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剣士ユーサクのダンジョン戦記  作者: 椎木唯
1章 王女様じゃねぇか編
15/24

ツキヤノッ! 相手の弱点はーーだッ!

「試練を与えるゥゥゥゥウゥゥッゥゥッ! 制限時間は無制限、挑戦者は一人。達成したものには私の力を与えるぞ」


 バッファロー的な鬼の中から這い出てきたソレはまだ小学生と思われる少女だった。いや、小学生は鬼から生まれないし、そもそもアルビノみたく目は赤くなっていない。赤髪赤目って充血して、尚且つ血を被った少女って……まぁ、普通じゃねぇよな。

「それ以前に額に生えている立派な二本の角に触れて上げろよ……」

「いや、鬼から生まれたら鬼じゃん? 鬼って角あるじゃん? そして上位種が姿を変えた場合これから半生を共にするズッ友になるんじゃん? ってことでコイツはツキヤノの相手な」

「コイツって言うな! お、お前人には名前があるんだぞ! 失礼な!」

「おー、まぁ良いけどさ……上位種のその上って感じだろその子って」

「子供扱いするんじゃない! 私はれっきとした大人だぞ! それと直ぐに無視するんじゃない! 失礼だぞ!」

 腕をブンブン振り回しながら訴えるその姿は可愛いのだが振り回した際に壁が激しく揺れるのはなんですかね……しかも風圧がすごいんですけど。

 取り敢えず俺は論外。パートナーは一人一つだからね! 貪欲に二つとか契約しようとすると中身から破壊されちゃうからね! と言うか一人だけでも結構強力な件。

 つか、そもそもの問題ダンジョンに契約できるお友達が一体はいる、って事だけが分かっていることでそのお友達が生物なのかも分かっていないこの世の中。まぁ、都心部に行けば行くほどお友達を連れているサラリーマンがいるんだけどな。王族によって都心部にはダンジョンが生成されないようにしているらしいけどその場合お友達はどこから連れられてきたんでしょうかね……行ったとこないからわかんねぇんだけどな。そんな未知の生命体なのだが契約には命の危険が伴う。さっきドヤ顔で叫んで軽く無視されている少女だって腕を振り回すだけでも木々くらいは軽く薙ぎ倒せそうだし、総じて結構な難易度になっている。そこら辺は政府が関与しますって訳なのだがたまに今みたいに何の前触れも……前触れはあったが唐突に始まることがある。この場合は特例で契約した場合は区役所に行って申請するのだがなんといっても難易度が高い。何度でも言おう難易度が高すぎるのだ。






 ユーサクが契約しているのは知っていたし、その契約した効果っての? 技は見たことないが格好いいなーとか私も欲しいなーとは思ってはいたけど……

「ど、どうしたのだ!? おまえが私の相手をするんだよな!?」


 こんなに急だとは思ってなかったなぁ……。

 流石にそのまんま放置って訳にもいかず、腰に下げた剣を抜きながら答える。

「おう、そうだぜ。もう一度確認するけど一対一って事だよな?」


「そ、そうなのだ! それと勝利条件は……えっと、わ、私が認めたらけいやく? と、やらをやっても良いぞ!」


 終始、疑問だったのだが油断することはできない。見た目は子供頭脳も子供。だが、力は化け物並みなのだ。しかも今はユーサクのバックアップもない。そもそもの問題忍者としてやってるこの身なのに一対一は不利でしかないんだよな……それにどうせ剣一本じゃ足りないと思うし……ダンジョンボックスの中に幾つ入ってたっけな……?

 と、ツキヤノも疑問でしかなかったがそんなことは表には出さずに刃を腕で隠し、間合いを悟らせないように少しずつ前に進んでいく。後二、三メートルの所で少女に変化が現れた。全身が赤く発光していたのだ。いや、もっと正確に言うと全身の血管が浮き出ているかのように変化していたのだ。

 生まれたての状態だったためかすっぽんぽんであったのだが謎の白い煙が大事な部分を隠していたのだが全身の皮膚が網目状に赤く、発光した瞬間に煙は取り払われ、生まれたての姿を晒し……てはいなかった。謎の煙ではなく、虚空から服が召喚され少女を覆ったのだ。その色は赤、青、黄色などの明るく目立つ色だった。

 少女が吠え、ツキヤノは駆ける。ツキヤノの唯一ユーサクと同じジャンルで誇れるのは“避けながら攻撃する”謎の技術だ。それだけはユーサクには負けたことがないし、劣ったこともなかった。その技術は忍者的な職業に就いた今でも役に立っている。圧倒はできなくても良い。せめて時間を稼いで隙を見つければ……






 ……そう思っていたツキヤノだったが決着は直ぐに決まった。

 吠えて走った少女だったのだが地面に落ちた石に躓き、ゴロゴロと激しく転がりながら壁に激突。その後壁が崩落して終わった。

 最後に立っているのは呆気としたツキヤノと半ば涙目になりながら命からがら崩落から逃げ延びたユーサクだけだった。


 数分静まり返ったのだが崩落した壁の残骸から砂鉾まみれになった少女ーー名前はなく、ツキヤノに付けて欲しいと言い「崩落から生き残ったから……ホウラク……ホウ……ラク……ウラちゃんで良いか」と、数秒の審議の末に名付けられたウラちゃんはその後なんやかんやの色々があって使うにも使えなかったツキヤノが持っていた小刀を根城にするといって入っていった。何の面白げもない極々普通の小刀が全体がほんのり赤く、刀身は見る角度によって深紅に染まるといった魔剣に早変わりしていた。

 因みに変える方法は知らないから自力で帰ってくれ、と小刀に入る間際で言われたツキヤノは思いっきり壁に向けてぶん投げたのだがユーサクに真顔で「……えっと、その剣に呪われたりとかしてないよな?」と、言われたのだった。

 その後めちゃくちゃ頑張って壁をよじ登ったとさ。

 ちなみにツキヤノが持っていた小刀はユーサクの剣と同じダンジョン産です。ダンジョンから剣を入手する方法は……うん。まぁ、宝箱からなんじゃないですかね?

 契約方法は認めるのが大前提でその後に戦った武器がダンジョンから出た武器ってことです。スッゴい無理矢理ですけどね。

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