。死にたくなければ高度を取れ。」

「それは分かってますが、我々とF8Fさんでは上昇性能が格段に違います!」

「それもそうか。ん?」

「どうかしましたか?」

「セイバーさんからの無線だ。敵機が離陸したらしい。」

「遂にですか。」

「あぁ、進路そのまま。モズドクの真上を目指して飛行を続けるぞ。」

「了解!」

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