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スペルカード

「そういえば龍二の能力って何なの?」



翌日の昼下がり、早苗は龍二に聞いた。



「確か【弾幕を放つ程度】の能力って言ってたな…霊夢は危険な能力って言ってたけど弾幕ってなんだ?」


「んー…まあ私達のお遊びのひとつかな。なんならやってみる?」



早苗は聞いた。

龍二は少し考える。



「そうだな…まあ良いけどまずはやり方を教えてくれ。」


「わかってるよ。とりあえず外に出よう。」



二人は外に出た。



「じゃあまず弾幕の撃ち方ね。まず自分の撃ちたい弾を頭のなかで想像するの。」


「撃ちたい弾か……」



龍二は頭の中で青いハンドガンの弾を想像した。



「次にその弾を前に撃とうって思うの。」



龍二は撃つと思った。するとホントに弾幕は龍二の前から放たれた。



「おお。」


「もう出来るなんて流石だね!それが集まると弾幕になるの。弾幕は他にもビーム型や追尾型とかもあるから試してみるといいよ。」


「成る程な……」


「次はスペルカード。簡単に言うと得意技を封印したカードだよ。これは私のスペルカード。」



早苗はそう言い龍二に自分のスペルカードを一枚見せた。



「えっと……【奇跡:ミラクルフルーツ】…?」


「それは四方八方に放たれる弾幕が私の周り八方向から出てくるっていう弾幕です。」


「へぇ。」


「龍二も作ってみる?」


「そうだな…でも、スペルカードってどうやって作るんだ?」


「ええっと…確か……」


「残念だけど家にスペルカードの素はないわ。」



龍二が聞くと早苗は考える。すると神奈子が歩いてきて代わりに話した。



「スペルカードの素?」


「そのままの意味だよ。スペルカードはまずスペルカードの素という真っ白な紙から出来る。スペルカードの素は博麗の巫女が持ってるわ。」


「博麗神社か…ちょっと行ってくるかな。」



龍二はそう言い宙に浮かぶ。早苗は心配そうに龍二に聞く。



「一人で大丈夫?」


「おいおい…俺のこと知ってるんだろ?」


「うーんでも…」


「なんなら私がついて行こうか?」



神奈子はそう言うが龍二は断った。



「大丈夫、大丈夫!すぐに戻って来るから。」


「わかった。気をつけてね。」


「妖怪にあったらとりあえず逃げるんだぞ。」


「ああ。行ってくる。」



龍二はそう言い、二人に見送られながら博麗神社へ向かった。



「今日も静かね…」



博麗神社で霊夢はいつも通りお茶を飲んでいる。



「ん?あの人影は…魔理沙かしら?でも箒らしき影はないし……」



よく目をこらして見ていると向こうから声がする。



「おーい霊夢ー。」


「あら、龍二じゃない。」



人影の正体は龍二だった。



「今日は何のようかしら?あ、素敵な賽銭箱はそこにあるわよ。」



霊夢は笑顔で言う。



(これは入れるべきなのか?)


「さぁ!早く!!」


「仕方ないな…」



龍二は財布の中から5円玉を取り出し、賽銭箱の中へ入れた。



「ちぇ…5円か…」


(いや、普通これぐらいだろ!!)



龍二は心の中でそう思ったが思っただけだった。



「まあ良いわ…で何の用かしら?」


「スペルカードの素が欲しい。3枚程くれないか?」


「あと295円入れなさい。」


「金とるのかよ…」


「一枚100円よ。外のお金でも構わないわよ。」



霊夢はそう言うが、龍二の財布の中にそんな細かいお金はない。今1番小さくても500円玉があるくらいだ。



「どうしてもか?」


「どうしてもよ。最近タダであげすぎたわ。」


「ハァ…まあこれからも使うし良いかな…」



龍二は賽銭箱に500円玉を入れた。霊夢はパッと笑顔に変わる。



「ちょっと待ってて!とりに行くから!あ、そこにあるお煎餅ひとつぐらいなら食べて良いわよ。」


「あ、ああ……」



変わりすぎた対応に龍二はちょっと戸惑い気味だが答えた。



「おまたせ。これがスペルカードの素よ。」



霊夢が渡したのはホントに真っ白な紙。トレーディングカードの素材と似たものだ。



「これがスペルカードの素か。」


「ええ。そもそも貴方弾幕は撃てるの?」


「ああ。一応な。霊夢はどんなスペルカードなんだ?」


「私?私は主にこれをよく使うわね…」



霊夢は懐からスペルカードを取り出す。ちなみに手は脇から入れた。



「そんなとこから手を入れるのか…?」


「いつもそうよ。ほら、これが私の代表的なスペルカード!」



霊夢はそう言いスペルカードを龍二に渡した。龍二は早速渡されたスペルカードを見る。



「えっと…【霊符:夢想封印】か…。」


「それが私のスペルカード。夢想封印の亜種も作ったわ。」


「亜種?」


「そう。霊符:夢想封印までは同じだけど、【集】とか【散】っていう漢字が入ってるのよ。それによって内容も違うわ。」


「改とか零式とかそんなかんじか?」


「まあ…多分……」



霊夢はそう答えた。



「で、作るスペルカードは決まっているかしら?」


「一応な。昔から俺が使ってる技がある。」


「名前は?」


「無双羽織…刀を何度も振ってそこから鎌鼬の形をした紺色の弾が出てくる技だ。妖力を使った」


「へぇ…でもそのままだと弱いんじゃない?」


「わかってる。だから考えるんだよ。」



龍二は青龍剣を持つ。



「―っと、大剣って重いな…」


「昔は大剣じゃなかったの?」


「昔は陰陽刀っていう刀で、結構強力な妖刀だったらしいから妖怪相手の時には効果的だったよ。」


「陰陽刀ならあるけど?確か押し入れに……」


「あるのか?」


「多分……」



そう言い霊夢は押し入れへ行った。

少し時間が経つと霊夢は黒い鞘に入れられた陰陽の印がある刀を持ってくる。



「あったわよ。」


「む…俺の陰陽刀と少し違うな……まあもしかしたら、そっちの陰陽刀がそういう物なのかもな。」


「どういうこと?」



霊夢は首を傾げ、全くわからないという表情をする。



「つまり、外の世界の陰陽刀と幻想郷の陰陽刀は違うもので似ている物ということ。形は似てるけど色が違うからな。」


「ふーん…で、使うの?」


「いや、使わない。こいつに慣れた方が良さそうだからな。」



龍二は青龍剣を見て言うと霊夢はため息をつく。



「なら持って来た意味ないじゃない…」


「霊夢が使えば良いじゃないか。」


「遠慮しとくわ。めんどくさそうだし。」



霊夢は再び押し入れに行く。その間にも龍二はスペルカードを考えていた。



(無双羽織は規則性のない技…ならあえて規則性のある技にしてみるか?)


「どう?案は決まった?」


「一応な。【弾符:夢想羽織】夢想は夢に想像の想な。」


「さっきの無双羽織は?」


「戦国無双の無双。」


「わからないわ。」


「霊夢ー!」



と、突然声がする。上を見上げると箒に乗った少女………霧雨魔理沙が浮いていた。



「遊びに来たのかしら?」


「暇つぶしに来たんだぜ。龍二もいたのか。」


「ああ。スペルカードを考えていたところだ。」


「スペルカード?」



魔理沙が聞くと、龍二は頷く。



「幻想郷の闘いにはスペルカードが必要なんだろ?」


「闘いじゃなくて遊びな。まあ確かにスペルカードは必要不可欠だな。なんなら私が教えてあげようか?」


「あんたどうせ『弾幕はパワーだぜ!』とか言うんでしょ?」



霊夢は魔理沙にそう言う。すると魔理沙はやれやれと言った。



「私が何回も同じことを続けて言うと思うか?今回は真面目に教えてやるぜ。」


「それなら、頼むよ。」



龍二はそう言う。



「そうだな……まず、弾幕に必然なものって何かわかるか?」


「やっぱり魔理沙(「まあ落ち着け霊夢。」



霊夢が何か言おうとしたが魔理沙はその内容は既にわかっていた。だから途中で止めた。

そして話を続ける。



「弾幕で必要なのは美しさだ。そもそも、スペルカードとは殺し合いを遊びに変えるルールで、要は適度に手加減しあって技を見せ合う物だ。遊びである故に個人の能力、記憶、考え方が色濃く反映される。私はいろいろなスペルカードを見てきたが、どんなものでも楽しめるようになった時、スペルカードの本当の魅力が見えてくるのかもしれない…私はそう思うんだ。」



魔理沙がそう言うと、龍二は納得し、霊夢は感心した。



「あんたがそんなこと考えているなんてね……意外だわ。」


「まあ今のは私の考えのひとつだ。つまり見せる為のスペルカードも作っておけってことさ。」


「見せる為のスペルカードか…わかった。」



こうして出来たスペルカードは三枚。

作ったときにはもう日が沈み始めていた。



「もうこんな時間だな…」



龍二はそう呟き、



「弾幕勝負はまた今度だな。」



魔理沙はそう言った。



「そうだな。また今度よろしく頼むよ。」


「いつでも来なさいな。まあ一回勝負ごとに100円だけど。」


(高けぇよ!!)



龍二は思ったが言わなかった。



「じゃあな。」


「ああ。またな!」



魔理沙と霊夢に見送られながら龍二は守矢神社へ帰った。



「………龍二はもしかしたら妖怪かもしれない。」



龍二の姿が見えなくなってしばらくすると霊夢はつぶやいた。



「どういうことだ?」


「あんたが来る前にちょっと龍二に弾が撃てるかやってもらったの。初めてやったにしてはあんな正確な弾つくれないわ……それに…」


「それに?」



魔理沙は続きが気になった。しかし霊夢は首を横に振り答えなかった。



「やっぱり良いわ。私の思い違いかもしれないし。」


「なんだよ。はっきりしろよな……」


「いいからあんたも早く帰りなさい。」


「はいはい。また明日な、霊夢。」



そう言い魔理沙も自分の家へ帰っていった。



(それにあの妖気…常に彼から出ていた妖気が、弾にもあった。もし妖怪ではなくても、彼に妖怪の血があるのは確か……………思い違いかしら?)「ま、私には関係ないかもしれないけどね。」



霊夢はそう言い、神社の中へ入っていった。

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