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選考会の幕開け
「女子の参加人数は12人。立射で同時打起し。8射引いた中で的中数が多いひとからスタメン入り。順位をつけたいから、的中数が同じだったら競射っていうルールで。質問ある人?」
真木先生のはっきりとした声が、道場に張り詰めた空気をさらに強めた。
袴姿の出場者たちは一斉に背筋を正し、そのまま各々準備に取りかかる。
弽の革が軋む音、袴の裾がさらりと揺れる気配。
緊張は誰もが感じているのだろうが、表に出す者は少なかった。
私は最後の立ちに入る。
胸当ての紐をきゅっと締め直し、呼吸を整えながら弽をはめる。
そんな私に、隣に立つ東野さんが小声で囁いた。
「桜乃ちゃん、袴とっても似合ってる!」
その声は緊張を和らげるような優しさに満ちていた。 「ありがとう。東野さんが着てるところも見たいな」 私も、自然と口元が緩む。
「じゃあ、あてないといけないね」
にこにこと笑う彼女に、私も小さく笑みを返した。
――私は伝説なんかじゃない。
けれど今日だけは、伝説に並びたい。




