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創作怪談:これから広まるかもしれない怖い作り話【復路】  作者: 井越歩夢


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其の四十六「怪人くろにっと」

これから語るのは、もしかするとこれから広まるかもしれない

いや、広まってしまうかもしれない「怖い作り話」です。


全部で壱百八話。どれも短い物語です。


しかしその中には、時に背筋に冷たいものが走り抜け、

時にひそひそと誰かの囁きが聞こえ、

時に見てはいけないものが見えてしまうこともあるかもしれません。


そしてひとつだけ、どうしても言っておきたいことがあります。

これらの話は、すべて作り話です。しかし、ただの作り話ではありません。


この話、本当なんです。



背筋がゾゾゾ――。


このお便りを読み終わったときの私は、そんな気持ちでした。


耳に入るだけでも嫌だな、気持ち悪いな、と思う話。

そこに“怪異的な情報”まで付け加えられたら……みなさんは、どう思いますか。


これは読者様(Mさん)から頂いたお便りです。

(許可を頂き、文面をそのまま書かせていただきました)


◇◆◇


風間先生こんにちは。最近近所で起きた怖い話について、

元霊感少女の風間先生にご意見を頂きたいと思い、お便りしました。


先月、私の住む地域の防災メールで、近辺で不審者の目撃が多発しているという情報が流れてきました。


特徴は、身長180〜190cm、黒のニット帽、黒の上下長袖ジャージの男性?

声掛けや付きまといはなく、ただ電柱に半身を隠すようにして道行く人をじっと見ているという内容でした。


うちの小学生の子どもたちの間でも目撃情報があり、「怪人くろにっと」と呼ばれ、学校の怪談のような話題になっていました。


子どもらしいなという話ですが、“車より速く走る”“給食のカレーが嫌い”

“ニット帽を指差して『おしゃれ!』と言うと逃げる”などの噂が一部では盛り上がっていたようです。


ただ、私たち親の間では、「その不審者は本当に“人”なのだろうか」という意見もありました。


大人も子どもも複数人が目撃しているのに、“人間らしさ”だけが妙に曖昧だったのです。

姿は長身の人なのに、どこか人とは思えない雰囲気がある――それが大人たちの共通した印象でした。


しかし一か月後、不審者の目撃はぴたりと止まり、子どもたちから「怪人くろにっと」の話題は忘れられていきました。


あれはいったい何だったのでしょうか。

元霊感少女の風間先生は、不審者を装ったお化けのような怖い話をご存じありませんか?


◇◆◇


……元霊感少女というのは、今は霊感がないという意味なのか、それとも今は少女ではないという意味なのか(笑)


それはさておき、私の記憶に「怪人くろにっと」という怪談はなく、電柱に半身を隠してこちらを見ている怪異もすぐには思い当たりませんでした。


そこでこの「怪人くろにっと」の話に似た怪談や都市伝説がないかを調べてみました。


調べてみると、完全一致するものはありませんでしたが、「怪人くろにっと」に近い不審者像の怪談はいくつか存在し、最近の都市伝説では“人間のようで人間ではない曖昧な存在” が現代怪談の典型だと言われているようです。


確かに、昔の「口裂け女」や「人面犬」とは違い、現代の怪談は“本当にいそう”な存在が多い気がします。


こうして少し調べた後、ホッと一息ついたとき――私は嫌なことに気づきました。


読者さん(Mさん)の地域に現れた「怪人くろにっと」。


それは、不審者を装ったお化けなのか、お化けを装った不審者なのか――


この話、本当だと思いますか。


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