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一射入魂
(今度こそ外せない)
的枠に当たり、判定をもつれさせた部長の矢。
緊張は一気に高まる。
競射をしたことがない人には感じられない緊張感。
『当てれば勝ち。』
そんな気持ちが頭によぎってしまえば、弓の神様に見放される。
(自分を信じろ。何も考えず、弓が体の一部となるような感覚だけ感じろ。
私は深く呼吸を整え、丁寧に取り掛けを行った。
感じていた拍動が次第に離れていく。
かけほどきの音だけを聞き、ただ一点を見据える。
――離れ。
タンッ! 矢は一直線に飛び、迷いなく的心を貫いた。
その瞬間、道場がどよめきに包まれる。私はようやく、大きく息を吐き出した。




