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第四話 枯れる花々
風が吹き枯葉が舞う。魔法により咲いている花々が枯れるなどという有り得ない事が起きた。
「新鮮だな。」
「そうかな?今までの方が新鮮だったよ?」
そりゃそうだろう。月香は転校したばかりだからな。
「でも桜は咲いてるね〜」
それも当たり前である。本来咲いているべきものなのだから。
「強大な魔法使いの仕業か?」
「え、本来の状態にしてるだけだからそんなに魔力はいらないよ。咲かせてるよりよっぽど簡単。」
と言いながらも紫陽花の花を月香は咲かせた。
「お前の魔力は未知数だな。」
「そりゃ魔法技能検定五段所持者だもん。」
「は、五段?」
五段なんておかしい…何故なら魔法技能検定は十級から七段までで構成されている。段をもっているだけで普通じゃないのに。
笑いながら月香は紫陽花を渡してくる。
「枯らしてみな。」
杖を向けて力を送る。まだ慣れないのだ。今まで杖を使わずに術を行使していたから。ただ杖を使ったほうが成功率が上昇する。
確かに簡単に枯れた。
「でも人々の奇跡の象徴が…やな予感がするな…」
「まさか…ハハハ」
月香の言った言葉がやけに耳に残った。