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異能をもつ少年

【第一章:異能をもつ少年】


「ついた!ここが東京ビックサイトだ!」


 彼の友人がそう叫ぶ。


「広いところだな…」


 彼は冷静な感想を言う。


「さあ、行くぞ!俺達はこっちだ!」

「は?向こうじゃないの?」

「いいから!」


 そして二人は行った。


「なんだ、なかなか似合ってるじゃないか。」

 

 彼の友人の目的はどうやらコスプレの服に着替えることだったらしい。


「なんで俺がこんなことしなきゃ行けないんだ…?」


 彼はため息をついた。


「良いじゃないか。誕生日なんだろ?」


「むしろこんな格好はしたくないな…」



コスプレ広場に来た二人はそう言う。すると後ろから声をかけられた。



「写真撮ってくださ~い。」



振り向くと女性が二人いた。そしてその一人は彼の幼なじみである靈奈だった。



「靈奈!?」


「なんでいるの!?」


「何故って…こいつに無理矢理感覚で……」


「私と似たようなものね。」



靈奈はため息をつく。

そのあとは四人で行動をした。

他のレイヤーの人と写真を撮ったり、レイヤーじゃない人からも写真を撮られたりもされた。



「!?」



突然、気配を感じる。



「どうかしたの?」


「久しぶりの感覚だ……」



彼は険しい顔になって言う。そして直感でそいつがいる方向へ向かって走った。

彼は中学生の頃から妖怪の気配を感じとることが出来るようになっていた。

理由はよくわからないが自分自身妖力を使うことも出来、その力のせいか、いろいろなことに巻き込まれていた。



「いたぜ…相変わらず嫌な予感だけは当たるな。」



彼はそう呟く。目の前には妖怪がいた。

彼は持っていた大剣(といっても偽物だが)を構え、そして妖怪の方へ走って行った。



「うおおおお!!」


「!?」



寸前で妖怪は避ける。そして彼を見つめた。


「お前も妖怪か?妖力を感じる……」



妖怪はそう聞いた。



「悪いな…俺にもよくわからないんだよ!!」



彼はそう言い大剣をふる。妖怪は全て寸前のところで避け続けた。



「悪いな…かすりは慣れてるんだ。お前に勝ち目はない。」


「なら…これでどうだ!!」



彼は一度後ろに下がり、大剣に妖力をためる。そして大剣を妖怪の方向に振った。

すると、大剣から鎌鼬の形をした光が放たれた。



「なに!?」



思わぬ事に妖怪はなにも出来ずそのまま当たった。



「大丈夫!?」


「遅いぞ靈奈!今だ!!」


「うん!」



靈奈は懐からお札を取り出す。



「幻想転送!!」



靈奈は叫び、お札を妖怪に投げる。お札は妖怪の周りを囲み、光を放った。



「くそ…まだだ、まだだぁ!」


「!?」



妖怪は光の弾を彼に向かって放つ。光の弾は彼に命中しそのまま彼をくっつけて妖怪の元へ戻った。



「ぐっ…離れない!?」


「ハッ!あの世界に戻るなら…お前も道連れだあ!!」



お札から光が放たれ、妖怪と彼を包む。

光が消えると、二人の姿はなかった。


「んっ………?」



目が覚め、起き上がるとそこは和室だった。

東京ビックサイトにこんな場所はない。彼は首を傾げた。



「おや、目が覚めたかい。」



突然、後ろから女の声がした。振り向くと赤い服を来た、濃いめの青い髪の女性がそこに座っていた。



「ここは?」


「ここは守矢神社…って言ってもわからなさそうな顔ね。あんた、幻想郷はわかるかい?」


「幻想郷?」


「初めて聞いたって顔だね…教えてあげるよ。」






   【少女説明中…】





「外の世界と離れた場所…様々な種族が住む場所か……」


「まあ簡単に言うとそういうことだよ。あんた、鳥居の前で倒れていたみたいだ。」



おかしな話だと、彼はそう思った。



「俺は東京ビックサイトというところにいたはずだぞ?」


「ふむ……あんたのこれまでの経路を教えてくれないかい?」


「ああ。」






   【青年説明中…】





「なるほどね…まあ有り得なくはないね……」


「そうか…それで、元の世界に戻る方法は?」



彼は聞いた。


「そう焦らなくても、ちゃんとある。まずは博麗神社に行くのが良いわ。」



女性はそう答える。

その時だ。



「神奈子様ー?どうかしましたか?」



今度はもう少し若い、女性の声がした。



「ああ。あんたが拾った男が起きたわよ。」



女性はそう答えた。どうやら拾ったのはその女性らしい。



「良かった!ずっと心配だったんです!」



襖から出て来たのは緑色の髪の女性だった。



「この子は早苗。私達の神社の巫女なのよ。」


「はじめまして!東風谷早苗です!えっと…」



早苗は戸惑う。

そこで彼は名前を言ってないことに気づいた。



「藤崎龍二だ。」


「よろしくね龍二君!」


「君はつけなくて良いよ。慣れてないからな。」


「そっか。わかった!」


「私は八坂神奈子よ。あともう一人、この神社にはいるわ。」


「神奈子、早苗~もうすぐ宴会行くよ~!!」


「噂をすればね……」



出て来たのは金髪の少女。



「ん?そいつは?」


「龍二って名前よ。外来人みたいなの。」


「へぇ…あたしは洩矢諏訪子だよ。よろしく!」



龍二は頷く。すると諏訪子はさらに神奈子達に聞く。



「それで、宴会はどうするの?」


「そうね…そろそろ行くかしら。」神奈子はそう言い立ち上がる。

全員外へ出た。



「そういえば龍二は飛べるのかしら?」


「飛ぶ?なにを言ってるんだ?無理に決まってるだろ?」


「でも…飛んでるよ…」



早苗は龍二にそう言う。龍二は周りを見た。



「!?」


「なんだ。飛べてるじゃないか。」


「でもなんで……」



早苗は考え込む。が、すぐに諏訪子が提案した。



「まあそういうのは後で良いんじゃない?早く行こう!」


「あ、待ってくださ~い!!」



四人が来たのは博麗神社。今日はここで宴会があるらしい。



「遅いわねあいつら……」


「早くお酒がのみたいよ!!」



神社の巫女の博麗霊夢と鬼の伊吹萃香はそれぞれそう呟く。



「すいませーん!遅れました!」



遠くから早苗が近づきながら声をかけた。



「遅いぜ三人…ん?今日は一人多いな。」



四人が来ると、霊夢の近くにいた普通の魔法使い霧雨魔理沙が聞いてきた。



「新しい外来人みたいです。名前は藤崎龍二。」


「たった今紹介された藤崎龍二だ。よろしく。」


「よろしく龍二。早速質問するけど、龍二は何故飛べたの?」



次に質問したのは霊夢だ。不思議そうに龍二に質問する。

龍二は腕を組んで首を傾げた。考えてみるが、過去にそんなことはなかった。



「わからない…気がついたら飛んでたんだ。」


「成る程ね…」


「それがどうかしたのか?」


「ううん!なんでもない!!」


「???」


「霊夢早く宴会ー!」



萃香は急かした。



「もう少し落ち着きなさいよ…ところで龍二はお酒は飲める?」



霊夢の問いに龍二は首を横にふる。



「酒は飲めないんだ。」


「そう、じゃあお茶にする?」


「ああ。頼むよ。」



そこにいた全員が神社に戻る。どうやら大体の準備は出来ているようだ。

しばらくすると様々な妖怪や吸血鬼みたいのもいた。



「早苗、この世界ってホントに沢山いるんだな………」


「うん、神奈子と諏訪子は神様なんだよ。」


「神様?あの二人が?」


「うん。」



龍二はへぇと納得した。



「さ、そろそろみんな集まったし、乾杯しましょう!」


「じゃあ私がやるぜ!!みんな乾杯!!」


「かんぱ~い!」



宴会は大いに盛り上がったようだ。ただし、龍二は神奈子や諏訪子に酒を無理矢理飲まされて途中でダウンしたが…


そして明け方。

龍二は博麗神社でいつの間にか寝ていた。起き上がると、早苗達もまだ寝ている。

外に出ると太陽が出てきそうだった。



「あら起きるの早いわね…」



縁側には霊夢がいた。



「俺は夕方まで寝ていたからな…霊夢こそ、早くないか?」


「私は早く起きる体質なの。ところで龍二、ひとつ聞きたいんだけど……」


「なんだ?」


「あんた戻りたいって思う?」



霊夢は真剣な顔でそう言う。



「そりゃあ…勿論。」



龍二がそう言うと霊夢は悲しそうな顔をした。



「どうかしたのか?」


「龍二、悪いけど…貴方を外の世界に帰すことは出来ない。」


「え?」



龍二は勿論驚いた。

いきなり帰すことが出来ないと言われたら誰だってそうなる。そして勿論龍二は聞いた。



「帰せないって………なんでだよ?」


「理由は二つあるわ。まずひとつ、貴方には能力がある。」


「能力…」



龍二は呟いた。

霊夢は頷いて話を続ける。



「【弾幕を放つ程度の能力】…それが貴方の能力よ。この能力は危険な能力よ。だから貴方が能力をマスターするまで帰すことは出来ない。」



霊夢はそう言う。龍二は霊夢の話を黙って聞いていた。



「もうひとつは貴方から妖力を感じること。妖力を感じるということは貴方が妖怪に近いなにかということ。そんな人間、外の世界に置いておけないわ。」


「でも、妖力なら大丈夫だ。今までもそれを利用して妖怪と戦ってきたし…」


「なにかしら暴走があったんじゃないの?」



話してる途中で霊夢がそう言う。



「それは……」



龍二はそれ以上言い返すことが出来なかった。

正しいことだからだ。最も思い出したくない過去……



「なら…仕方ないな。」



龍二はふっとため息をつく。



「ゴメン…ルールだから…」



霊夢は俯いてそう言った。



「いや、良いんだ。それがルールなら尚更な。」



龍二はそう言った。その後はしばらくの間沈黙が続いていた。



「俺、そろそろ帰るよ。」


「…うん、わかった。」



龍二は守矢神社へ帰った。



「そういえば誰もいないんだっけか…」



守矢神社に帰ってから龍二は気づく。



「町の場所でも聞いて、そこで一人暮らしでも始めるか…」


「龍二!」



突然、声がした。

振り向くと早苗がいた。



「起きてたのか…」


「うん……話し声で。」


「聞いてたのか。」



龍二は向こうを見た。



「なら、話は早いよな。」


「うん、だから一緒に暮らそう。」



意外な言葉だった。龍二は驚いた表情で早苗を見る。



「有り難い、が…何故初対面の俺にそこまでしてくれるんだ?」


「うーん…似てるからかな?」


「似てる?」


「うん。私も神奈子様や諏訪子様の信仰がなくなって来たの。そこは違うけど帰れないのは同じだし、純粋な人間じゃないところは似てるもん。」


「それだけか?」



龍二は聞いた。確かにそれだけでは動機としては不十分な気もした。

早苗は首を横にふる。



「勿論、それだけじゃない。1番の理由は恩返しだよ。」


「恩返し?」



早苗は頷いた。だが、龍二には理解出来なかった。初対面のはずなのに、何故恩返しと言われたのかがよくわからないのだ。



「どちらにせよ、神奈子や諏訪子にはどう言う?」


「別に私達は構わないけど?」



早苗の後ろからひょこっと出て来た。



「まあ誰かを鍛えるっていうのは面白そうだしね、ビシバシやるわよ。お酒も能力も!」


「横に同じく。まあ大人数の方が楽しいし。」



龍二はあまりの優しさにキョトンとしたが、すぐに礼をした。



「有難う……」


「あらためて、よろしくね龍二!!」



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