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剣士ユーサクのダンジョン戦記  作者: 椎木唯
1章 王女様じゃねぇか編
1/24

始まりはダンジョン横の自宅で

はい、無事間に合わせました。新作です!

出来れば文字数も増やしていきたいんですけど……更新は不安定になるかもです

 にゃんにゃん食堂とは地球を覆うほどの尋常じゃない地殻変動が起き、全ての島国、大陸が一つになった。その融合のエネルギーで発生した成分は窒素、酸素、二酸化炭素、その他に並ぶ新たな空気中を占める成分になった。それは


“ファイブ”


 これをドヤ顔で全国中継中に言い放った総理大臣には敬意を称したい。

 そんなファイブが新たに加わった地球――いや、新惑星ガイアには冒険者と呼ばれる新たな職業も増えた。


 一つ目は剣士。

 極々一般的な棒を持って戦う~から伝説の聖剣、魔剣まで幅広く使う万能種。なんか槍使いとか出てきてるけどそれは甘えだと思うの。男は黙って近距離戦でしょ?

 剣士が決まって言うのは「斬れなかったのは俺の技量のせいじゃねぇ! この剣が鈍っていただけだよっ!」

 ハッキリ言ってこれでパーティーが全滅とかしたら袋叩きにされてゴミ捨て場にゴーシュッだな。


 二つ目は盾役

 ……特に言うこともないが基本的に盾持ってる筋肉メンはドがつくほどのMだと思っておいた方がいい。だって「俺に攻撃をぉ……攻撃をぉ……強くて激しくて芯まで震える強烈な一発をぉ……カモンッ!」とか結構な割合で言ってるんだぜ? それさえなかったら優しい奴が一杯いるんだけどな。


 三つ目は神官

 こんな宗教に執着も興味も無く、踏み絵を踏むどころか蹴飛ばし唾をかけるぐらいの無宗教国家なジャパンなのだが世界を見渡すと結構な信者がいるのだが……今の場合はちょっと違う。神に祈る、祈る部分は同じなのだが相手が違う。神から世界に変わっただけだ。特徴的には縦長コック帽子を被ってもわもわでごわごわな服を着ている。夏場は汗をかきまくってるのが特徴だ。決まり文句は「こ、これは貴方の為じゃなくこのガイアに住む人を助けただけにすぎないんだからねっ! か、勘違いしないでよね!」っと、ツンデレ気質な人が多い印象だ。


 四つ目は僧侶

 ここまで見ると完全にドラ〇エなのだがこの僧侶は回復は使わない。攻撃を受ける前に正義の鉄拳と言う名の暴力を相手に与えるのだ。特徴的には丸坊主が多い。そして盾役以上に膨れ上がった肉体。何人殴ってきたんだよ……と、言いたくなるが言った場合は結構な確率で助走をつけての右頬に右ストレート、その後に左の頬にビンタがおまけでついてくる。要らないとこを吸収した結果が暴徒だよ。まぁ、決まり文句は「神は死んだ。いや、殺したが正解か? 俺の進む道に神も仏も要らなかったんだよ……あるのは唯一の武器、この拳だけだったんだよ。どうだ? 正義の鉄拳に沈んでみるか?」軽くジャイアニズム入ってるが基本はいい人なのだ。


 と、RPG的なノリだがこんな職業があるのには理由がある。それは世界に出現した虚空――ダンジョンの存在だ。そこが異形の巣窟ってのはすぐに全世界中に伝わったのだが……いかんせん人間は貪欲な存在だ。ダンジョンから取れる希少な資源を確保するのに治安とかそこら辺の言い訳を重ねて四つの職業をつくった。

 元々、ファイブが新たに加わった影響で人類の肉体がそれに適応し、戦える肉体へと変貌したのだが……自分から死にいくような真似をする奴は……ああ、多々いるがそれでも全人類と重ね合わせるとミジンコみたいな人数だ。……まぁ、待遇としては戦える公務員的な感じだ。


 ……ん? ああ、話が逸れたな。

 まぁ、言いたいことはにゃんにゃん食堂は地殻変動後に作られた飲食店ってことだ。変動前の飲食店は軒並み破壊され、外食は無理だろうなぁ~? な、時期に建てられたって事もあり、安定した生活を送れるようになった今でも恩義とかで来ている人が多い。味は……良い意味だと家庭的だな。値段がちょっと高めなのが痛いんだけどね。




 そんなにゃんにゃん食堂なのだが別に猫はいないし、猫耳着けた店員さんもいない。だが、代わりにむさい男は結構いる。辛うじて華やかさがある席がひとつあるのだが……


「ん、そう言えば王女様家出したらしいな。結構騒ぎになってるぜ?」

「王女が家出って……出家でもすんのか? てか、そんな王家ももう終わりってことなのか……」


 腰に剣を携え、髪を両サイド剃っている男は手に持ったコーヒーを飲みながら答える。

 ダンジョンが出現してから数年、場所を指定し、出現させられる能力を持ったものが現れた。それが今の王家なのだ。

 家出をする辺り警備もガバガバ何だろうなぁ忍び込んで盗んでやろうかな? 不憫な事を考える正面には拳一つ分小さい人物が手に持ったフォークをケーキにぶっさし、そのままかじりつく。男――ユーサクの身長は百七十ちょい。それの拳一つ分小さいとなれば百六十後半なのだが……着ているものが怪しすぎる。

 全身タイツの様だが所々に装飾された金属部分、上からコートを羽織っている辺り変態っぽい。顔には目元以外覆っていてどうやってケーキを食べているのか検討もつかない。そんな人物――ツキヤノは世間一般的に忍者と呼ばれるものをやっているのだが……実用性を求めすぎて変態になるってどゆことだよ。不完全変態ならまだしも完全変態、真の変態になったら救いようがないと言うもの。しかもそれを恥じらいもなく着ている辺り……うん。まぁ、辛うじて下ろしている髪が黒くてよかったね、と言っておこう。うん。


「出家……あながち間違ってないんじゃねぇか? 知らんけど」

「ほーん。んで、要件はそれだけか? なら俺は稼ぎに行きたいんだが……って、あれ?」


 頬に感じる風に疑問を覚え、正面を見るとツキヤノの姿がなくなっていた。


(……逃げたな)


 奢らせるつもりだったのかテーブルの上には綺麗になくなっていたケーキの皿と「ゴチになります」と、書かれた紙が置いてあった。手書きじゃない辺りハッキリしてんなぁと、思いながら料金を払う。だからあんなに席座ったときに頼もうとしてたんだな。本能で制止しといて良かったけど……


「次会ったら吊し上げるか」


 心の中でそう決め、自宅へと戻っていった。





 地殻変動後、ダンジョンが出来、そこから出てくる資源は人の世を温めた。コンクリートより固く、日本家屋より通気性が良い、詰めに詰めて溢れだした高性能石材で作られた家が殆んどを占めていた。

 そして一つの大陸になった今、隣の島で核兵器が! って問題はほぼなくなった。隣の島国から隣人に変わった時点で影響が自国に及ぶもんね! 人類皆兄弟!

 勿論、普通に外資系企業や不動産業、スーパーの店員など以前あった仕事もあるが問題はそこじゃない。新たな仕事、冒険者が増えたのだ。役所に申請し、契約書に記入する。その後に開放されているダンジョンに潜るのだが……残念、世界の人口は億を突破し兆に乗ろうとしている。そんな人口が限られた開放されたダンジョンに詰め掛けたら? スーパーの安売り以上に詰めかけ、ぎゅうぎゅうになり、大賑わい。役所も大変だぁ!

 んな訳で政府が一つの提案を持ち掛けた「ダンジョン買ってくんね? ほら、沢山あるしさ」言う通り、ダンジョンは腐るほどある。だが、殆んどは管理が行きとどおってなく封鎖中なのだ。それに年間の使用料等こみこみで売り出したのだ。それがもぅ~売れに売れ、テレビ冷蔵庫エアコンの持っていて当然の常識を覆し、ダンジョン武器防具の新常識が身に付いたのだった!


 んな訳で車並みに普及しているダンジョンは勿論、ユーセイも持っていた。現在二十歳なのだが二年前にバイト(冒険)とかアルバイト(ダンジョン攻略)とかで稼いだ金でローンを組んだのだ。まぁ、正確には“買った”より“借りた”が言い方的には正しいんだけどね。日本から人類政府に変わった一つの国に金を払って生計を立てる。国にとっては勝手に金が増えてラッキーだし、こっちは欲を出さなければ安定した金が手に入る。無限リスポーンな時点でゲームっぽさが垣間見れるけどね。そのせいで毎日毎日ニュースで取り上げられるし、その関係で買うのに制約とか制限とか色々付いた感じだけど


「それが始まる以前に買った俺には関係のない話だよな。っと、これで大丈夫……だよな?」


 新築二階建てにユーセイは住んでいる。ダンジョンは金になるんだよ。

 そんな中で最終確認と言ってリュックに詰めてあるものをひっくり返し、再確認する。一つの油断が身を滅ぼすんだぜ?


「えっと、薬草だろ? スポーツドリンクだろ? んで……ああ、地図もちゃん入ってるな。まぁ、武器は――」


 そう言って腰に吊るした鞘ごと手に持ち、引き抜く。ダンジョン内以外で刀身を見せるとその時点で縄にかかかっちゃうのだが大丈夫、マイホームは安心安全の防音性能搭載だから。声は聞こえない筈。

 抜いた刀身は照明の光で不気味に光、ユーセイの顔を照らす。よくある序盤の鉄武器! 等ではなく、儀式用かと思うほど自己主張が激しい柄や絵の部分は黄金に輝き、刀身は少女の腕かと思わせるような儚さを醸し出していた。初めて見たものなら「そんな武器で行ったらすぐポッキーンだぜ! ハッ、これだから初心者は……」とか言って説教食らいそうだがこの武器はダンジョン産だ。ダンジョンから生まれ、ダンジョンで育ち、ユーセイによって発掘されたその武器は本来、政府が回収すべき物なのだがそんな「言ってしまえば俺の国だし、そこから出たものは俺の物だよね?」と、軽くジャイアニズムに乗っ取られているが反対運動とかされて襲われちゃいかんっ! てな訳で申請すれば一つのみ個人のものに出来る。まぁ、世界に一つだけの俺個人の為だけに生まれたと考えれば中二心が疼くので嫌いではないが……

 このままだと折角早起きしたのに昼に突入しそうだ、と思い急いで剣を鞘に戻し、なんとか諸々入っているリュックを担ぎながら家を出る。最中で胸当てなど最低限、行動の妨げにならない防具を身に付け、家のすぐ隣の壁に埋め込んであるタイプのダンジョンに向かった。最近では路上荒らしならぬダンジョン荒らしが増えてきてるから戸締まりも大事なんだぜ?


 別に盗んでも良いのだがたまにニュースで「侵入した人物がダンジョン内で死亡~」みたいなのが増えているから死体だけは置いてかないで欲しい。うん。切実な想いだね。

 

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