第1話 クソビッチと神速セクハラ男
初投稿作品です! 温かい目で見てくれると幸いです
身体中が熱い。全身を焼かれるようだ。何も見えない。何も聞こえない。顔も身体も焼かれて爛れてしまっているのか、はたまた身体の一部が無いのかわからないが五感を全く働かせる事ができない。
あぁ………どうしてこんなことに………
『ねぇ………』
誰かが俺を呼んでいる気がするが、そんなはずは無い。耳が聞こえていないのだから気のせいなのだろう。そうして俺は意識を手放した。
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「……ぇ………ねぇ…起きて…………」
誰かが呼んでいる。透き通る様な女の声だ。世界に神がいるとするならばこんな声なのだろうな。
「……ねぇ………早く起きて………もう起きてるんでしょう?」
あぁ………こんなに俺の事を思ってくれるとは……なんて素晴らしい子なんだ………
「ちょっと……起きてるわよねぇ?……ねぇ………」
はぁ〜素晴らしい……どうしてこんなにも俺の事を心配してくれて………神なのかな? 今日から崇めよう……
「ほら、早く起きなさいよ……ねぇ……ちょっと! ……………」
あぁ〜少し怒った声も可愛いらしいなぁ……もう俺一生独りでいいよ……この子について行く……ちょっと薄目で見てみようかな……
………白いな、この部屋……ん? 部屋? 壁が無いように見えなくもないが……まぁいいや……肝心の女神様は……わぉ絵に描いたような和風美人だな。黒くて長いさらさらの髪で、見るからに清楚っぽくて良い……
「ねぇ! どう考えても起きてるでしょ! ちょっと目が開いてるような気がするのだけど! それにさっきから口元が緩み切ってるわよ!」
おっと本格的に怒り始めたぞ………しかしツンデレっぽくていいな……さすが俺の女神だ……清楚系で見るからに落ち着いてそうなのにツンツンしちゃう所とか最高だゾ☆
「っ…………ほんっとに起きない……はぁ……こうなったら……すぅ〜………はぁ〜……」
おっと俺の嫁女神様は全力で怒ってくれるようだぞ………きっとぷりぷりと怒ってくれるに違いな………
ブチっ!
あれ、何かが切れるような音がしたような気が……
「さっさと起きろやこのクソ童貞ガァァァァァァァァァ!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ! 俺の嫁がご乱心なされたぁぁぁぁ!」
「誰がアンタの嫁だよ!? テメェふざけんじゃねぇぞ!」
「何いきなりハッスルしてんだ! さっきまでのお前はどこに行ったんだよ! 清楚系は!? ツンデレは!? 何でいきなりヤンキー臭させてくるんだよ!」
「そっちが悪ぃんだよぉ! 気色わりぃわ! 何が嫁女神だ!?」
何!? バカな……口には出してなかったはず………てか童貞だってバレてるし………!
「心の声なんて全部聞こえてんだよ! 何てったってここは神界で、私は女神だからなぁ!」
「なんやて!? 本物の女神であらせられたぁぁぁ!」
なるほど……! ここは白い空間だけど壁が存在しない、何もなく、終わりもない世界なんだな!?
「いや神界何もなさすぎてクソつまんねぇな」
「何もないわけ無いだろう!」
「ほーん……まぁいいや、てかせっかく冒頭の方でシリアスな雰囲気醸し出してたのにお前のせいでぶち壊しだよ」
俺はさっきから微妙に気になっていたことを伝えた。
「お前こそ本当に何を言ってるんだ……冒頭?」
「ちょっくら別人格が降りてた気がするが、まぁそれはいいとして………俺の心の声が雰囲気壊してたのも原因ではあるがにしても何でそこまで怒らなきゃいけないんだ……ってゆーかどうして今神界にいるんだ? 俺死んだのか?」
「いや生きてるぞ。というか死んでも神界には来れんわ。人は死んだら自動で次の人生が始まって神界になど来ねぇよ」
へーそうなのか。そういえば俺はさっきまでブラックホールに吸い込まれていたんだ……………………ん? 妄言じゃないぞ? 周りの気体と一緒にとてつもないスピードでミキサーされてた摩擦熱でめちゃくちゃ熱かっただけだからな?
「いやツッコミどころはそこじゃないっしょ」
「良いんだよ別に、というか神界に来たらする事と言えばひとつしかないよな」
「そうだな」
俺の一言で女神はニヤリと口角を上げた。
『異世界転生だな』
「いやぁ随分と物分かりが良いじゃないっすか女神さんよぉ〜?」
「そっちも大概だろ? これだから末期の地球人は無駄に想像力が逞しくて困る」
「ははは、マジで実在すんのかよ異世界転生」
ぬふふ…もしや美少女達との極楽ハーレム生活も夢ではないのでは………! フフフ…ここで重要となるのはやっぱり………
「だったらさっさと選ばせて下さいよ……アレを……ほら…チーt」
ピピピピビ……
「あ、ちょっと待って今カレシから電話」
ぇ…………
「えぇっ!? 嘘でしょ!?」
「ん?今更何を驚くことがあるんだ?」
「いやいや、え? カレシ? マジで?」
「……はぁ……ちょっと黙ってろ」
「………」
「あ、レイジ〜? ごめぇ〜ん仕事してたぁ〜☆」
『いやぁぜぇん然大丈夫だしぃ? にしてもマジ可愛いよぉ〜♡ めっちゃ興奮するぅ〜』
キモッ! 何だよこのカップル!? 彼氏声デカすぎだろ! ダダ漏れじゃん!? てか電話ってコイツホントに神か?
「それでさぁ〜………」
『ウンウンそれでぇ〜? ………』
てゆーか「嫁」ってワードに妙に腹立ててると思ったらカレシいたからなのかよ………つーかコイツ猫被りすぎじゃね? カレシ気づいてんのかな? やばすぎ………
はぁ……しんどいわぁ〜……異世界転生って聞いて、もしやこれは最終的に神もヒロインになる系なのでは……!? とか考えてた自分がバカらしい……
「ちょっとキモいモノローグに浸ってるとこ悪いけど続けるぞ〜?」
「………あれ? 電話切り上げるの早いっすね」
「まぁ今は仕事中だからなぁ…サボったらペナルティなんだよ……というかいきなり敬語になったのはあれか? リア充に対する畏怖か? ん?」
「…………へぇ……つか彼氏いたんですか……」
「チッ……無視かよ……まぁなぁ…神だって元を辿れば人だからな」
「え? そうなんすか?」
「お前は疑問に思わなかったようだが、神が人の姿をしていない、と考える奴もいるんだぞ?」
「へぇ……その口ぶりだと俺以外にも神界に来た奴が居るみたいなんですが」
「まぁ私はこのブラックホールの管轄だからなぁ……あ、ブラックホールはあれだ、砂時計みたいなのを想像してほしい。砂時計の片側にお前たちのいる地球のある銀河系、もう一つの方がキミが今から行く異世界だな、ちなみにここ、神界はその二つの中心部分………あ、ちなみに神の原型がヒトって話なんだが、どうやら生物は進化し尽くせば人間に必ず辿り着くらしいな」
「へぇ……じゃあどうしてその後あなた達は神に?」
「私たちは文明を進化させ、最初にヒトにまで進化した星の住人だったんだ。その後星にいる他の生物を利用し尽くしたせいで惑星が限界を迎えたんだ。他の星に移住しようと画策する頃には、その星の住人達もかなり文明が進んでいてな、当然宇宙戦争になった」
「まじかよ、実在したのかよスター○ォーズ……」
「そうやって戦争に勝利し続けた我らはその後全宇宙の末期の星を征服し、今に至る……あ、ちなみに君たちのよく知る「火星」も昔私たちに征服された星の一つだな」
「あーなるほど、だから火星には水と空気が……」
「まぁそんなこんなでもう少ししたら地球も危険な星だと認定されて神々に滅ぼされるから今更地球に転生しようとしたところで無駄だからな?」
「まぁそうですね………てか……あぁぁっっ!」
「ん?どうした? いきなり喚き散らしやがって………狂ったか? ふふ、困ったキチガイだなぁ」
「そうですよ……どうして忘れていたのか……ほら、アレですよ、アレ! チート能力ですよ!」
「あーそんなものあったなー」
「ほらぁ〜さっさと出して下さいよぉ〜?」
「まぁ待て待て、今ちょっと資料持ってくるからさぁ」
「んじゃよろしく〜……あ、出来るだけ早くして下さいね?」
「………あ。………あーごめん。先にトイレに……」
「いやいや後で行けるでしょ?」
「じゃあ先に風呂に………」
「いやいやそれこそ後でいいでしょ!?」
「あ、じゃあ腹減りすぎて死にそうなんで飯を食いに………」
「………」
おいおい………こいつさっきから様子がおかしいぞ? こうなったら………
「おいおい待てねぇなぁ……さっさと出さないとどうなるか分かってんだろぅ?」
「………どうしてそんなに急に調子に乗るんんだ……」
「うっせぇよ! こっちは待ちきれないんだよ! ちゃっちゃとチート能力とかチート武器とかもらって無双して美少女とイチャイチャしたいんだよ! さっきから何なんだよ! さっさと出せやゴルァ!」
「コイツ……童貞にしても拗らせすぎやしないか……?」
「話をそらすなよ! なんでチート授けるの躊躇ってるんだよ!」
「わかったよ……話すから! ………あーまぁお前神界に来た地球人第1号だろう?」
「……だから何だよ」
「いや、まぁもうすぐ危険惑星認定される星の人間をみだりに異世界に飛ばしたらその世界に対して影響を及ぼしかねない問題があるに決まってるだろう……? そうやってお前みたいな奴の処遇はマニュアルに従ってやらなきゃいけないんだよ」
「………いや、そんなこと言っても最初に2人で『異世界転生』ってハモったじゃないですか」
「いや、アレはその場のノリで………」
ポロンっ♪
「あ、やばい、次の予定がもうすぐ……」
くっ……ここまでか………いや、おれは……死ぬ気で美少女とよイチャイチャライフを手に入れに行かなければならない……!
「ふふふ………ねぇねぇ結局俺の処遇どーするんですかねぇ?」
「いや、それは今からマニュアルを見て………」
「えーそんな時間あるんですかぁ?」
「………確かにそうだが……間に合わなかったら一旦保留だ………」
「へぇ……ねぇねぇ………もし俺にチートを与えてくれて、異世界に行かせてくれたらぁ〜…………職務中に電話してたこと黙ってあげてもいいですよ?」
「ぬっ………交換条件というわけか………!」
「交換条件……? えぇ~おれはそんなヌルいことをしようとした覚えは無いですよぉ? ……要求をのんでくれなかったらぁ〜………職務中に風呂や食事に行こうとしてたことも言いますよ?」
「なっ!? いや、アレはその場から逃れようと……」
おお?
「……ほう、職務を全うしなきゃいけない人相手に逃げようとしてたなんて知れたらどんなペナルティが待ってますかねぇ〜……アレですか? 神の資格剥奪とかいっちゃいます?」
「こ、コイツ……! ちょぉっと私が親しくしてやったくらいで……! だがなぁ! そんなもんお前が異世界で問題行動を起こした時の私の責任追及よりも随分軽いわ! ハハハっ! 残念だったな!」
くっ……コイツ思ったより強情だぞ!? ………いや、俺はこんな所で諦める訳にはいかない………いかないんだ! 俺は異世界に行って! 美少女が困っている所を颯爽と聖剣で助けて! 惚れられて! イチャイチャして! ハーレム作って! イチャイチャして! 女の子増やして! イチャイチャして! ラッキースケベなんかもして! イチャイチャして! ラッキーでもなんでもなく普通にエッチして! セックスして! ハーレム作ってセックスして! セックスして! セックスして! セックスして! セックスしまくるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
「いいかぁぁぁ! もし俺の言うことを聞かなかったらなぁ! お前のカレシにテメェのクソみたいな本性バラしてやるからなぁぁ!」
「っっっ!!!?? こ、こいつ、なんて下劣な!? 見損なったぞ! つーか心の声はダダ漏れだと言っただろう!」
「うっせぇよ! さっさとしろや!」
ポロンっ♪
『残り30秒です』
「やっばっ! 次の予定まであと30秒!?」
「ほらみろぉぉぉ! もういいだろぉ! 早くヤらせろよ!」
「お、おい! 異世界に行くことよりヤることしか頭に無いじゃないか!」
「いいからさっさとしろよぉぉ! このクソビッチが! どーせ周りのほとんどのイケメンにぶりっ子して媚び売ってんだろぉ!? あぁん!?」
「クソガキがぁ! だまれぇぇぇぇぇぇ!」
「黙らせてえんだったらさっさとやれや! 今すぐにだ、早く!」
こちとら俺を待ち望んでいる美少女とのピンク色のセックスライフがかかってんだよ!
『残り20秒………』
「ほらぁ! だからしのごの言わずにヤらせろっつってんだろぉ!? あぁん!?」
「わかったよ! でも何も選ぶ時間がないんだぞ! 私の独断になるんだぞ!? それでもいいんだな!?」
「あぁもういいよ! この際どんな武器でも能力でも何でもいいよ!」
「………ふふ、フハハハハっ! 言ったな? 今何でもいいって言ったな?」
「おぉ!? もしやこれは今から俺が逆レイプされる展開か!? おぅおぅやってみろよ! 俺はあと10秒でもバッチ来いだぜぇ!?」
「フフフフフ………おまえにピッタリのチート能力だ………」
「おうそうかそうか………なんだ? 無限に使える魔力か!? それとも最強の剣の才能か!? んん!?」
『残り10秒』
「さぁてなんだろうなぁ!」
「…っ! おいおい渋ってないでさっさと教えろよ………」
「いやぁこんなに時間がないんじゃ『転生』は無理かもなぁ………そのままの姿で行かせることしかできなさそうだぁ!」
『残り5秒』
「おい! 肝心の能力は!?」
「フハハっ! ここまで私を怒らせたんだ!」
『残り3秒』
「素直に教えるわけがないだろう!?」
『 2 』
「クッソっ! コイツっ!」
『 1 』
クソ女神の手が光り、俺の真下に魔法陣、そして俺の体が光りだす。
「まぁせいぜい上手く使え」
『 0 』
そして俺はどこかへ飛んで行ってしまうような浮遊感を覚えながら、ありったけの大声でぶちまけてやった。
「次あったらぜってぇぶっ殺すからな! この、アバズレがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ちなみに不定期投稿ですよ〜