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転生モブが小さな幸せ見つけるための3つの法則  作者: 林檎とエリンギ
3rd Theory : 取るに足らない事件
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Chapter 004_強い相互作用力

「え!?そ、それじゃあ…また女の子が増えたんですか?」


翌日。天気は雨…



「ま、またって…」

「「また」じゃ、ないですか!!」


ベリーチェのお見舞いは5日に1度と決められている。


宿の手伝いと冒険者の仕事を両立しているベルナールとしては

「ちょうどいい」くらいのペースであるが、一方のベリーチェは

「ぜんぜん足りない!」と、ご立腹だ。


もちろん。

ベルナールに直接、そんなコトは言わないが…



『ベリーチェ。ベルナールさんを困らせるようなコト言わないの。』

「だってぇ…」

『だっても何も、彼にコントロールできるコトじゃないでしょ?』

「それは…」


ラベリィはフォニアから事前に連絡を受けていた…どころか、

療養の相談まで受けていたのでセルディアが帰ってきているコトを

知っていたし、ベルナールがその話をすればコウなる(ベリーチェは

ベルナールの周辺に神経を尖らせている)こうなるコトを予想していた。


だから…



『そうでしょ?…ほら、ベリーチェ。誰かを困らせてしまったら…どうするんだっけ?』

「…」

『ベリーチェ。頑張って』

「…なさぃ…」

『ベリーチェ…』


…だから。

“感情をおさえて我慢するリハビリ”に使わせてもらおうと考え、

シミュレートもしていた。



「っ!ご、ごめんなさぁ〜いぃ〜!」

『よくできました』


そしてそれは、見事にうまくいったのだった…



「い、いや…い、いいよ。ぜんぜん…」


そしてベルナールは、そう言いながらベリーチェ…

…ではなく、



「き、気にしてないから…」


その腕の中で小さなスケッチブックを手にした天使人形を

瞳に映していたのだった…



「…ほんと?」


ラベリィはまだ試作機であり、また、患者の重大な個人情報

(※名前や経歴はもちろん。病歴や治療方針は患者の重大な個人情報である。)

を扱う存在なので公にされていない(今後も関係者以外に公表されるコトは

ないだろう)妖精であるが、ここまで治療に携わりベリーチェとの面会まで果した

ベルナールにはラベリィの存在と目的が”ある程度”伝えられている。



「ほんとさ!ちょっとビックリしちゃったけど…こ、困ったたりはしていないから!」


今日のコトだって…

ベリーチェの反応から今のセリフまで全て

ラベリィの計画の内だと聞かせられていた。


司書妖精といい、天使妖精といい、人工妖精(アニマ)はどれも優秀だ…



「そ、そっか。よかったぁ…き、嫌われたらどうしようかと…」


そして、人工妖精の唱えた通りに動いてしまっている

自分も彼女も。結局のところ…



「嫌いになるわけないだろう!?」

「えっ…」

「そ、そんなコトで嫌いになったりしないさ…」


…結局のところ。

魔女様の瞳の中なんだって…



「………そ、そっか。そっか…ふふっ、ふふふふっ///」


…そんなコトを

考えていたのだった…



『…』



………

……





















『ソレは難しいよ。ベリーチェ』

「なんでよおっ!!!」


その日の夜…



「別にお泊りしたいって言ってるんじゃないよ!お散歩も普通にしているんだから…」


ベリーチェは「ベルナールの宿(いえ)に行ってみたい」

と言い出した



「ちょっとダケ、いつもよりお散歩の時間が長くなるダケじゃない…」


昼間…ベルナールの前では…そんな話をしていなかったが

しかし、ラベリィが予想していたよりもずっとベリーチェの焦りは

強いものだったようだ。


恋愛感情は生命の本能に直結する強い相互作用力だ。

常人だって抗い難いソレに

病に伏しているベリーチェが耐えられるハズがない



『そうね。だから、彼のもとに行けるようにいっぱい練習して…』

「練習なんて必要ないよ!毎日運動してるし、お喋りだって…ほら!できてるでしょ!?」


対する愛情は弱い相互作用力だ。

無限遠へと届くけど、刺激の強い他の感情を前にすると負けてしまう。


そして、常態化するとヒトは忘れてしまうのだ。

自分が愛されているという事実を…



「ヤダヤダヤダ!絶対行くんだもんっ!」

『行って。それでどうするの?』

「お、お話して!遊んで…」

『いつもココでやっていることと一緒じゃないの?』

「それは…」

『お外には知らないヒトもいるし、見たこともない景色もあるのよ?1人で行ける?迷わないで行ける?』

「それは………」


ベリーチェが子供じみた言動で駄々をこねるのは、

それが彼女の病気の症状だからだ。


しかし彼女はソノコトに気付けないし、明日の朝になれば

覚えて”さえ”いないかもしれない。


心の病とはそういうモノ…いや、そういうモノもあるし、違うモノもある。

時と状況となにより、患者によって千差万別。

だから難しい。だからコアスタッフが必要。だから、みんなの理解が必要なんだ…



『そうでしょ?…大丈夫。ベルナールさんがベリーチェを裏切ることなんてないわ。焦る必要なんてない』

「…」

『彼が優しかったから。だから好きになったんでしょ?』

「…///」


しかし、彼女の病気を知らない多くの人が

発症中の彼女を瞳に映せば、指をさしてコウ言うだろう。


「狂っている」 「子供っぽい」 「我儘だ」


って…



『だからね?彼は待ってくれるって信じて頑張りましょう?』

「…」

『先ずは、そうね。お散歩の距離を伸ばしてみましょう?』

「…また。何ヶ月もかけて…?」


本当のベリーチェは優しくて思いやりがあって礼儀正しいのに

ちょっぴりオチャメな普通の女の子だ。

ナニカに憧れる権利だって・ダレカを好きになる自由だってある。

病気になったからといって、ソレが失われるワケがない。


だからこそ…



『きっと、そんなに長くはかからないわ。だから…』


…こんなところで。



『…だから。ね…』


失敗して欲しくないんだよ…



「…」

泣いちゃう…

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