魂送り
初ファンタジーな物。でも、発展はできない。
誰か、これを発展させてもらえたら、ちょっと楽しいかも。
もし、するようであれば、お知らせください。
個人的に楽しみます。
唇を噛み締める。
白さを越して、消えていく吐息。
祈っていた。
ただ、祈っていた。
大きく見える月の明かりが、微かに周りに温かさを与えてくれる。
時折吹く風には、多くの匂いが含まれていた。
土、水、草...
それが、一層彼の心を沈めていく。
ー!
空気に一瞬の変化を感じた。
息をすることも忘れるぐらい...
いつの間にか、視線を足元へと運んでいた。
見上げる瞬間に込める思いは、仕方がない。
ー開いてる
今回の役目は特別だ。
足元に広がる崖の下。
彼らの眠った場所から、淡い粒子が少しずつ浮かんでくる。
ーあぁ、無事に昇ることが出来るのか...
安堵の気持ちが、堪えてたものを流していく。
ずっと、流せなかった。
やっと、流すことができた。
いつかは、訪れるだろうと思っていた。
それも、この役を選んだ者の宿命だと...
大きく息を吸い込み、役目を果たすため、瞳を閉じる。
両手を大きく広げ、熱を集める。
小さな粒が、輪を追うように広がっていくのを感じる。
足元から感じる気配が、量を増す。
『行っておいで。そして、また新しい命で帰っておいで』
古から伝わるこの世とあの世を繋ぐ言葉。
ーー!
熱さの増した一瞬で、手元から離れていくのを感じた。
音もなく、風もなく。
この静さの中、渡った彼らは、何を想うのだろう。
瞳を開けて彼らの方を見る。
もう、何もない空は、月の光が広がっている。
「戻っておいで」
そして、彼らがまたこの世に降り立つまで、待ち続ける。
これが、俺の仕事だから。
俺の仕事は、選ばれた者だけが任される魂送り
頭の中で想像はできても、人様に晒すことのできるまでのスキルが、香野にはたりないです。




